ロナルド・グラハム
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スケジューリング理論、計算幾何学ラムゼー理論、準ランダムネス(英語版)の分野において重要な研究をしており[3]、「近年における世界的な離散数学の急速な発展の主要な立案者の1人」であるとアメリカ数学会から認められた[4]

彼は、カリフォルニア通信情報技術研究所(英語版)(Cal-(IT)2)の主任科学者であり、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の計算機科学・工学のアーウィン=ジョアン・ジェイコブス教授だった。
生涯

グラハムはカリフォルニア州カーン郡タフト(英語版)で生まれた。1962年にカリフォルニア大学バークレー校で数学のPh.D.を取得し、同年よりベル研究所(後のAT&T研究所(英語版))に勤務した[5]。同所に37年間勤務して、最終的に情報科学部門の管理者となり、1999年に退職した。

彼の1977年の論文は、ラムゼー理論に関する未解決問題について考察したもので、その解の推定値の上限として巨大数を与えた。この数は「グラハム数」と呼ばれており、数学的証明において使用された最大の数として、かつてギネス世界記録に掲載されていた。現在では、TREE(3)などのそれよりも大きな数が知られている。

グラハムは、「エルデシュ数」の概念を普及させた。これは、生涯で大量の論文を発表し、その多くが共著であったハンガリーの数学者ポール・エルデシュに因んで名付けられたものである。ある科学者のエルデシュ数は、共著の出版物で科学者同士を結びつけたときに、エルデシュまでたどり着く最小の科学者の数と定義される。グラハムのエルデシュ数は1である。グラハムはエルデシュと30件以上の論文を共同で発表しており、良い友人でもあった。エルデシュはしばしばグラハムの元に留まり、数学論文や収入の管理さえグラハムに任せていた。グラハムとエルデシュは、若くして脳腫瘍で入院した数学者ジョン・フォークマン(英語版)を、2人で何度も見舞いに行っている[6]。エルデシュの死後は、グラハムが「エルデシュの問題」の懸賞金の管理を行っていた。

1993年から1994年まで、グラハムはアメリカ数学会の会長を務めた。グラハムは、「リプリーズ・ビリーブ・イット・オア・ノット!」で、「世界有数の数学者」であるとともに、「高度に熟練したトランポリン選手およびジャグラー」でもあり、国際ジャグラー協会(英語版)の元会長としても紹介されている。ハンガリー人数学者ピーター・フランクルは、グラハムに会ったことでジャグリングを始めた[7]左からポール・エルデシュ、ロナルド・グラハム、グラハムの妻の金芳蓉(英語版)(1986年、日本にて)

彼は約320の論文と5つの本を出版した。その中にはドナルド・クヌースオーレン・パタシュニクとの共著のConcrete Mathematicsもある[8]

彼は、カリフォルニア大学サンディエゴ校のインターネット数学のアカマイ教授である金芳蓉(英語版)と結婚している。

2020年に84歳で亡くなった。
賞と栄誉

2003年、グラハムはアメリカ数学会のスティール賞生涯業績部門を受賞した。この賞は、同年1月16日にメリーランド州ボルチモアで開催された合同数学会議で授与された。1999年、彼はAssociation for Computing Machineryのフェローに就任した。グラハムは長年にわたって他にも多くの賞を受賞している。彼は応用数理学会のポリヤ賞の最初(1971年)の受賞者の一人であり、Institute of Combinatorics and its Applications(英語版)のオイラーメダルの最初(1993年)の受賞者の一人でもある。
著書

ポール・エルデシュとの共著: Old and new results in combinatorial number theory. L’Enseignement Mathematique, 1980

金芳蓉との共著: Erd?s on Graphs. His legacy of unsolved problems. A. K. Peters, 1998

ヤロスラフ・ネシェトリル(英語版)との共同編集: The mathematics of Paul Erd?s. 2 vols. Springer, 1997

Rudiments of Ramsey Theory. American Mathematical Society, 1981

ドナルド・クヌースオーレン・パタシュニクとの共著: Concrete Mathematics: a foundation for computer science. Addison-Wesley, 1989; 1994

ジョエル・スペンサー(英語版)、ブルース・リー・ロスチャイルドとの共著: Ramsey Theory. Wiley, 1980;[9] 1990

マーティン・グロチェル(英語版)、ラースロー・ロヴァースとの共同編集: Handbook of Combinatorics. MIT Press, 1995

パーシ・ダイアコニスとの共著: Magical Mathematics: the mathematical ideas that animate great magic tricks. Princeton University Press, 2011(オイラー書籍賞(英語版)を受賞)

Rudiments of Ramsey Theory, Second Edition, American Math Society, (2015)

関連項目

カフマン=グラハム・アルゴリズム
(英語版)

エルデシュ=グラハム問題(英語版)

グラハム探索(英語版)

Biggest little polygon

ブールピタゴラス数問題(英語版)

脚注^ O'Connor, John J.; Robertson, Edmund F., “ロナルド・グラハム”, MacTutor History of Mathematics archive, University of St Andrews, https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Biographies/Graham/ .


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