ロードス島戦記
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建国から400年以上と現存するロードス国家中では最古の歴史を誇り、千年王国(ミレニアム)と称せられる大国。

北西部でヴァリスとフレイム、南部でカノンと国境を接し、北部にマーファ大神殿やドワーフの「鉄の王国」がある。南西部国境には、近年まで通行不可能だった「帰らずの森」が広がっている。

精強な鉄網騎士団を擁し、更に騎士団以上と噂されるレンジャーで構成された遊撃隊と銀蹄騎士団と呼ばれる魔法戦士隊(魔法戦士はアラニア独自の特別な騎士。モスで言う所の竜騎士のようなもの)の二大部隊を有する軍事大国でもある。

ロードス島唯一の魔術師ギルドである「賢者の学院」があり、安定した国情を背景に古くから古代語魔法の研究が盛んであったが、英雄戦争時の混乱の中、学院から破門されたのを逆恨みしたバグナードの報復によって滅ぼされてしまった。

魔神戦争では神出鬼没の魔神に対して無為無策に終始し、逆に民衆を守るためにマーファ神官を中核に自然発生した自衛団と感情的に対立、大国ならではの腐敗の深刻さを露呈した。

英雄戦争時では当初旧カノン国境を閉鎖して対マーモ包囲網の一角を担い、ノービス伯アモスンを援軍としてヴァリスに派遣した(ノービスはアラニア第二の都市、北西部の中心でヴァリス・フレイム方面への交通の要衝)。しかし国王カドモス七世の実弟・ラスター公爵がマーモに唆されて野心に目覚め、兄王を暗殺したことで状況は急変。王都を中心に南部を支配して国王を僭称するラスターと、急遽ヴァリスからノービスへ戻ったアモスンの間で泥沼の後継者争いが勃発したことで英雄戦争どころではなくなり、長きにわたる内戦状態となる。

英雄戦争が一応の結末を迎えた後もアラニアでは内戦が続き、パーンの出身地ザクソン村を中心とする北部地域では両勢力から距離を置いた半独立的な自治組織が形成された。この自治運動には、この頃「北の賢者」と呼ばれるようになっていたスレインや、セシルなどスレインの弟子たちが関与していた。

邪神戦争時には、ラスターがアモスンを討ったことで内戦に勝利し、一旦は国内を統一した。しかしアモスンの遺児・ロベスがフレイムへ亡命し、自らを大義名分とするアラニア侵攻をフレイム国王カシューに要請した。カシューもアラニア経由での旧カノン領およびマーモ侵攻を目指したため利害が一致し、アラニアとフレイムの全面戦争が勃発した。長年内戦が続いていたアラニア軍は練度が高く、大規模な戦いが10年ほど絶えていたフレイム軍に大きな打撃を与えたが、フレーベ、ウォートという英雄たちがフレイム軍に加勢したこともあってアラニア軍は敗北。ラスターは国王殺しの罪で処刑され、ロベスII世が即位した。

国家への帰属意識が薄れていたザクソン自治領も、もともとアラニア貴族の血筋であったセシルが叙爵し、ザクソン伯爵領として併合された。しかし後にセシルは王都アランで不可解な死を遂げ、以降50年以上に亘ってザクソンを始めとする北部アラニアは新領主を拒否し、再び完全な自治状態になる[8]
歴代アラニア王

建国王 カドモスI世

(数代不明)

カドモスVII世

(僭王ラスター)

ロベスII世

ヴァリス

王都ロイド。至高神ファリスを奉じる神聖王国で、国民の大半がファリス信者である。南部でカノン、東部でアラニア、北部でフレイム、西部でモスに接しており、文字通りロードス島の中心に位置している強国。

君主制ではあるが世襲は否定し、代々の国王は聖騎士団から選ばれることが慣例となっており、選出する際も過去に王を輩出していない血統が好まれる。「正義と秩序」の名の下に聖騎士団とファリス教団による果断な(ある意味では独善的な)政策を取ることが多い。魔神戦争時には当時のワーレン王が狂気と病に倒れ、後継者が決まらない王不在という異常事態であり、ついに聖騎士団もファリス教団も有効な対策を取り得なかった。魔神戦争後は「六英雄」の一人で、聖騎士団を抜けて単独で「百の勇者」に加わった「白き騎士」ファーンが即位した。

英雄戦争では「英雄王」ファーンを戴き、対マーモ連合の盟主として「暗黒皇帝」ベルドのロードス島統一の前に立ちはだかる。最終決戦で辛くも勝利するが、ファーン王の戦死をはじめ国が傾くほどの大打撃を蒙った。

その後を継いだエト王は、例外的に神官出身であるため「神官王」と呼ばれ、その治世下で国力の回復と旧領奪還に専念する。邪神戦争にも参戦したが、往年の国力にはまだ及ばず、また穏健なエト王の性格もあって、フレイム主導の戦いに加勢する形となる。

宿敵であるロードス最大の勢力ファラリス教団との戦いとなったマーモ島での最終決戦では、暗黒神降臨などの苛烈な反撃に遭い、聖騎士団の2/3と民兵の半数を失う大きな被害を受ける。また、最高司祭ショーデルによる暗黒神降臨の場に居合わせて石化を免れたのは、ファリスの強い加護に守られたエト王ただ一人であった。

終末戦争後にエト王は退位して聖職に専念し、代わってウィントンが国王に即位した[9]
歴代ヴァリス王

建国王 アスナーム

(数代不明)

ワーレンI世

(1代不明)

ファーン

エト

ウィントン

フレイム

首都ブレード、王城はアーク・ロード。英雄戦争の4年前にロードス島北部の砂漠地帯に建国された新興国。古代魔法王国時代から長年に渡って「風の部族」と「炎の部族」の二大遊牧民が対立を続けていた一帯で、フレイム王国は風の部族の支持を受けた傭兵出身のカシューが建国した。

英雄戦争には隣国ヴァリスからの要請に応じて参戦し、両雄の一騎討ちのあと勝ち残ったベルドをカシュー王が討ち果たすなど活躍を示した。その後は敵対していた炎の部族を取り込み国内を統一、更にカノンやヴァリスからの難民流入で混乱していた南部の都市国家ローランやマーニーを吸収し、急速に国内の社会基盤を強化していった。また肥沃な未開地「火竜の狩猟場」への入植に成功し、マーモ帝国のロードス本島侵攻以降、統治能力が低下していた自由貿易都市ライデンを保護下に加え、戦乱で疲弊した他国から強国として認知されるに至る。

しかも国土の大半を占めていた砂漠地帯は「炎の魔神事件」で精霊力が正常化したため徐々にかつての肥沃な土壌に戻りつつあり、難民入植地「火竜の狩猟場」の発展と合わせて国力の向上は尚も続いている。一方で砂漠の緑化が進むにつれ、水害が多発するようになり、治水が新たな課題になっている。当初は王都の中心にあった王城アーク・ロードも、基礎が川に侵蝕されるようになったことで、西端の丘へと移転した[10]。また、同様に砂漠の縮小に伴い、アラニアとの間に国境問題が発生している[11]

果断で聡明なカシュー王の統治の下でロードス諸国の指導的立場を確立、邪神戦争では積極的に邪神阻止に動き、マーモ寄りのアラニアを突破してルードの街に向かう策を立てるも、長期の内戦により歴戦の騎士・戦士の揃ったアラニア軍に苦戦を強いられる。カシュー王の奮戦とウォートやフレーベの助勢で辛くもアラニアを下すも、長らく平和な時代を享受していたフレイム軍の被害は予想を遥かに越える物だった。

マーモ本島では各国の軍に先駆けて先陣を切る。闇の森での戦いでは召喚された「炎の精霊王」エフリートにより「砂漠の鷹」騎士団フォザル隊が全滅するなど、多大な犠牲を払いつつも、邪神戦争に勝利する。邪神戦争後、暗黒の島マーモを飛び地のフレイム領マーモ公国として統治し正常化に取り組むが、カーディス教団の襲撃によりマーモ公国は滅亡する。公国の残党やロードスの騎士パーン率いる義勇軍によってカーディス教団は駆逐されるが、フレイム領としての体制維持は不可能と認めざるを得ず、王族は同一民族でありながらマーモ王国を独立させることになる。
歴代フレイム王

建国王 カシュー・アルナーグI世

(2代不明)

スロール

ディアス

モス

統一国家ではなく、所属各国の国王の中から選帝会議で公王が選ばれ諸国家を代表する形式の公国(公国とは一般に、王国の中で高い自治権を持つ貴族領 = 王国より下位を意味し、後述のマーモ公国がこちらの意味での「公国」だが、モスにおいては逆に王国の集合体 = 王国より上位が「公国」である)。ロードス島南西部を占める山岳地帯にハイランドやハーケーン、ヴェノンなど大小の国家が割拠し、各国の国王は「太守」とも呼ばれる。滅亡した南のドワーフ国「石の王国」は、モス地方南東部にある山岳地帯に存在していたが、モス公国には含まれない。

古くから諸国間の小競り合いが頻繁に起き、戦いが絶えない事から戦神マイリーの信徒が多いのが特徴で、“戦神の王国”とも言われる。他に、が多く棲むことから“竜の王国”とも言われる。

現在のモス公国は約250年前に、当時のライデン王国の脅威に対抗して結ばれた対外相互防衛協定とも言うべき「竜の盟約」に基づいて誕生。加盟国は竜に因んだ二つ名を持つ。


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