ロー・スクール_(アメリカ合衆国)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

J.D.課程の入学者選抜においては学部段階における成績(GPA)に加え、LSAC [注釈 8]により全米で統一して実施されるLSAT[注釈 9]のスコアが用いられる。「トップスクール」と呼ばれる一流大学のロースクールに入学するためには、学部試験及びLSATにおいて好成績を取得しなければならない。
L.L.M.課程・法学修士

J.D.を取得した者やアメリカ合衆国外でJDに相当する法律教育を受けた者を対象として、LL.M. 課程を設置しているロー・スクールが多い。LL.M.課程は通常1年間の課程である。LL.M.課程の中には、J.D.を取得したアメリカ人学生を中心に教育するところもあるが、多くのロー・スクールにおいてはLL.M.課程は外国で法学教育を受けた者を主たる対象としている。

外国の学生がLL.M課程に入学するために、本国で最初の法学教育を卒業していることが要件とされ、卒業した教育機関の教員等からの推薦状が求められる。日本からの留学生の場合、この要件は、2010年までは日本の大学の法学部卒(学士(法学))、2011年以降は何らかの学士に加えて法務研修および司法研修所の修了証書、あるいは、何らかの学士に加えて法科大学院(法学部や法科大学院を修了せずに法曹資格を得た者については司法研修所)を修了したことにより満たされる[1]。また、英語を母国語としない入学希望者はロー・スクールが定める一定の基準を超えるTOEFLのスコアを取得することが要求される(上位50位までのほとんどのロースクールでは120点満点中100点以上が必要)。

日本人がロー・スクールに留学する場合、LL.M.課程に入学することが大多数である。日本の弁護士資格を有する者や、裁判所・検察庁を含む官公庁からの派遣公務員、日本の大手企業の法務部門の担当者等が目立つ。

ロー・スクールによっては修士の学位を比較法修士[注釈 10]としているところもある。
S.J.D.課程・法学博士

LL.M.修了者を対象とした法学博士[注釈 11]課程もあるが、アメリカ人でこの課程に進学する者は稀であり大半は法学研究者をめざす外国人留学生である。S.J.D.との混乱を避けるために、ジュリス・ドクターは通常「法学博士」とは翻訳されない。
ロー・スクールの授業

ロー・スクールにおける過半の授業ではラングデル式教育方法がとられている。そこでは、ケースブックと呼ばれる分厚い判例集がテキストに指定され、その内容に沿って授業が進められる。テキストの内容は様々ではあるが、事実認定については問題がない法律審の判例が選ばれ、法律についての簡単な解説がなされた後に、当該法律に関連する事例(判例)の判決文がそのまま掲載され、延々と判決原文が続くというものが多い。主要科目のケーステキストは概ね1,000ページ前後にも及び、重厚なものである場合が多い。教員によって授業の進度の違いはあるが、学生は、このケースブックを1科目につき、週平均40ページから100ページ程度を事前に読んで授業に臨むよう求められ、一人では到底消化ができないため何人かのグループを作り、そのメンバーで手分けをして予習し議論をした上で授業に臨むことが多い。

授業における教員のスタイルは学生と教員間での質疑・対話による進行(ソクラテス・メソッドと呼ばれる)を徹底して用いるのが伝統的なものであるが、ラングデル式は学生のプライドを傷つけ、過度に競争心を煽るものであるなど批判も多い。そのため、近時は、教員が主に内容を解説する講義方式の授業を行う教員がいるなど、内容に応じて様々であるが、一般に、教員が授業中に学生を指名して問いを投げかけたり、学生が挙手して教員に質問したりする頻度は高く、そのようなやり取りにおける積極性・内容を高く評価する評価システムがとられている場合が多い。

このように、ロー・スクールの授業内容は、法を学ぶというより、法律家として考える方法を学ぶことを主たる目的としているが、それは、過度にアカデミックで実務には役に立たないと批判されており、ほとんどの大手の事務所では採用した新人弁護士に独自に研修を行なっている。
成績評価など

ロー・スクール修了者の絶対数が多いため、単に学位を得たことのみならず、学校の評判や在学中の成績が修了生の将来に影響する。J.D.課程に所属する多くの学生は、1年目から就職活動を開始する。アメリカ合衆国のロー・ファームは一般に、契約法、憲法等の基礎科目が組まれる1年次の学生の成績を選考の材料としている。それゆえに、大手ないしは著名ロー・ファームへの就職を目指す学生は1年目に優秀な成績を収めようと必死に努力する。J.D.課程の学生は1年次、2年次の夏休み期間(通常、学期は9月開始、5月終了となる)にローファームなどでインターンを行うが、優秀な学生は、大手ロー・ファームにサマー・クラークとして勤務し、そのまま同じファームに就職するという場合もある。

ロー・スクールの2年次、3年次では比較的専門性の高い科目がカリキュラムとして組まれ、学生はそれぞれ進路によって科目を選択することとなる。この時点で、既に就職先の決まった学生も多いため、1年目に比べれば多少のゆとりがある。大手ロー・ファームでのパートナー弁護士を目指す学生はロー・スクールで成績上位者に与えられる賞を取得することが1つのステータスとなるため、優秀な成績を収めるために昼夜努力している。
ローレビューの編集委員

1年次の成績優秀者から、大学出版の法律雑誌(ロー・レビュー)の編集委員が選ばれる。編集委員の制度は各大学に共通して見られるもので法曹関係者を中心にその存在の認識度は高く、有名大学の編集委員であったという実績は、学生時代の優秀さを示すキャリアとして高く評価される[注釈 12]ため、編集委員をめぐる競争は極めて激しい。アメリカにおける州最高裁判所調査官は、ロー・スクールを修了したばかりの法曹が1年交代で務めるのが通例であるが、その調査官も通常は有名大学の編集委員経験者から選ばれる。
アメリカABA認定のロースクール

(**は公立)

イェール・ロー・スクール(YLS)

ハーバード・ロー・スクール(HLS)

スタンフォード・ロー・スクール(SLS)

コロンビア・ロー・スクール(CLS)

シカゴ大学・ロー・スクール(UChicago Law)

ニューヨーク大学・ロー・スクール(NYU Law)

ペンシルベニア大学ロースクール(Penn Law)

デューク大学ロースクール(Duke Law)

カリフォルニア大学バークレー校ロースクール(Berkeley Law)**

ミシガン大学ロースクール(Michigan Law)**

バージニア大学ロースクール(Virginia Law)**

ノースウェスタン大学ロースクール(Pritzker School)

コーネル大学ロースクール(Cornell Law)

ジョージタウン大学ローセンター(GULC)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロースクール**

テキサス大学オースティン校ロースクール**

セントルイス・ワシントン大学ロースクール

ヴァンダービルト大学ロースクール

エモリー大学ロースクール

ジョージワシントン大学ロースクール

ミネソタ大学ロースクール**

南カリフォルニア大学ロースクール

ワシントン大学 (ワシントン州)ロースクール**

ウィリアム・アンド・メアリー大学ロースクール**

ジョージア大学ロースクール**

ノースカロライナ大学チャペルヒル校ロースクール**

ブリガムヤング大学ロースクール

オハイオ州立大学ロースクール**

フロリダ大学ロースクール**

ウェイクフォレスト大学ロースクール

ノートルダム大学ロースクール

ボストン大学ロースクール

ボストンカレッジ・ロー・スクール

フォーダム大学ロースクール

アリゾナ州立大学ロースクール**

ジョージ・メイソン大学ロースクール**

ユタ大学ロースクール**

アラバマ大学ロースクール**

アイオワ大学ロースクール**


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:45 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef