ローマ市民権
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しかし市民権の乱発は、ローマ市民をして国家への忠誠心、義務を失わせ、集団としての連帯感が薄れ、結果的には帝国の滅亡の遠因となった[1]
市民権の資格

ローマ市民権は以下の者に与えられる。

正式な婚姻の関係にある
ローマ人の両親より生まれた男子は自動的に与えられた。

解放奴隷はローマ市民権が与えられるが、彼らは以前の主人と主従関係にあり、そのクリエンテスとなった。

解放奴隷の子供は自動的にローマ市民権が与えられた。

ローマ人の軍団兵百人隊長は除く)は正式に結婚はできず、内縁関係から子供があっても兵役期間内は子供にはローマ市民権が与えられなかった。しかし除隊・退役後には子供には認められた。

ローマ市民権を持たない者でも高額な金額を出資できれば市民権を買う事ができる。

入隊当時ローマ市民権を持たなかったローマ支援軍の兵は兵役期間を務め上げ退役すると世襲のローマ市民権が授与された。その子供は自動的にローマ市民権を持つ事になり父とは違いローマ市民権を持つ者から構成されるローマ正規軍への参加が可能となった。ただし、AD140年以降一部の補助兵を除き、ローマ市民権が授与されるのは満期除隊した補助兵当人だけとなった[注釈 1]

ローマに対して大きな貢献をした者にはローマ市民権が与えられた。補助兵でも上位の隊長クラスになると、満期除隊を待たずにローマ市民権を得た。

市民権の保持者はコロッセウムでの観劇や浴場への立ち入りの権利を与えられ、また皇帝や有力者からの贈り物を受け取ることができた(パンとサーカス)。

出典

エドワード=T=サーモン「ローマの軍隊とローマ帝国の解体」(チェインバーズ編『ローマ帝国の没落』(1973,創文社所収
[注釈 2]

Sofie Waebens, Reflecting the "Change in A.D. 140": The Veteran Categories of the Epikrisis Documents Revisited(2010) 26th International Congress of Papyrology edition:26 location:Geneva date:16-21 August 2010)

脚注[脚注の使い方]
注釈^ これに関する法令について、金石文やエジプト出土パピルスにより古くから議論されてきており、現在も議論が続いている。 Sofie Waebensの論文"Change in A.D. 140": The Veteran Categories of the Epikrisis Documents Revisited(2010)"が注記で20世紀中盤以降の諸学者の見解に触れ、関連する出土法令を整理している。Waebensの見解は、140年に全部の補助兵から市民権授与が停止されたのではなく、補助兵の種類により授与される権利(通婚権、自由権等)に相違があり、長期間かけて授与権限が縮小されていったと論ずる
^ 論文の初出はTransactions of the Royal Scociety of Canada, Third Series, Section II,52(1956年),pp43-57)

出典^ エドワード=T=サーモン「ローマの軍隊とローマ帝国の解体」pp77-96

関連項目

市民権法

市民権

ローマ人

古代ローマ

ラテン市民権

イタリア権

キウィタス・シネ・スッフラギオ

シュラフタ - ポーランド貴族。ローマ市民と酷似した身分・人口構成であった。

パウロ - キリスト教者。ローマ市民権を有していた。










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