3階には博物館の殿堂セクションがある。この区画にあるのがジョナサン・デミの遺作を含む『The Power of Rock Experience』で、この映画はコナー劇場(Connor Theater)で上映されており、殿堂入り式典のハイライトが幾つか入っている[13]。4階は殿堂セクションの出口で、このフロアは最先端の3Dシアターで特別なイベントや演目に使用されるフォスター劇場(Foster Theater)が特徴である[14][15]。
最後に、殿堂の最上階2フロアは巨大な仮設展示室である。長年にわたってこの2フロアでは、エルビス・プレスリー、シュプリームス、ザ・フー、U2、ジョン・レノン、ザ・クラッシュ、グレイトフル・デッド、ブルース・スプリングスティーン、ローリングストーンズなど多数の展示が設置されている。
この殿堂で演奏したクリーブランド地域のミュージシャンやバンドとしては、1995年の殿堂開業時にプリテンダーズ(アクロン出身のクリッシー・ハインドが在籍)、2001年のジェイムス・ギャング(ジョー・ウォルシュ在籍)とフー・ファイターズ(ウォーレン生まれのデイヴ・グロール在籍)、2007年のヴェルヴェット・リヴォルヴァー(スコット・ウェイランドがクリーブランドに一時在住)、2009年のラズベリーズとボビー・ウーマック、2014年にマシン・ガン・ケリーがいる[16]。
建築ロックンロールの殿堂。手前に見えるのがエリー湖
I・M・ペイによって設計され、Leslie E. Robertson Associatesによって構造設計された建物は、エリー湖畔にそびえ立っている。 幾何学的形状とカンチレバーになった空間の組み合わせで、高さ49mの塔によって固定されている。この塔はメイン入口のファサードがある6039m2の広場に(その基礎が)伸びて、二重になった三角錐のガラス製「テント」を支えている。
この建物には、5100m2を超える展示スペースのほか、管理事務所、店舗、カフェがある。
「この建物の設計に込められている私の意図は、ロックンロールのエネルギーを反映することでした。大胆で斬新な建築用語を私は意図的に取り入れました。あとはこの建物がクリーブランド市のランドマークとなり、かつ世界中のロックンロールファンにとって劇的なランドマークになることを願っています」[17]とペイは語っている。
ニューヨーク市別館ソーホー (ニューヨーク)にあった博物館のニューヨーク市別館(2008-2010)
2008年11月18日、ロックンロールの殿堂ニューヨーク市別館がマンハッタンのソーホー地区で開業した[18]。ブロードウェイのすぐ傍のマーサー・ストリート76番地にあった別館は、2322m2の地下空間を占めていた[18]。博物館別館はクリーブランドの母体と概ね同じ方法で運営されており、目玉としてプリンスが『プリンス/パープル・レイン』で着たコート、デヴィッド・バーンが『ストップ・メイキング・センス』で着た大きなスーツ、エルビス・プレスリーのライダースジャケットや彼の聖書などの原型展示物が陳列されていた[18] 。ただし、別館は最初からニューヨーク地域に明確に焦点を合わせており、何十年間ものバンドステッカーが厚く積み重ねられたCBGBの電話ボックス、ブルース・スプリングスティーン所有の1957年型シボレー、市内のミュージシャンのため取り置いてある特別ギャラリー、ロック史における名所を強調するマンハッタンの入り組んだ約8m縮尺モデルなど、巨大展示物用の空間も十分にとっていた[18]。
ヤン・ウェンナーが別館理事会の会長を務めた[19]。開業した夜の祝宴で、軽率にも彼は「そもそも我々がそれ(殿堂博物館)をニューヨークにしなかったことが小さな悲しい出来事の1つです」と記者に語ってしまい、物議を醸してしまった[19]。これは誤解されてしまったのだと語るウェンナーは、後に自分の発言を悔やんでいると吐露して「ロックンロールの殿堂博物館がクリーブランドにあることを私は間違いなく喜んでいます」と明言した[19]。
別館は2010年1月3日に閉鎖され、報道によるとその急な終了は2007-2008年の世界金融危機とその後の都市観光業低迷が原因とされている[20]。 1997年以来、ロックンロールの殿堂は数多くの期間限定展示を開催しており、それは博物館の最上階2フロアを占める大掛かりな展示から下階の主要展示ホールに設置されることが多い小さな展示まで、規模は様々である。 1997年5月10日に開催された同博物館最初の大掛かりな展示は "I Want to Take You Higher:The Psychedelic Era,1965-1969(貴方を更なる高みへ連れていきたい:サイケデリックの時代、1965-1969年)"と称するものだった。これには、ジョン・レノン、エリック・クラプトン、ジョン・セバスチャン
展示の歴史
この展示に続くのが、1998年8月8日から1999年9月5日まで開催されたElvis is in the Building(エルヴィスはまだ建物にいる)[注釈 2]である。この1年に及ぶ称賛展示は、1986年に初回殿堂入りを果たした「キング・オブ・ロックンロール」ことエルヴィス・プレスリーに捧げられた初めての展示だった。グレイスランドは、エルヴィスの生涯と伝説的な経歴にわたるこの特別な称賛展示のため、厳選した重要な代表的作品を提供した[23]。その次に、博物館はRoots, Rhymes and Rage: The Hip-Hop Storyを展示公開した[24]。これはヒップホップに焦点を当てた初めての大規模な展示で、1999年11月11日から2000年8月6日まで開催された。その後、ロックンロールとファッションに焦点を当てた展示"Rock Style"が行われた。これはバディ・ホリーからアリス・クーパーまで、レイ・チャールズからデビッド・ボウイまで、スモーキー・ロビンソンからスライ・ストーンまでの衣装を特集したものだった。クリーブランドでの展示終了後に"Rock Style"は米国内にある他の博物館でも興行が行われた。
その他の期間限定展示には、2000年10月20日から2003年1月1日まで開催されたLennon:His Life and Workなどがある。2016年にクリーブランドで開催された、共和党の全国大会中に開催された大規模展示はLouder than Words: Rock, Power, Politics(言葉よりも騒々しいもの:ロック、権力、政治活動)だった[25] [26]。
他にも大規模な期間限定展示として、ザ・クラッシュ、ドアーズ、ザ・フー、ブルース・スプリングスティーンに焦点を当てたものがあった。ロックンロールにおける女性の役割に焦点を当てた、テーマ限定の展示(Women Who Rock: Vision, Passion, Power)もあった。これらの展示の多くはクリーブランドで終了した後、他の博物館に移って展示が行われている。直近の2017年における同博物館の主な期間限定展示は『ローリングストーン』誌の歴史に関するものとなっている[27]。