ロンドン地下鉄
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歴史1861年のキングス・クロス駅付近のメトロポリタン鉄道建設工事の様子ロンドン地下鉄の愛称 "the Tube" はチューブに似たトンネルの形状が由来。トンネルの断面に合わせた大きさの車両を運用している

ロンドン地下鉄の最初の開通区間(メトロポリタン鉄道のパディントン駅 - ファリンドン駅間)は、世界初の都市内地下旅客鉄道である[2]。この方式が採用されることとなった1854年以降、財政上その他の障害による遅れはあったが、1863年1月10日に開業した[2]。列車は10分ごとに運転され、開業初日には約4万人が利用した。このメトロポリタン鉄道は延伸され、1880年には年間4,000万人を輸送するまでに成長した。他の鉄道会社もこれを機に地下鉄事業に参入し、1884年サークル線が完成した。

これらの路線はすべて蒸気機関車牽引の列車であり、地上との換気を行う必要があった。よって煤煙によって駅は煤だらけとなり、当時のホームは木造だったためにしばしばボヤも発生するなど、評判は必ずしも良好ではなかった。のちには電気動力方式が発展、また初期用いられた開削工法から、シールド工法などより深いトンネルを掘削する技術が進歩したこともあり、地下鉄はより深い位置に敷設されるようになった。

深い地下鉄の最初の例は1890年のシティー&サウス・ロンドン鉄道線、現在のノーザン線の一部である。

20世紀に入ると、6つの異なった鉄道会社が別々の地下鉄路線を運営するようになった。しかし、他の路線に乗り換えるには多くの駅で地上まで出て歩く必要があり、利用者に不便を強いていた。またこのような運営方式はコスト面からも効率が悪かった。

どの鉄道会社も、より収益性の高い郊外への延伸を目指していたが、それには資本家からの投資が必要とされた。その中で最も有名な存在とされるがアメリカ人のチャールズ・ヤーキスである。ヤーキスは1900年から1902年にかけて、メトロポリタン・ディストリクト鉄道、未完成のチャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道(のちにノーザン線の一部となる)、グレード・ノーザン・アンド・ストランド鉄道、ブロンプトン・アンド・ピカデリー・サーカス鉄道(ピカデリー線の中核をなす)、そしてベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道(のちにベーカールー線となる)を次々に買収し、1902年4月9日にロンドン地下電気鉄道会社(Underground Electric Railways of London Company Ltd)を創設した。この会社は多くの路面鉄道を所有し、さらにロンドン・ジェネラル・オムニバス会社を買収して、「コンバイン」と称される企業組織となった。

1924年5月13日、デイジー・ハモンドなる女性がベイカールー線エレファント&キャッスル駅で出産した。新聞はその生まれた女児がテルマ・ウルスラ・ベアトリス・エレノア(Thelma Ursula Beatrice Eleanor=TUBE)と命名されたと報じた。成人したその女児が2000年のテレビ・インタビューに出演し、当時の地下鉄総裁アシュフォード卿を名付け親に、Mary Ashfield Eleanorと命名されたという事実が判明するまで、その誤報は見過ごされていた。

1933年、公共機関としてロンドン旅客輸送委員会(London Passenger Transport Board; LPTB)が創設され、前述のロンドン地下電気鉄道会社、メトロポリタン鉄道、独立のバス、路面電車会社はすべてこの委員会の傘下に入った。現在のロンドン交通局と概ね共通する業務範囲である。委員会は「1935年40新規事業計画」という路線網拡張計画を策定したが、第二次世界大戦の開戦により計画は凍結された。ドイツによるロンドン空襲が開始されると、地下鉄駅は防空シェルターとして利用されるようになる。当初は一時凌ぎのための対策として始まり、当局はシェルターとしての利用に反対していたが、後には適切な寝台、便所、食事施設なども備えられるようになった。

戦後は人口膨張にともなう混雑の激化を受け、1968年に北西 - 南東方向を結ぶヴィクトリア線が開通した。1977年にはピカデリー線ヒースロー空港まで延伸され、また1979年にはジュビリー線が開通した。

2005年7月7日および7月21日、ロンドン地下鉄の各所で連続爆破が発生した。これに関してはロンドン同時爆破事件を参照。

地下鉄を用いて棺が移送されたのはウィリアム・グラッドストンとトーマス・ジョン・バーナード(慈善家)の2人である。

2013年1月13日、ロンドン地下鉄開業150周年を祝う行事が行われ、メトロポリタン鉄道Aクラス蒸気機関車が牽引する列車がモーゲートからケンジントン・オリンピアまで走行した。この列車にはロンドン市長なども乗車した[2]
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