2歳未満の乳幼児では、蛋白成分を含まない抗原(ハプテン)部分だけでは免疫を惹起できない。このため、肺炎球菌ワクチンなど蛋白ではない抗原を用いるワクチンでは、乳幼児に接種するに際しては別の蛋白と抗原を結合させるなどの工夫がされている。
また、インフルエンザワクチンについては、1971年以前の全粒子ワクチン使用による副反応の(死亡あるいは脳に重篤な障害を残す)危険性が大きかったことや、それとは異なる現行の安全性の高いワクチンでも100%発症を抑えることはできないことから、接種を避けるべきとの意見も依然として存在する。
しかしながら、ハイリスク群(高齢者や慢性疾患を持つ人など)の人がインフルエンザに罹患した場合に、肺炎等の重篤な合併症の出現や、入院、死亡などの危険性を軽減する効果が世界的にも広く認められている。これが、国際連合の世界保健機関(WHO)や世界各国が、特にハイリスク群に対するインフルエンザワクチン接種を積極的に薦めている理由である[27]。
インフルエンザワクチン
肺炎球菌ワクチン
Hibワクチン(インフルエンザ桿菌b型ワクチンの略称)
狂犬病ワクチン
コレラワクチン
二種混合ワクチン(DTワクチンジフテリア・破傷風混合。ジフテリア抗原のため10歳以上には1/5量投与。この量だと破傷風の有効量が不足しているため、最大限の効果を得るためには別途破傷風トキソイドをうつか、輸入TdまたはTdapにする必要がある)
三種混合ワクチン(DPTワクチン、ジフテリア・百日咳・破傷風混合)注意事項として上記の生ワクチンの新三種混合ワクチン(MMRワクチン、麻疹・風疹・流行性耳下腺炎混合)とは別種である。
水痘ワクチン(帯状疱疹)
不活化ポリオワクチン(IPV)
四種混合ワクチン(DPT-IPVワクチン、ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ混合ワクチン)
日本脳炎ワクチン
百日咳ワクチン
肺炎球菌ワクチン(2歳以上、2歳未満の小児用との2種がある)
A型肝炎ウイルスワクチン
B型肝炎ウイルスワクチン(C型肝炎その他は開発中)
ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)
日本未承認(日本国内で接種の場合は個人輸入取り扱い医療機関に申し込む)
炭疽菌ワクチン
コレラワクチン(経口4価)2年間有効。また、渡航者下痢の多くの原因とされる、病原性大腸菌139型に対しても4か月ほど有効と発表されている。
髄膜炎菌ワクチン(流行性髄膜炎、髄膜炎菌性髄膜炎)
腸チフスワクチン
ダニ媒介性脳炎ワクチン
A型肝炎ワクチン(全2回接種型・1回接種=2週間後抗体陽転、12か月持続。1歳より接種可能)
5歳以上用、二種混合ワクチン混合ワクチン(TD。破傷風の抗体産生能を維持したまま、ジフテリアの安全接種が可能)
11歳以上用、ジフテリア・破傷風・百日咳混合ワクチン(Tdap。破傷風の抗体産生能を維持したまま、ジフテリアと百日咳の安全接種が可能)
DTaP/Hib=DTP+インフルエンザ桿菌
DTaP/IPV/HiB=DTP+不活化ポリオ+インフルエンザ桿菌
HepB/Hib=B型肝炎+インフルエンザ桿菌
コロナワクチン
その他、混合多数。
ウイルスベクター詳細は「ウイルスベクターワクチン」を参照
ウイルスベクターワクチンは、安全なウイルスを使用して病原体の遺伝子を体内に挿入し、表面タンパク質などの特定の抗原を作り出して免疫応答を促すものである。
コロナワクチン
トキソイド「トキソイド」も参照
ある病原体の産生する毒素のみを予め抽出して、ホルマリンなどで処理し、毒性を抑えて抗原性のみを残したものを人体に接種し、その毒素に対する抗体を作らせるもの[28]。病原体そのものを攻撃する抗体を作らせるわけではないので、厳密にはワクチンに含めないという考え方もある。
サブユニット(組換えタンパクワクチン)「サブユニットワクチン」も参照
ウイルスから特定のタンパク質を単離し、これを単独で投与することによって免疫系に1つ以上の抗原を提示する。 VLP(ウイルス様粒子、Virus Like Particle)ワクチンは、ウイルスと同様の外部構造を持つが、遺伝子情報を持たせない、そのため感染はしないが、高い免疫獲得効果(有効性)が期待できるワクチンであり安全性が高いとされる[29]。 植物由来ワクチンは2021年現在実用化されていない。田辺三菱製薬株式会社の連結子会社であるメディカゴ社が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンとして、植物由来のウイルス様粒子(Virus Like Particle)ワクチン(開発番号:MT-2766)を開発し、カナダにて臨床試験を終了し、カナダ政府の最終承認を待っている状態である。
VLP
植物由来ワクチン