世界保健機関(WHO)は、専門家が公の場で対応する際に、反ワクチン派ではなく、一般の人々を対象にすることを推奨する[576]。また、会話の目的として反ワクチン派が誤った情報を広めるために使うテクニックを明らかにして誤りを訂正することを提言し、そうすることで一般の人々が反ワクチンの戦術に対して抵抗力を高められると主張している[576]。 反ワクチン派には、「製薬会社 ワクチンや進化論のように、科学的コンセンサスが得られたことに強く反対する人は、正確な知識が欠けている一方で自分の知識に自信を持っている(ダニング・クルーガー効果)という調査研究があり、このような人たちには事実による説得は効果がないと思われる[579][567][580]。社会から疎外され、不満や不安を抱いていた人々が、SNSやYouTubeで見聞きした情報を信じ、ある日突然「真実に目覚めた」場合、科学よりも自分を目覚めさせてくれた「教義」が大事になる[67]。科学に携わる人間は「客観的な科学的根拠」に基づいた情報を提供すれば、議論・相互理解できると思いがちだが、それは彼らの誤解を強化し、逆効果となることがある[47][573]。ワクチンを一度「接種しない」という選択をすると、後悔しないために、自分の選択を支持する資料ばかり集める「確証バイアス」に陥るため、情報提供だけでは不十分で、相手の心理的要因などを考慮したコミュニケーションが重要となる[579][559]。
科学教育
コミュニケーション
出典^ a b c d e f g h i j k l ポール オフィット (著)、ナカイ サヤカ (翻訳)『反ワクチン運動の真実: 死に至る選択』地人書館、2018年。