ロマンシュ語
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更にスイスでは頻繁に行われる国民投票に当たって、討論番組も放送されている[12]。テレビの他には、国立ロマンシュ語ラジオ「Radio Rumantsch」[13]と民間ラジオ「Radio Engiadina」[14]がロマンシュ語で放送される。「La Quotidiana」というロマンシュ語の日刊新聞が1997年に設立され、Sudostschweiz新聞社によって出版されている[15]。「Posta Ladina」はエンガディン地方の新聞で、部分的にロマンシュ語のVallader方言およびPuter方言を用いる。週に3回出版されている[16]

このほか、スイスの国立放送局の建物内の表記(スタジオ、放送室、出入口、トイレなど)は基本的にロマンシュ語を含めてドイツ語、フランス語、イタリア語とともに4言語表記されている。
イタリアにおけるレト・ロマンス諸言語

ロマンシュ語と親類関係にある同じレト・ロマンス言語群に属する言語で、現在も使用されているものに、イタリア北部のドロミテ山岳地帯で話されているラディン語、および、イタリア北東部とスロベニアの国境付近のフリウーリ地方で話されているフリウリ語がある。後者は50万人の話者を持ち、レト・ロマンシュ言語群では最大であるが、スイスにおける公用語のような地位はイタリアでは獲得していない。
正書法
アルファベット順と音素
アルファベット順

主に24文字が使用される。

A, B, C, D, E, F, G, H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, U, V, (W), X, (Y), Z.

WとYは外来語や借用語を除いて通常使用されない。
発音
母音

ロマンシュ語の母音には長短の区別がある。(簡単のため、本項では明記しない。)

a, i : ローマ字読み同様の「ア」「イ」

e, e, e :

/e/, /?/ (最後の音節で、発音しないeでは無いことを明示する時、あるいは同音異義語を区別する時に使われる)

ヴァラデル方言では、[e]は使用されず、[e]が閉音をあらわす。


e :

/e/, /?/

語尾が -el, -em, -en, -er (単音節は別)の時 : 発音しない(フランス語の[e]と同じ)


o (エンガディン方言) : /o/ (ドイツ語と同じ。フランス語の[eu]に対応)

u (エンガディン方言) : /y/ (ドイツ語と同じ。フランス語の[u]に対応)

多くの二重母音は、書かれる通りに発音する。

強勢アクセントははっきり発音され、最後の2母音のどちらかにある。例えばヴァラドル方言では、sanda "健康"は最後の音節に、sonda "土曜日"は最初の音節にアクセントが置かれる。pajanはどちらのケースもある。

強勢アクセントは、辞書や文法書で、母音の下に点で表示される。
子音

b, d, f, k, l, m, n, r, t, v : ローマ字と同じ。

c :

a, o, uの前 : /k/ (カ行)

e, iの前 : /?/ (ツァ行)


ch :

エンガディン方言 : /?/ 口蓋化したチャ行の音。

スルシルヴァン、ストシルヴァン、スルミラン方言(e,iの前) : /k/ (カ行)


dsch (エンガディン方言) :

原則 : /?/ (ジャ行に近い)

ドイツ語の影響で、しばしば /?/ (チャ行に近い)と発音される。


g :

a, o, uの前 : /?/ (ガ行)

e, i, o, uの前 : /?/ (ジャ行)




tgに対応した有声音である。

ヴァラデル方言では、語頭で、半母音 /j/ (ヤ行)の音になる。


gl (i, uの前と語尾), gli (a, e, o, uの前) : /?/ (リャ行)。

例: glima ≪ 石灰 ≫, egl (エンガディン方言ではogl) ≪ 目 ≫.

gn : /?/ (ニャ行) : muntogna ≪ 山 ≫)

h :

語頭 : 一般的には発音しないが、ドイツ語由来の言葉は除く

母音と母音の間 (スルシルヴァン方言)、語末(プテル方言) : 有気音


j : /j/ (ヤ行、半母音)

qu' : /kw/ (クヮ行、イタリア語のquattro, quiの様な音)

s :

/s/ 無声のs、母音の間に挟まれた時のみ。 : (ヴァラデル方言) ses ≪ 6 ≫, sesanta ≪ 60 ≫ ; (スルシルヴァン方言) sis, sissonta ; (グリゾン方言) sis, sessanta.

/z/ 有声のs、語頭の場合。 : rosa (エンガディン方言 rosa) ≪ 薔薇 ≫, sut (エンガディン方言 suot) ≪ ?の下で ≫.

