ロボット
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過去にも日本国内で原発ロボットの開発や研究が進められていたが、原発事故に対応できるロボットの実用化には至らなかった[38]。アメリカ空軍は開発中だった原子力飛行機の墜落に備え「ビートル」を試作、原子力飛行機の計画が中止された後は放射性物質を含む瓦礫の除去に用途変更された。

宇宙空間宇宙開発では、周囲の状況をセンサで感じ取り自律的に判断して行動するロボットの重要性は高まっている。たとえば火星探査では、地球-火星間で通信をしようとしても信号がたった1往復するのにも5分?20分もかかってしまい[39]、人間が地球から操縦するラジコン方式ではまともな操縦はできないので、自己判断能力をそなえた無人探査機の開発が求められ、無人火星探査車マーズ・エクスプロレーション・ローバーが開発された。これはあらかじめ装置にどこのエリアを探査すべきなのか命令を与えると、そのエリアへ移動する途中は装置自体が各種センサやカメラを駆使して周囲の状況を理解し、岩や穴などを避け、適切な経路を選ぶ。日本では、自国製ロケットの運搬能力が(生命維持装置を含めた)人間を軌道上に打ち上げるのが難しいこともあり、国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送においては、自動的に軌道修正などを行えるロボット宇宙船(無人のスペースシャトル)の構想が、国内での宇宙開発における主要方針となっている。他にも国際宇宙ステーションからの緊急脱出機材として一時アメリカで開発が進められていた乗員帰還機(CRV)のX-38Xプレーンシリーズ)は国際宇宙ステーションからパイロット無しで脱出・地球への帰還ができるよう、完全自動化する構想であった。開発中止になったが、一種のロボット宇宙船といえる。

水中探査「自律型無人潜水機」、「遠隔操作無人探査機」、および「レスキューロボット」も参照未踏破領域である深海探査には、多くの国が乗り出している。日本には、最大潜航深度7000メートルで世界一の無人潜水船「かいこう7000」が開発されている。また、小型で安価な大量のロボット潜水艦を投入しようという計画もあり、海洋資源開発に期待が持たれている。深海対応型を含め、水中探査ロボットの研究・開発は多くの企業や研究者が取り組んでおり、東日本大震災時は、東工大などが開発した「Anchor Diver 3」、三井造船の「RTV」、米Seamor Marine「seamor-ROV」、米SeaBotix「SARbot」などが遺体や瓦礫の捜索、地形の調査などのために使われた。

火山探査千葉工業大学東北大学筑波大学岡山大学情報通信研究機構(NICT),産業技術総合研究所(AIST)が火山探査を目的にクローラ型移動ロボット「Kenaf」を開発している。
動物の代替

盲導犬軍馬など生物を利用していた分野においては、育成や維持にコストがかかることからロボットで代替する研究が行われている[10]
人命救助詳細は「レスキューロボット」を参照

危険な場所に、人間に代わって導入するロボットをレスキューロボットという。既述の地雷撤去ロボットや、災害などにおける被災者の救護活動を担うロボットなどがある。

レスキューロボットは地震噴火津波などによる被災地に投入して、いち早く被災者を発見・保護することで、救命率の向上と二次災害による被害を防ぐことを目的とする。これらのロボットは、センサーや移動能力を持ち倒壊建物に取り残された被災者の発見に役立てるほか、テムザックの「援竜」のように従来からある建設機械を発展させて二本のアームを備えロボット化し、瓦礫撤去を効率よくこなすことが期待される。

火災の場合では、コンビナート火災など危険すぎて消防隊が突入できない個所にも侵入できる放水銃を備えた無人走行放水車や、危険のともなう火災現場に突入して状況を調べるための偵察ロボット、水中を捜索する水中検索装置・マニピュレーターを備え、要救助者を回収する救出ロボットが、東京消防庁に配備されている[40]。これらはリモートコントロール式の装置であるが、危険個所の消防と被災者の救出に威力を発揮することが期待される。また、2019年には総務省消防庁市原市消防局に消防ロボットシステム「スクラムフォース」を無償貸与した。

2011年3月11日東北地方太平洋沖地震による東日本大震災や福島第一原発事故後には、ロボットを使った人命救助や、原子力災害ロボットの役割の重要性が改めて認識され、研究開発が行われている、多くの研究者や企業が原発災害用ロボットの開発に力を入れている。

テムザック社の T-52「援竜」のように建設機械を改造したロボットも登場している[41]

瓦礫の隙間に入り被災者を探索するロボットの開発も行われているが、昆虫サイズの場合はロボットよりも実際の昆虫をサイボーグ化し遠隔制御た方が省エネルギーとされる[42]
研究用

動物の動作を制御する仕組みを理解するにあたって、脳や脊髄の動的な相互作用を記録することは困難なため、神経科学の研究道具として動物の動作を模したロボットを作り、理解に役立てることがある[43]
競技・興行用詳細は「ロボット競技」を参照

迷路探索から格闘まで様々な競技が行われている。黎明期には技術の実証など研究的側面が強く、DARPAグランド・チャレンジのように公的機関が資金を拠出する競技も多かったが、現代では見た目のインパクトを重視した興行型や純粋に成績を競うスポーツ型の競技も行われ、相撲ロボットのようなルールに特化したロボットが多数開発されている。

多くは無人機によるものだが、2017年には有人機同士による格闘がイベントとして行われた[44]

LAND WALKERは、すり足のため擬似的なものではあるが、人が乗り込んで操縦する二足歩行ロボットである。

前出のASIMOは、宣伝のためにイベント会場にレンタルされている。


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