ワクチン忌避
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ワクチン接種をためらう人と接する際には、頭ごなしに否定するのではなく、「誠実で敬意に満ちた会話調を保つこと」「ワクチンのリスクを認めつつ病気のリスクとのバランスをとること」「不安を丁寧に傾聴しながら、冷静な決断ができるように信頼できる情報源を紹介すること」「継続的に会話をすること」「特定のデマの否定に過剰な時間をかけないこと(相手の心の中でデマを強化して逆効果になる場合がある)」「事実に焦点を当てデマを単に虚偽と特定すること」「情報をできるだけシンプルに保つこと(デマが真実よりもシンプルな場合、シンプルな方を受け入れやすい)」などが推奨されている[6][573][442][574]アメリカ小児科学会(AAP)は、医療従事者がワクチンの有効性と安全性について、保護者の懸念に直接対処するよう勧めている[575]。医療提供者から提供される推奨の強さもまた、接種に影響を与え、強い推奨は弱い推奨よりも高い接種率をもたらしている[47]

世界保健機関(WHO)は、専門家が公の場で対応する際に、反ワクチン派ではなく、一般の人々を対象にすることを推奨する[576]。また、会話の目的として反ワクチン派が誤った情報を広めるために使うテクニックを明らかにして誤りを訂正することを提言し、そうすることで一般の人々が反ワクチンの戦術に対して抵抗力を高められると主張している[576]
科学教育

反ワクチン派には、「製薬会社や政府が裏で情報を操作して不当な利益を得ている」などの陰謀論を唱える人もいる[93]。陰謀論や偽科学、科学否定、スピリチュアル、歴史修正主義には共通の特徴が見られ、1つのパッケージになっているケースもある[93][212][328]。このような思考を抱く人たちは、「何を信じるべきなのかはあらかじめ決まっており、その信念を裏づけるために証拠を探す」「個別のエピソードや伝聞による証拠へ過剰に依拠する」「仮説や理論と合致しない証拠は無視する」「既存の科学的な知識に立脚していない」「印象的に聞こえる専門用語を使い、仮説や理論が科学的に立派に見えるようにする」などの傾向が見られ、カルト教団排外主義ファシズムとも結びつきやすい[93][212][577][567][578]。偽科学は、科学的な雰囲気を持つ用語をちりばめて、「科学への理解が弱く、科学的な雰囲気に弱い人たち」を捕えようとする[212]。騙されないためには、科学リテラシーを身につけることが必要であり、ワクチンがどのように作られ、機能するかについての科学教育が必要とされる[212][559]
コミュニケーション

ワクチンや進化論のように、科学的コンセンサスが得られたことに強く反対する人は、正確な知識が欠けている一方で自分の知識に自信を持っている(ダニング・クルーガー効果)という調査研究があり、このような人たちには事実による説得は効果がないと思われる[579][567][580]。社会から疎外され、不満や不安を抱いていた人々が、SNSやYouTubeで見聞きした情報を信じ、ある日突然「真実に目覚めた」場合、科学よりも自分を目覚めさせてくれた「教義」が大事になる[67]。科学に携わる人間は「客観的な科学的根拠」に基づいた情報を提供すれば、議論・相互理解できると思いがちだが、それは彼らの誤解を強化し、逆効果となることがある[47][573]。ワクチンを一度「接種しない」という選択をすると、後悔しないために、自分の選択を支持する資料ばかり集める「確証バイアス」に陥るため、情報提供だけでは不十分で、相手の心理的要因などを考慮したコミュニケーションが重要となる[579][559]
出典^ a b c d e f g h i j k l ポール オフィット (著)、ナカイ サヤカ (翻訳)『反ワクチン運動の真実: 死に至る選択』地人書館、2018年。


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