ローマ字
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また、姓と名を区別するために「YAMADA Haruo」の様に姓を全て大文字とするとした[6]国語審議会#日本人名のローマ字表記も参照のこと。
表記法

各種方式の共通点と相違点を概説する。
母音

アイウエオ」段母音を「aiueo」で表す。


子音と拗音

原則として、「、ガ、ザ、ダ、バ、パ」行子音を「k, s, t, n, h, m, y, r, w, g, z, d, b, p」で表す。拗音(開拗音)は「子音字+y+母音字」で表す。

旧ヘボン式および修正ヘボン式では英語発音への近似性から「」を「shi」、「」を「chi」、「」を「tsu」、「」を「fu」、「」を「ji」、サ行拗音を「sh-」、タ行拗音を「ch-」、ザ行拗音を「j-」で表す。

日本式では現代仮名遣いまたは歴史的仮名遣いの厳密翻字に基づき、「」「」「」を「di」「du」「wo」と表記するが、訓令式とヘボン式では表音主義(表音式仮名遣い)に基づき、「ヂ→ジ」「ヅ→ズ」「ヲ→オ」と置換したように訓令式では「zi」「zu」「o」で、ヘボン式では「ji」「zu」「o」で表記する。


撥音と促音
撥音「ん」

原則として、撥音」は「n」で表す。例外として旧ヘボン式では「b」「p」「m」の前に限り「m」を使う。後者の例1:tempura(天ぷら) - 本項の「ウィキペディア」節も参照のこと。後者の例2:tombo(トンボ) - 企業名「株式会社トンボ鉛筆」の称 "Tombow Pencil Co.,Ltd. などにも見られる綴り[注 2]。後者の例3:kamp?(漢方) - 文字検索すれば確認できるが、現在でも企業名・団体名・商標などに数多く使われている。
撥音+アポストロフィーなど

撥音の後に母音ヤ行音が来てナ行音と区別できなくなった場合は、旧ヘボン式では間に「-」(ハイフン)、修正ヘボン式および訓令式では「'」(アポストロフィー)を挿入する。後者の例1:shin'ai(しんあい:親愛、信愛) - shinaiでは誤読「しない(竹刀など)」を避けられない。後者の例2:shin'y?(しんよう:信用、ほか) - shiny?では「しにょう(屎尿など)」と誤読されかねない。後者の例3:Ken'ichi(けんいち:健一、憲一、ほか) - Kenichiでは誤読「けにち」を避けられない。
促音+子音字

原則として、促音は直後の子音字を繰り返す。例外として、旧ヘボン式および修正ヘボン式では直後が「ch」の時は「tch」とする。語末の促音表記については、どの方式でも公式には定められていない。語末の促音の例:a'(あっ)、doki'(どきっ)、sore'(それっ)などの感嘆詞
長音詳細は「長音符#ローマ字における表記」を参照

長音のローマ字表記は混迷を極めており、ヘボン式からマクロンを除いたり、UやHを加えたりと、多様な表記揺れが見られる。詳しくは上記の項目を参照。
助詞

助詞の「は」「へ」「を」は、表音主義を採用する訓令式、ヘボン式ではそれぞれ「wa」(わ)「e」(え)「o」(お)と書くが、現代仮名遣いまたは歴史的仮名遣いに基づく厳密翻字では仮名表記どおりに「ha」(は)「he」(へ)「wo」(を)と書く。
ローマ字の種別
ヘボン式詳細は「ヘボン式ローマ字」を参照

ヘボン式は英語の発音への準拠を重視したローマ字表記法である。用途に応じて様々な種類があり、それぞれで細かい表記規則が異なるが、旧ヘボン式、修正ヘボン式の二種類に大別される。

旧ヘボン式(Traditional Hepburn)はアメリカ人ジェームス・カーティス・ヘボンの『和英語林集成』第三版(1886年)で定義された表記法。日本国内で単にヘボン式という場合、この方式を指す場合が多い。

修正ヘボン式(Modified HepburnまたはRevised Hepburn)は、研究社の『新和英大辞典』第三版(1954年)で考案され、後にアメリカ図書館協会およびアメリカ議会図書館のローマ字表記法などでも採択された。日本国外で単に「Hepburn romanization」「Hepburn system」などという場合はこのModified Hepburnを指す場合が多い。

