ローマ内戦_(68年-70年)
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さらに、今までガルバを支持していたアフリカ属州の第3軍団アウグスタ、第1軍団マクリアナ・リベラトリクスがウェスパシアヌスを皇帝として支持、またアエギュプトゥスの総督であったティベリウス・ユリウス・アレクサンデルが明確にウェスパシアヌスの支持を表明、当時地中海最大の都市であったアレクサンドリアの富を背景にして足場を着々と固めていった。

他方で、バタウィ族出身のガイウス・ユリウス・キウィリスが反ウィテッリウス・親ウェスパシアヌスを掲げてゲルマニアで挙兵。バタウィ族やブルクテリ族といったゲルマン系以外にも、トレウェリ族やリンゴネス族等のガリア系部族も糾合してウィテッリウス支持のライン川一帯のローマ軍基地を次々と攻撃した。Le Triomphe de Titus、ティトゥスの凱旋 ジュリオ・ロマーノ作、1537年
4人目の皇帝・ウェスパシアヌス

ウェスパシアヌスは元々ユダヤ戦争を鎮圧するために派遣された軍司令官であったが、シリア総督で名声のあったムキアヌスの支持を取り付けることができた。ウェスパシアヌスはユダヤ地方を鎮めることで皇帝に求められる軍事能力を示し、帝国の食料生産の半分を担うとまで言われたエジプトを支配することでローマ全体の食を押さえたのである。

オリエント一帯を安定させたウェスパシアヌスは、ムキアヌスに一軍を預けてバルカン半島を北上させ、ウィテッリウスのいるローマ攻略を目指した。しかしムキアヌスはダキアにて異民族の侵入に対処するため一時進軍を止め、その間にウィテッリウスに対して恨みをもつマルクス・アントニウス・プリムスの軍団兵が再びクレモナでウィテッリウスの軍を撃破(第2次ベドリアクムの戦い)、雪辱を果たす。勢いに乗ったプリムスの軍団はローマを占拠、ウィテッリウスを殺害した。そして数カ月後、異民族の侵入を退けたムキアヌスはローマに無血入城を果たし、混乱に際して炎上したユピテル神殿(なおこれに巻き込まれてウェスパシアヌスの兄サビヌスが死去していた)を再建して平和の復活を宣言、最後にウェスパシアヌスが皇帝としてローマに入った。

紀元後70年、ウェスパシアヌスの長男であるティトゥスが指揮するローマ軍はエルサレム陥落させた。ユダヤ軍の残党はマサダへ逃れたものの少数であり、エルサレムの陥落により、ローマを揺るがしたユダヤ戦争は事実上終結した。また、ゲルマニアで勃発した反乱についてもクィントゥス・ペティリウス・ケリアリスが指揮を取るローマ軍が反乱軍を各地で撃破し、キウィリスは降伏。これにより内戦は一応の終結をみた。
年表

68年

4月:ヒスパニア・タッラコネンシス総督ガルバ、ガリア・ルグドゥネンシス総督ウィンデクス、ネロに反逆。

5月:ライン軍団(ゲルマニア軍団)、ガリアでウィンデクスを破って殺害。

6月:元老院がネロを国家の敵であると宣言。ネロ、自殺。同日、ガルバが皇帝に承認される。

11月:ウィテッリウス、ゲルマニア・インフェリオル属州の総督に指名される。



69年

1月1日:ライン軍団、ガルバへの忠誠宣誓を拒否。

1月2日:ライン軍団、ウィテッリウスを皇帝に推挙。

1月15日:ガルバ、プラエトリアニに殺害される。同日、オトー、元老院により皇帝に承認される。

4月14日:ウィテッリウス軍、オトー軍を破る。

4月16日:オトー、自殺。ウィテッリウスは皇帝に承認される。

7月1日:ユダヤ駐在のローマ軍隊の指揮官ウェスパシアヌス、帝位立候補を宣言。

8月:ドナウ軍団、シリア属州にいたウェスパシアヌスに対する支持を表明。

9月:ウェスパシアヌス、シリアに駐屯していた軍の半分(残り半軍はティトゥスと共にユダヤ戦争へ)を率いてイタリア本国へ向け進軍。

10月:ドナウ軍団、ウィテッリウス軍を破る。ウェスパシアヌス、エジプトを占領。

12月20日:ウィテッリウス、宮殿で兵士により殺される。

12月21日:ウェスパシアヌス、元老院より皇帝に承認される。



70年

ガリアにおいてバタウィ族のガイウス・ユリウス・キウィリス(ラテン語:Gaius Iulius Civilis)が反乱。ローマ帝国からの自立を宣言(「ガリア帝国」と呼ばれることもある[1])するが、ウェスパシアヌスによって鎮圧される。

6月:ユダヤ戦争で、ティトゥス率いるローマ軍がエルサレムを陥落させる。


「四皇帝」一覧

ガルバ (在位:68年 - 69年

オトー (在位:69年)

アウルス・ウィテッリウス (在位:69年)

ウェスパシアヌス (在位:69年 - 79年

注釈^ 260年から274年まで存在した「ガリア帝国」とは別物。

関連項目

五皇帝の年(193年)

六皇帝の年(238年)

ローマの簒奪者(Roman usurper)


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