ロックウール
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国際化学物質安全計画 (IPCS) の作成した国際化学物質安全性カード (ICSC) には「長期または反復暴露の場合、人で発ガン性を示す可能性あり」と表記されている[5]

ドイツでは「確率的に発ガン性の可能性あり (probable)」とされている。ただし発癌性が認められたのは、実験動物の腹腔内への投与(1988年)であり人体で発癌性が確認された訳ではない。またドイツでは生体内で溶解しない耐久性断熱材繊維 (bio persistent fiber) を危険物に指定し、建材として生産したり流通させることを禁止する法令を制定(2000年)する一方[6]で、自然系断熱材を使用した家を補助金を支給して奨励している若干特殊な事情[7]がある。

石綿との関係

天然鉱物繊維である
石綿(アスベスト)と外観が似ているが、全くの別物である。単繊維径は3 - 10μmと石綿と比べて非常に大きい。1988年以前に製造されたロックウールは石綿製品のラインを流用したプラントで製造された製品が多く、ライン内に残留した石綿が若干ながら混入している事がある。また、かつては耐火被覆材の吹き付けにロックウールが用いられた際、品質を高めるために繋ぎ剤として石綿が混ぜられていたこともあった。

ロックウールは酢酸に漬けると接着剤が溶けてばらばらになるが、石綿は酢酸に漬けても変化しないので鑑別できる。また指で揉むとロックウールは粉末状になるが、石綿は細かくなるものの繊維の形状を保つのが特徴である。工業的には、X線回折法によって完璧に鑑別できる[8]

鉱物性繊維は、その成分には関係なく、(1) 繊維が細いこと、(2) 肺胞内マクロファージの貪食作用に耐える、という2点に合致することで発癌性が発揮される[9]。発癌性の低さはあくまで「石綿と比較して繊維が非常に太い」ことによるためであり、石綿と違う成分であることに由来するものではない[10][11]

廃棄

廃棄物として発生したロックウールは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当し、産業廃棄物として適切に処理することが必要で、埋め立て等によって処分される。
脚注^WS&H Asbestos Database
^ロックウール工業会FAQ
^ かつてはIARCもグループ2B(グループ2Bとは、コーヒー漬物ウレタンスチレンモノマーガソリンと同等の発癌性)に分類していた
^morganthermalceramics FAQ
^ロックウールを取り囲む世界の状況について
^ガラス繊維の健康安全性について
^ 自然系断熱材を使用すると1立方メートル当たり40ユーロが還付される
^ ロックウール工業会FAQより引用
^ 荻原,「脱アスベストに見る代替材料の落とし穴」,『日経ニューマテリアル』,1992年3月9日号,pp.12-23
^ 森本,「人造鉱物繊維の発がん性について─国際がん研究機関(IARC)の報告─」,『産業医学ジャーナル』,Vol.3,No.3,2002年
^ 中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター,『平成15年度 石綿代替品の有害性に係る文献調査報告書』,2004年

関連項目

グラスウール

断熱材

セルロースファイバー

外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、ロックウールに関連するメディアがあります。

ロックウール工業会

ロックウールとアスベストの違い (PDF)

典拠管理データベース: 国立図書館

日本


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