中華人民共和国(以下、中国)の湖北省武漢市で2019年末に発生したSARSコロナウイルス2による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行では2020年に入ってからパンデミック(世界的流行)を引き起こし、中国、イギリス、EU、マレーシア、アメリカ合衆国のカリフォルニア州やニューヨーク州、北朝鮮の開城市、インドなどでロックダウン措置が実施された[20][21][22][23][24]。また同時期には非常事態宣言も発令したが、感染者が減少傾向に見られたため経済活動優先とし一部緩和するなどした。しかしその後、感染者が急激に増加したため、イギリス[25][26]やドイツ[27]、フランス[28]といったヨーロッパなどでは再びロックダウンを実行した[29][30][31][32]。コロナ・ショックと呼ばれる程の世界的な経済困難に陥っているため、1度目よりも規制を緩和したロックダウンを実行した国が多い。
部分的なロックダウン・部分封鎖 (partial lockdown) では、住民の活動の一部が制限される。夜間外出禁止令などがその例である[33][34]。
完全封鎖、フル・ロックダウンでは、住民のほとんどの活動を制限するが、社会の基本インフラストラクチャー(日本でいうところの、いわゆるライフライン[注 1])などの機能を停止することはしない[35]。薬局、薬店、食料品店、生活用品店、公設市場、ガソリンスタンド、修理店、病院、診療所、銀行、証券会社、保険会社、警備会社、公共交通機関、郵便、物流、通信、報道機関、農業、畜産、水産、食品生産、製薬、生活用品生産、電力会社、ガス会社、ゴミ処理、火葬場、警察、消防、国防、国境警備、沿岸警備、税関、官公署などはロックダウン期間中も例外として感染拡大防止策を講じて機能を維持する。また飲食店などは店内飲食は認められないが、持ち帰りと出前については認められる事もある。
日本での実施について「憲法改正論議」も参照
2020年以降の日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に際しては、2020年4月に安倍晋三内閣総理大臣が改正・新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき初の緊急事態宣言を発令[36]した。ただし、諸外国のような行動制限を制定し、違反者に刑罰を与えるロックダウンは日本では行われていない。日本国政府からは「外出自粛要請(お願い)」の形で行われており、罰則や強制力が伴っていない[8]。
安倍総理は2020年4月1日の参院決算委員会で「緊急事態宣言がただちにロックダウンというものではない。フランスがやっているようなロックダウンが(日本で)できるのかといえば、それはできない」と述べた[37]。また、菅義偉内閣総理大臣は、「外出の制限をする法律は、国民の理解をいただかないと難しい」「感染対策の決め手とはならず、各国ともワクチン接種を進めることで日常を取り戻している」として慎重な姿勢を見せている[38]。一方で全国知事会[39][40]や高市早苗[41]、河野太郎[42]は、ロックダウンを含めた法整備を検討すべきだと主張している。