ロックの殿堂
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そのコレクションには、アレサ・フランクリンマドンナによる直筆の個人的な手紙、ジミ・ヘンドリックスLL・クール・Jによる手書きの作業歌詞、スー・キャシディ・クラーク等による音楽ジャーナリストの論文、1970年代にCBGBで採れたレアなコンサート録音、といった重要な個人的物品も含まれている[46][47][48]
批判

殿堂への最も多い批判は、候補選考のプロセスが創設者のヤン・ウェナーやスーザン・エヴァンズ、作家のデイヴ・マーシュなど、ミュージシャンではない少数の個人によって管理されている点であり、ロック界全体の見解ではなく彼らの個人的な好みを反映していると言うものである。選考委員会の元メンバーは以前「スーザン・エヴァンズは晩餐のチケットを売れるビッグネームが十分でないことを理由にこの選別が行われたことを嘆いていました。それはドゥーワップのとあるグループを削除することですぐに修正されたのですが、アーティストの「名前」で好みを選んでいたように思えました。[中略]リストにもっと知名度が必要だからと、50年代から60年代初期の先駆的なアーティストが外されていく様子を私は目の当たりにしました。結果として70年代のスーパースターが、それを成し遂げられるようにした人達よりも先に(殿堂入りを)獲得しました。こうした数名の先駆者は現在もまだ入っていません」と語っている[49]シスター・ロゼッタ・サープは「ロックンロールのゴッドマザーないしグランドマザー」[50][51] と見なされることも多いが、2017年まで殿堂入りに選ばれなかった。ベルベット・アンダーグラウンドモーリン・タッカーはこの殿堂を「ダサい殿堂」だと吐き捨てた[52]

また、選考プロセスの不透明性に対する批判も存在する。ニューヨークタイムズ紙は次のように書いている。

名声とお金がかかってくるので、多くのロビー活動が舞台裏で行われているのは驚くことではない。特定のある年に幾人かのある演者が特定して選ばれる理由は部外者のみならず当事者達にとっても謎であるが、委員会のメンバーはそれを維持したいと言っている[53]

候補指名委員会のジョン・ランドー会長は、その方法を委員会が望んでいるとして「我々は議事録を不透明のままにしておく良い仕事を成し遂げているのです。全てが部屋の中で完結するのです」と発言している[53]

FOXニュースによると、数万の署名を伴う請願も無視されており、そのうえで特定レコード会社や企業と共に署名活動したり様々な委員会メンバーを傘下に置いた幾つかのグループは議論も一切されることなく指名候補に担ぎ上げられている[49] 。同委員会またはある特定ジャンルの大部分を無視していることで非難されている[54]。著述家のブレット・ミラノによると「ジャンル全体が飛ばされているのは、特にプログレッシブ・ロック、60年代のトップ40、ニューオーリンズのファンク、そして多くのブラックミュージックである」という[55]

もう一つの批判は、殿堂入りしたアーティストが多すぎる点である。この15年で、97組のアーティストが殿堂入りした[56] 。殿堂入りには最低50%の投票が必要だが、最終的なパーセンテージが発表されることはなく、投票用紙が発送される前に殿堂入りとなる確定人数が設定される[56]。候補指名委員会の元メンバーだったジョエル・セルビンを含む一部の投票者は、いずれの候補者も本当に価値があると思えなかったため、2007年には票を投じなかった[57]

2006年に殿堂入りしたパンクロックの英国バンドであるセックス・ピストルズのメンバーは、この博物館を「小便のしみ」「ワインに入れた尿」呼ばわりして、式典への出席を拒否した[58]

2013年にBBCの音楽ラジオ局 (BBC Radio 6 Music) で行われたジョン・ピールの講談で、歌手シャルロット・チャーチは「ロックの殿堂に入った295組の演者とアーティストのうち、全体の259組が男性で、36組の女性演者の1人はティナ・ウェイマストーキング・ヘッズ加入による」と指摘して、同博物館の性差別を非難した[59][60]。事実、殿堂入りした女性の実際の割合は8.5%である[61]。全部門を合算しても、殿堂入り達成者719人のうち女性は61人となっている[62]

2016年の殿堂入り達成者スティーヴ・ミラーは、自身の殿堂入りスピーチや特にその後のインタビューの両方で、この殿堂について苦言を呈した。その批判には、女性の殿堂入り達成者が全体的に不足していること、音楽教育に対して殿堂による支援が十分でないこと、授賞式での殿堂入り達成者の扱いがぞんざいであること、といった彼の見解が含まれていた[63]

2018年、アイアン・メイデンブルース・ディッキンソンはこの殿堂を「全くの完全なるデタラメの塊だ。[中略]目の前で起こったとしてもロックンロールを知らないのだろう独善的な血まみれアメリカ人の集団によって運営されている」と批判した[64]。ディッキンソンはまた「博物館に(音楽を)入れると、後にそれは死んでしまう」とも主張して、殿堂の存在に対する全体的な嫌悪感も表明している。アイアン・メイデンは2004年より殿堂入りする資格があった[65]

ハードロックとヘビーメタルのウェブサイトBlabbermouth.netは、キッスが殿堂入りまでに15年、ディープ・パープルが23年かかった様子を観測していた[66]ジューダス・プリーストイアン・ヒルは自身のバンドが殿堂入りしない点に関して「概ね彼らがヘビーメタルの音楽を好んでいると自分は考えていない」と2019年のインタビューで語っている[66]

2018年、英国ロックバンドのダイアー・ストレイツが殿堂入りした時、グラミー賞を受賞したバンドリーダーのマーク・ノップラーはこちらの式典に出席せず、公式な説明もなかった[67]デイヴ・マシューズ・バンドは、ファン投票で1位だったにもかかわらず部門に入っていなかったため、2020年の指名選考を非難した者も幾人かいた[68]
デイヴ・クラーク・ファイブ

2007年3月14日、その年の殿堂入り式典の2日後にFOXニュースはデイヴ・クラーク・ファイヴが5番目で殿堂入り達成者になるべきだと主張する記事を発表した、というのも彼らは殿堂入りしたグランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイヴよりも得票が多かったのである。同記事では続けて、ヤン・ウェナーが投票予定日に関するこじつけを使ったと主張している[69]。実際、デイヴ・クラーク・ファイブはグランドマスター・フラッシュよりも6票多く獲得していた。

ロックンロールの殿堂財団は「これには様式や規則や手順があるのです。投票が行われるべき指定時間があり、その後で票数集計が行われます。得票上位5組のバンドが(殿堂入りを)獲得しました」と回答した[70]。その後デイブ・クラーク・ファイブは再び候補指名され、翌年に殿堂入りとなった[71]
モンキーズ

2007年6月、ピーター・トークはウェナーがモンキーズを追い出したと「ニューヨークポスト」紙に不平を主張して、次のようにコメントした。.mw-parser-output .bquote cite{font-style:normal}

(ウェナーは)規則が何であるのか気にも留めず、自分がちょうどいいと思う方法で運用しているに過ぎません。それは権力の濫用です。モンキーズが殿堂入りしたかどうか自分には分かりませんが、個人的な気まぐれから自分達が入らなかったのはほぼ明らかです。ヤンは他の誰よりも苦労したと思われていますが、40年経って、誰もが「大変な事って何だよ? 他の誰もがそれ(音楽スタジオやバックバンドの使用)をしているよ」と言っています。


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