無声子音の前 (語中に限る) : /?/ (シャ行) : festa (スルシルヴァン方言 fiasta) ≪ 祭 ≫。 /f??ta/ (フェシュタ)、/fja?ta/ (フィヤシュタ)と発音。 sco (プテル方言 scu) ≪ ?の様に ≫。/?ko/ (シュコ), /?ku/ (シュク)と発音する。

有声子音の前 : /?/ (ジャ行) : エンガディン方言 sdun ≪ スプーン ≫ (スルシルヴァン方言とグリゾン方言では?tschadun“)。/?dun/ (ジドゥン)、/?adun/ (チャドゥン)と発音。


sch :

無声のsch: /?/ (シャ行) : schanza ≪ 機会 ≫, sche (エンガディン方言ではscha) ≪ もし ≫, nascher (スルシルヴァン方言ではnescher、最初の音に強勢) ≪ 生む ≫ 。

有声のsch: /?/ (ジャ行) : Grischun (名詞 : グリゾン州の住民), grischun (形容詞 : グリゾン州の), schanugl (エンガディン方言ではschnuogl) ≪ 膝 ≫


s-ch (エンガディン方言) : sch + 口蓋化したtch (参考: 無声子音の前、エンガディン方言でのch音の下のルール)

tg (スルシルヴァン、ストシルヴァン、スルミラン、グリゾン方言) : /tc/ (チャ行)。ドイツ語のPlattchenと比較して、ロマンシュ語では一つの音となる。フランス語の、ti,tuの子供発音に近い。

tsch : フランス語の≪ match ≫に近い。ch、あるいはtgとは異なる音。

z :

ts

dz

備考

文字gとlはa,e,o,uの前では別々に発音され、i, uの前でのみ例外となる。

Glatsch ≪ 氷 ≫ /gla?/

(スルシルヴァン方言) Gliergia (プテル方言) Gluergia、Gloria ≪ 栄光 ≫の各方言


gとnが別々に発音される場合がある。ロマンシュ語のmagnet (ドイツ語) ≪ 磁石 ≫.

ロマンシュ語の単語でフランス語に対応する単語がある場合、schの発音は予測できる。以下の例に見られる様に、単語がフランス語の無声のs、ssまたはchに対応する場合、ロマンシュ語では無声のschになる。フランス語の有声のsまたはgに対応する場合、ロマンシュ語では有声のschになる。

ラディン方言(ヴァラデル、プテル)のs-ch音のグループは、他のロマンシュ語方言やグリゾン方言ではstgと書かれる。

グリゾン方言では、/tc/の音は普通tgと書かれるが、aの前で語頭であればchと書かれる。これは、既に存在していたロマンシュ諸語の書法に合わせた結果である。例えば、(ヴァラデル方言) chuna, (スルミラン方言) tgegna, (スルシルヴァン、グリゾン方言) tgina ≪ 発祥地 ≫と書かれる一方、  (ヴァラデル方言) chasa, (スルミラン方言) tgesa、(スルシルヴァン方言) casa, (グリゾン方言) chasa ≪ 家 ≫と書かれる。

脚注[脚注の使い方]^ “ ⇒Population residante permanente agee de 15 ans ou plus, selon la langue principale”. Federal Statistical Office (Switzerland). 2014年11月17日閲覧。
^ Furer, Jean-Jacques: "Eidgenossische Volkszahlung 2000. Die Lage des Romanischen." Bern 2005.
^ 川口マーン惠美『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』講談社、2016年、22頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-06-272965-9。 
^ Gross, Manfred: "Romanisch. Facts & Figures." Chur 2004.
^ a b 河崎靖、坂口友弥、Ruegg Jonas、熊坂亮『スイス「ロマンシュ語」入門』(大学書林、2014年)p.9-29 を参照
^ Furer (2005). p. 21
^ Coray (2008). p. 86
^ Ruckschlag fur Rumantsch Grischun an den Volksschulen. In: suedostschweiz.ch. Online-Meldung, 8. Dezember 2011, abgerufen am 8. Mai 2016.
^ Beschlusse der Gemeindeversammlung Surses. (PDF; 196 kB) In: surses.ch, Gemeindevorstand Surses, 28. Juli 2020, abgerufen am 2. August 2020.
^ (obe/jas/cao): Klares Votum gegen Rumantsch Grischun. In: suedostschweiz.ch, 25. Juli 2020, abgerufen am 2. August 2020.
^ Initiativkomitee fur die Wiedereinfuhrung des Rumantsch Surmiran in der Schule: Botschaft Zur Gemeindeversammlung vom 24. Juli 2020. (PDF; 371 kB) In: surses.ch, Gemeindevorstand Surses, 24. Juli 2020, abgerufen am 2. August 2020.


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