ロード・ムービー
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

「開拓者精神」や「発見」を描いている点も西部劇と類似する[9]。ロードムービーではカーオーディオから流れ、登場人物が聴いている曲をそのままサウンドトラックとして用いることが多い[10]。1960?70年代、それはロックであった(「イージー・ライダー」(1970)ではジミ・ヘンドリックスバーズステッペンウルフの曲が流れた[11])。

1930年代の初期の作品では男女のカップルが多かったが[4][6]第二次大戦後は男性二人組が主流になり、女性が登場しても短時間の道連れが多かった。まれに「テルマ&ルイーズ」(1991)のように女性二人が主役の作品もある[9]。「バニシング・ポイント」(1971)は男ひとりであった。 1990 年以降はドライバーの多様性が増した。「プリシラ」(1994)はオーストラリアの砂漠を旅するドラァグクイーンのグループを描いている[9]。 HIV 陽性 のゲイ男性 2 人による『リビング・エンド』(1992)、3人のドラァグクイーンによる「3人のエンジェル」(1996) 、アメリカ先住民2人による「スモーク・シグナルズ」(1998)、大人数による「ゲット・オン・ザ・バス」(1996)などがリリースされた。
ジャンルと制作要素

ロードムービーというジャンルは曖昧でわかりにくい[7]。ティモシー・コリガンは、どうしてもいろんな作品が入ってきて、他のジャンルと重なってしまう傾向があると言う[12]。 デヴィン・オージェロンは、文字通り解釈すれば自動車旅行であるが、映画の歴史、映像文化そのものであり、古典的なハリウッド映画のジャンルのミックスであると言う[12]

ロードムービーには、ロードホラー(例:「ニア・ダーク/月夜の出来事」(1988))、ロードコメディ(例:「アメリカの災難」(1996))、ロードレース映画(例:「デス・レース2000年」(1975))およびロックコンサートツアー映画(例:「あの頃ペニー・レインと」(2001))などの多くのサブジャンルがある[8]フィルム・ノワール・ロードムービーには、ヒッチハイクにまつわる恐怖とサスペンスを描いた「恐怖のまわり道」(1945)、「Desparate」(1947)、「ヒッチ・ハイカー」(1953)や、アウトローをテーマにした「夜の人々」(1948)や「拳銃魔」(1952)などがある[8]。 フィルムノワールの影響を受けたネオノワール時代のロードムービーとして、「ヒッチャー」(1986)、「Delusion」(1991)、「レッドロック/裏切りの銃弾」(1993)、「ロードキラー」(2001)などがある[8]

ロードムービーは重要で人気のあるジャンルであるにもかかわらず、映画史上では見過ごされている[5]。 映画の主要なジャンルとして扱われないことが多く、「ロードムービーの基準を満たす条件」についてはほとんど検討されていない[13]
歴史

ロードムービーのルーツはオデュッセイア[5]アエネーイスといった古代の叙事詩にある。現代の脚本家もロードムービーを好む。ドイツの教養小説のように、旅で経験したことを糧として、ヒーローが成長していく。重要なのは目的地ではなく、過程である。デヴィッド・レイダーマンはロードムービーに影響を与えた文学として、旅をしながら世の中を風刺した「ドン・キホーテ」(1615)、ミシシッピ川の川下りが社会批評となっている「ハックルベリー・フィンの冒険」(1885)、コンゴ川を遡行しながら悪徳商人をさがす「闇の奥」(1902)、旅を通じて近代社会を批判した「恋する女たち (D・H・ローレンス)」(1920)などをあげた。古い価値観に反抗してカップルがあてもない放浪の旅に出る「恋する女たち」のストーリーは今日のロードムービーに通じる[5]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:74 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef