ワクチンの効果に関する科学的証拠は十分に確立されている[45][46]。 ワクチンによって、世界中で毎年200万から300万の死亡が予防され、推奨されるすべてのワクチンを使用した場合、さらに毎年150万の死亡が予防できる[47]。 ワクチンは、かつてヨーロッパで7人に1人の子どもを殺した天然痘を根絶し [48]、ポリオもほぼ根絶された[49]。 子どもの細菌性髄膜炎やその他の重篤な疾患の主な原因であるインフルエンザ菌(Hib)による感染症は、1988年にワクチンが導入されて以来、アメリカでは99%以上減少した[50]。 ある年に生まれたアメリカのすべての子どもに出生から思春期まで完全にワクチンを接種すると、3万3000人の命を救い、1400万の感染を防ぐと推定されている[51]。
感染症の減少は、ワクチンではなく衛生環境の改善によるものであるとか、特定のワクチンが導入される前にこれらの病気はすでに減少していたと主張する反ワクチン文献があるが、これらの主張は科学的データに基づいていない[44][52][25]。ワクチンで予防できる病気の発生率は、特定のワクチンが導入されるまでは時間の経過とともに変動する傾向があり、ワクチンの導入と同時に発生率はほぼゼロに低下する[44][53]。ワクチンに関する一般的な誤解に対抗するアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のウェブサイトは、「ちょうどその病気のワクチンが導入された時期に、衛生状態の改善がそれぞれの病気の発生率を低下させたと信じろというのだろうか」と論じている[44]。
集団の健康シャーロット・クレバリー=ビスマンは、髄膜炎菌感染症により、生後7か月で四肢の一部を切断した[54]。周囲の多くの人たちがワクチン接種をして流行を防げば、彼女のようにワクチンを接種できない幼い子どもや弱い人たち病気からを守ることができる[55]
ワクチンの接種率が低いと、集団免疫が低下するため、ワクチンを接種した人を含む集団全体の疾病リスクが高まる[24]。例えば、麻疹ワクチンは1歳になってから接種をするが、ワクチンを接種した母親から胎盤を通じて移行した抗体が消失してからワクチンを接種するまでの子どもは脆弱であることが多い[56]。もし周囲の人たちがワクチンを接種していれば、集団免疫によってこの脆弱性を減らすことができる[56][57]。アウトブレイク時またはアウトブレイクの危険性がある時に集団免疫を強化することは、集団予防接種を正当化する理由として最も広く受け入れられている[58]。新しいワクチンが導入されたとき、集団予防接種は急速に接種率を高めるために役立つ[58]。
集団の十分な割合がワクチン接種を受けていれば、集団免疫が効果を発揮し、幼すぎる、高齢である、免疫不全である、またはワクチンの成分に対して重度のアレルギーがある、などの理由でワクチンを接種できない人々のリスクを低下させることができる[59][60][57]。免疫の機能が低下した人が感染すると、その経過は一般の人よりも悪いことが多い[61]。