ローマの休日
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ダルトン・トランボが原案(ストーリー)を書き、イアン・マクレラン・ハンターと共同で脚本を執筆したのは1940年代半ば頃で、元々フランク・キャプラが映画製作会社リバティ・フィルム社のために書かせたものである[4][5][6][7]

1948年、リバティ・フィルムがパラマウント映画に買収され、パラマウントでキャプラ監督による製作が決定[6]。この時、エリザベス・テイラーケーリー・グラントに出演交渉されたが、パラマウントの予算が150万ドルと少なかったためキャプラは妥協できず、『ローマの休日』を放棄した[6][8][9]

その後、この企画はしばらく宙に浮いたままだったが、1951年初めにウィリアム・ワイラーがこの脚本を知り、ローマでの撮影を条件に強い関心を示して、ワイラー監督でパラマウント社は製作に入ることとなった[4][10]

製作時、アメリカ本国ではジョセフ・マッカーシー上院議員らによる「赤狩り」と呼ばれるマッカーシズムから非米活動調査委員会による共産主義者排斥運動が行われており、映画産業でも「ハリウッド・テン」と呼ばれた人物らが追放された。本作の脚本家であるトランボもその一人であったため、友人の脚本家イアン・マクレラン・ハンターが、本作の原案と脚本にその名前をクレジットした。

ワイラー監督の意向から、撮影はローマでロケをすることとなった[11]。パラマウントも、イタリアで稼いだものの国外には持ち出せないリラを制作費に充てられるために反対はしなかった[12]
オードリー・ヘプバーンの起用衣装テスト中のオードリー・ヘプバーン。

最初にヒロインの王女役候補に挙がっていたのはエリザベス・テイラーであった[4][6][5]。監督がフランク・キャプラからウィリアム・ワイラーに変わってからはジーン・シモンズの名前が挙がった[13]。しかし彼女と専属契約をしているハワード・ヒューズが貸し出しを拒否したことで実現しなかった[4][11]

グレゴリー・ペックも最初は出演を渋ったがワイラーが説得、出演を承諾した[11][14]。しかし予算の問題もあり、大スターを2人使うことは問題外であった[9]。インタビューでワイラーは「主役にグレゴリー・ペックを使えると決まって急に具体化しました。相手の王女役に大スターを使う必要がなくなったからです。そこで私は無名であっても王女の役にふさわしい娘さんを捜しにかかりました。」と答えている[15]

パラマウントの各海外拠点が何人か王女役を提案し、特にシュザンヌ・クルーティエ (en:Suzanne Cloutier) とコレット・リペール (en:Colette Ripert) の2人が際立っていた[9]。1951年7月にはパラマウント社ロンドン支社のリチャード・ミーランド製作部長は、「『ローマの休日』の新しい候補、オードリー・ヘプバーンを発見した。『素晴らしき遺産』で彼女が演じた小さな役に感銘を受けた。」とニューヨークの事務所にヘプバーンを推薦した[4][7]。ロンドンに立ち寄ったワイラーはヘプバーンに会い「何か独特の個性を持っているという強い感銘を受け、早速カメラ・テストをすることにしました」と答えている[15]

当時、ヘプバーンは映画界では無名に近い存在であったが、その彼女をロンドンのパインウッド撮影所に呼んで1951年9月18日にスクリーン・テストを受けさせた[16]。監督はヘプバーンの希望で『初恋』の監督だったソロルド・ディキンソン[16]。他に俳優でライオネル・マートンとキャスリーン・ネズビットが出演した[17][18]。ワイラーはありのままのヘプバーンを評価するために、ベッドから起き上がるシーンのテストが終わってもカメラを回して撮影しておくように指示した[19][20]。テストが終わったと思い込み、笑顔で伸びをする自然なヘプバーンのフィルムを見たワイラーはヒロインに抜擢することを決めた[21][22][15]。シュザンヌ・クルーティエもテストを受けたが、明らかにヘプバーンが最善の選択であった[9]

この時、パラマウント社ロンドン支社のミーランド製作部長はヘプバーンにキャサリン・ヘプバーンと混同されるので改名してはどうかと打診している[23][24]。その時彼女は「私をお望みなら、名前も採用してください」と答えている[23][24]

グレゴリー・ペックも彼女の才能を認め、新人であるにもかかわらず自分と同等のクレジットを与えることをエージェントとスタジオに要求[25][26]。ヘプバーンは映画のタイトルの前に主演としてグレゴリー・ペックと共に載った[27][26]


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