アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、「COVID-19ワクチンと死亡には、明らかな因果関係がない」「COVID-19ワクチンによりCOVID-19の感染や重症化・死亡が大きく減る」「COVID-19以外の死亡率は、非接種者より低い」と評価する[255][259][75][260][261][262]。CDCには、1990年からワクチン安全データリンク(VSD)
という、ビッグデータを用いたモニタリングシステムがあり、ワクチン接種者の接種後の病気の発生率と、非接種者の病気の自然発生率を比較することで、ワクチン接種と死亡との因果関係を検証している[263][264]。VSDは、全米各地にある9病院の約1200万人の予防接種のデータと患者の疾患や病院受診、薬の服用などに関する情報を匿名化した上で蓄積しており、接種後に偶然同時に発生した症状と実際の有害事象との区別ができる[209]。2020年12日 - 2021年7月、ワクチン安全性評価(VSD)の登録者を対象にしたコホート研究は、ワクチン接種群と非接種群のCOVID-19非関連死亡率の比較は、「ワクチン接種群で有意に死亡率が低く、COVID-19ワクチン接種者の死亡リスクは増加しない」という結果だった[262]。イギリス国家統計局(ONS)による接種者と未接種者の大規模な比較データでも、ワクチン接種で死亡リスクが増えないことが示された[209][265]。同様のシステムは北欧諸国や、アジアでも1990年代から香港や台湾で、2000年代からマレーシアや韓国、タイ、中国で稼働している[266]。日本にはこうした安全性を検証するシステムがないことが課題になっていたが、2022年に九州大学のグループが開発をした[266][267]。今後、有害事象とワクチン接種との因果関係を正確に調べて、安全性を確認したいとしている[266][268]。厚生労働省も、2025年度までに副反応疑いの情報と、自治体が管理している接種情報とひも付けたデータベースを作り、国が持つレセプト情報と連結させる方針を示している[269]。アメリカでは、「ワクチン有害事象報告制度
(VAERS)」、「ワクチンの安全性データリンク(VSD)」、個々の有害事象に対する専門家の相談、研究を行う「予防接種安全性評価の臨床ネットワーク(CISA)」という3つのシステムが機能し、ワクチンの安全性を監視している[270][264]。VAERSは、有害事象の「自発的」な報告を受けるシステムであり、日本の副反応疑い報告とは違い、医療関係者だけでなく誰でもがウェブサイトを通じて報告ができる[270][271]。VAERSには、ワクチンの有害事象情報が迅速に集められるという利点があるが、VAERSのデータだけでは有害事象とワクチンとの因果関係が評価できない[272][264][273]。1990年、それを補うためにVSDが設立されたが、このシステムはVAERSにおける自発的な報告の限界の影響を受けにくく、ワクチン接種と有害事象との関連をより適切に評価することができる[272][263]。VAERSの因果関係が証明されていない有害事象報告は、反ワクチン主義者がワクチンが有害であると主張する証拠に使われている[140][274][275]。 超過死亡は、「例年の水準から予測される死亡数と比べてどれだけ上回っているか」を示し、「COVID-19が死因として届けられた死亡」に加えて「他の死因として届けられたがCOVID-19が死因の死亡」「COVID-19が死因として届けられたが他の死因による死亡」「COVID-19が死因ではないが、医療逼迫や後遺症などで間接的に影響を受けた死亡」「COVID-19が死因でも間接的な影響を受けてもいない死亡」が含まれる[276][277][278][279]
超過死亡