両者の大きな違いは、旧ヘボン式では撥ねる音「ん」が「b」「m」「p」の前に来た場合は「m」、それ以外の場合は「n」で表記するのに対し、修正ヘボン式では全て「n」で表記する点である。また、撥ねる音「ん」が母音字または「y」の前に来た場合、旧ヘボン式では「n」の後ろに「-」を入れるのに対し、修正ヘボン式では「'」を入れる点も異なる。

2019年(令和元年)時点、日本国内では旧ヘボン式、修正ヘボン式ともに広く使われており、分野や団体によって採用されている方式が異なる。そのため、例えば同じ地名のローマ字表記が駅名標と道路標識では一致しないといった問題も起こっている(後述)。

なお、現在国内外で「修正ヘボン式」(Modified Hepburn)と呼称される表記法が定着する以前にも、ヘボン式を修正した新たな表記法を定める試みは複数存在したため、文献によっては今日とは異なる意味で修正ヘボン式という語を使用する場合があり、注意が必要である。現在では旧ヘボン式とされる『和英語林集成』第三版(1886年)に掲載された表記法も、第二版の表記法を日本人の案に従って修正したものであり、これを指して「修正ヘボン式」と呼ぶ場合がある[7][8]。1908年、ローマ字ひろめ会が、第三版の表記法に僅かに修正を加えて「標準式」と称したが、この修正を指して「修正ヘボン式」と呼ぶ場合もある[9]。「標準式」は第三版の表記法を含めた広義のヘボン式の名称としても使われた。現在、ブリタニカ国際大百科事典はヘボン式、標準式、修正ヘボン式は同義とみなしている[10]
イギリスおよびアメリカ規格

イギリスにおいてはアメリカ地名委員会およびイギリス地名常置委員会の1976年合意に基づく修正ヘボン式[11]が日本語仮名のローマ字表記法(Romanization System For Japanese Kana)として、2015年の改訂を経て今日まで用いられている。

アメリカにおいては1975年、様々な非ラテン文字言語のローマ字表記法を規定したアメリカ図書館協会およびアメリカ議会図書館のローマ字表記法において、日本語の場合のローマ字表記法が定められており、2012年の改訂を経て現在も用いられている。

その他には米国国家規格協会のANSI Z39.11-1972[12]規格が存在したものの、訓令式に基づくISO 3602の登場を受け、1994年に廃止された。

いずれも内容は修正ヘボン式と同一である。
駅名標豊岡駅ホームにある国鉄型駅名標。隣駅の国府のローマ字表記は訓令式の「KOKUHU」となっているが、玄武洞はヘボン式の「GEMBUD?」となっている千葉都市モノレール千城台駅の駅名標。「CHI SHI RO DAI」と記載されている。

旧ヘボン式に準じたローマ字表記法が多い。明治時代については不明点が多く、大正に入り『鉄道公報1916年12月21日付「驛名假名文字及羅馬字ニ就テ」の時点では「ヘボン式」の名こそ出ないものの、既に第二次世界大戦後と同じ表記法になっている。1927年4月7日鉄道省達第79号『鉄道掲示例規』で改めてヘボン式ローマ字別表が定められた。1938年3月8日鉄道省達第127号により訓令式に順次書き替えられたが、戦後の1945年から占領軍の指令に従って駅名標にヘボン式ローマ字を書く作業が進められた。規程の整備は遅れて、1946年4月1日運輸省達第176号による『鉄道掲示規程』改正で、ローマ字は「修正ヘボン式」と明記された。

旧ヘボン式準拠の場合、長音は母音の上にマクロンを付加し、撥ねる音「ん」は「b」「m」「p」の前は「m」、その他は「n」、区切り点はハイフン、つまる音「っ」は次の音の子音字を重ねるが「ch」が続く場合にはcを重ねずtを用いて「tch」とする(例:「Shimbashi」(新橋[13]、「Temma」(天満)、「Bitch?-Takahashi」(備中高梁)、「Shindembaru」(新田原[13]など)。

また令制国名が入る駅名や既存の駅名に新や東西南北などを付けた駅名は、旧国名や新などの後にハイフンを入れる(例:「Tamba-?yama」(丹波大山)、「Gumma-Yawata」(群馬八幡)、「Shin-?saka」(新大阪)、「Higashi-Kakogawa」(東加古川)など。ただし「Nishikuj?」(西九条)のような例外もある)。

国鉄時代はすべて大文字で表記されていたが、JR化以後はJR九州在来線を除き[注 3]、上記のように頭文字とハイフンの次の文字以外は小文字で表記されている。


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