ロッキー_(映画)
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リングサイドではポーリーが警備員を押しのけてエイドリアンの行く道を開けていた。しっかりと抱き合う二人「アイラブユー、ロッキー!!」「アイラブユー、エイドリアン!!」。ロッキーは昨日までの自分に、そして「人生」という敵に打ち勝ったのだ。
登場人物ロッキー・バルボア(Rocky Balboa)演 - シルヴェスター・スタローン本作の主人公。ペンシルベニア州フィラデルフィアの小さなアパート[注釈 1] で暮らすボクサー。15歳からボクシングを始めているが、芽は出ず、30歳になっても賭けボクシングの賞金だけでの生計を立てられなかった。そのため、闇金融を営むガッツォの元で取立てを行う。しかし根が優しいことが災いしてか、借金を踏み倒そうとする者を責め切れない。また、近所のペットショップで働くエイドリアンに恋心を抱いており、彼女を振り向かせようとするが、不器用な性格からいまひとつ想いを伝え切れずにいる。本名はロバート・バルボア。ニックネームは「イタリアの種馬(Italian Stallion)」[注釈 2]。戦績は本作冒頭の時点で64戦44勝38KO20敗。エイドリアン(Adrian Pennino)演 - タリア・シャイア本作のヒロイン。 ロッキーが通うボクシングジムの近くにあるペットショップで働いている、人見知りの激しい女性。極端な恥ずかしがり屋で、男性とはまともに目を見て話すこともできない。ポーリー(Paulie)演 - バート・ヤングエイドリアンの兄でありロッキーの親友。精肉工場で働いているがその収入に満足できないらしく、ロッキーにガッツォの元で働かせてくれるように持ちかける。自らも冴えない男でありながら、いつまでも独りで暮らす妹のエイドリアンを散々罵倒し、彼女に好意を抱くロッキーを奇異に思いながらも感謝している。ミッキー(Mickey Goldmill)演 - バージェス・メレディス1920年代初頭バンタム級の世界チャンピオン。引退後はジムを経営し、そこで10年前にロッキーと出会いボクシングを教えるも、結果を出せないうえに自堕落な生活を送る彼に業を煮やし「お前は傷んだトマトだ」と罵り、育成を放棄してしまう。本作では言及されることはないが、続編における彼の葬儀で、墓標にダビデの星が刻まれていたことからユダヤ系であると考えられる。アポロ・クリード(Apollo Creed)演 - カール・ウェザース現在の世界ヘビー級チャンピオンで、口汚いが本物の実力を持っている。自分の知名度を上げるため、無名のボクサーにチャンピオンへの挑戦権を与える。トニー・ガッツォ(Tony Gazzo)演 - ジョー・スピネルロッキーの知人で高利貸し。ことのほかロッキーを気に入り、食い扶持がないロッキーを取り立て屋として雇っている。
キャスト

役名俳優日本語吹き替え
TBS
(追加収録)
ロッキー・バルボアシルヴェスター・スタローン羽佐間道夫
エイドリアンタリア・シャイア松金よね子
ポーリーバート・ヤング富田耕生
ミッキーバージェス・メレディス千葉耕市
槐柳二
アポロ・クリードカール・ウェザース内海賢二
デューク[注釈 3]トニー・バートン増岡弘
トニー・ガッツォジョー・スピネル増岡弘
長克巳
スパイダー・リコペドロ・ラヴェル郷里大輔
実況キャスターストゥ・ネイハン 糸博
コメンテータービル・ボールドウィン村松康雄
不明
その他大久保正信
安田隆
峰恵研
緒方賢一
鈴木れい子
秋元羊介
広瀬正志
喜多川拓郎
滝沢博子
鈴木三枝
島田敏
古田信幸
羽村京子
小野健一
伊井篤史
追加録音版キャスト
長嶝高士
真地勇志
川上とも子
佐々木梅治

演出伊達康将
鍛治谷功
翻訳木原たけし
平田勝茂
効果遠藤堯雄
桜井俊哉
調整丹波晴道
制作東北新社
解説荻昌弘
初回放送1983年10月3日
月曜ロードショー
21:02-23:24
本編ノーカット放送


TBS版吹替はDVD/BD収録時に初回放送ノーカット版を発見できず、再放送短縮版に追加録音して収録していたが、その後ノーカット版が発見され、2017年6月29日にイマジカBSで『ロッキー』日本公開40周年記念特集の一環で放送された[4]

製作

当時、映画のオーディションに50回以上落選していたスタローンは、ポルノ映画への出演や用心棒などで日々の生活費を稼いでいた。長い極貧生活を送っていたある日、彼はテレビで世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリチャック・ウェプナー」戦を観戦した。アリは当時世界最強と言われていたのに対し、ウェプナーはスタローン同様、繰り返す転職の中で日銭を稼いでいた。誰が見ても勝ち目がないウェプナーであったが、予想外の善戦を展開。試合はアリが勝利したものの、ウェプナーの繰り出したパンチがアリのわき腹を直撃しダウンを奪い、対戦後に「二度と対戦したくない」と言わしめた。スタローンは「アリをダウンさせたその瞬間、ウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれる」と感じ、この出来事を基にわずか3日で脚本を書き上げ、プロダクションに売り込んだ。

しかし、当初のエンディングは「試合前にミッキーが歪んだ人種差別的思想を表し、それに失望したロッキーが試合を放棄して会場を去る」という、当時アメリカで隆盛を極めていたアメリカン・ニューシネマと呼ばれるジャンルの流れを汲む陰鬱なものであった。これを当時の妻・サーシャが読んで「私はこんなロッキー嫌いよ」と述べたため、ハッピーエンドに変更している。

プロダクションはその脚本を気に入り7万5千ドルという当時の脚本料としては破格の値をつけたものの、製作の条件として「主演にポール・ニューマンロバート・レッドフォードアル・パチーノといった有名スターを起用する」ことを挙げて譲らなかった。それに対して「貧乏とは上手く付き合うことができる」スタローンも脚本料に目を眩ませず、自分が主演を兼任することに徹底的にこだわった。結果として、双方の長きに亘る交渉の末、

ギャランティーに関しては、監督は普段の半分、スタローンは俳優組合が定める最低金額、プロデューサーはなし。

制作費はテレビシリーズ1本分(約100万ドル)。

36万ドルまで高騰した脚本料を2万ドルに減額。

という条件の下で製作が開始された。

これらの話は映画を宣伝するためのほぼ完全な作り話であり、実際にはUAとスタローンの間に1度も話し合いは行われていない。予算100万ドル以下の映画はプロデューサーが決定権を持っており、UAの誰もスタローンと会ったことはなかった。「失敗しても、テレビに販売すれば損失をカバーできる」とUAには報告された。プロデューサーの報酬も10万ドルが支払われている[5]
撮影

ステディカムを本格的に導入した、その最初期の著名な作品としても知られる。フィラデルフィア美術館前庭の階段、いわゆるロッキー・ステップをロッキーが駆け上がるシーンなどがその代表である。

練習のシーンの撮影を市内でおこなった際、ステディカムを使った小規模の撮影クルーだったため映画のロケとは思われず、本物のボクサーと間違えた市民から声援を送られた。特に、ロードワークシーンでは、果物屋の店主がロッキーにオレンジを投げ渡す場面があるが、これはこの店主が、撮影中のスタローンを本物のボクサーと勘違いしたことで起こったハプニングであり、それをそのまま映画に使用している[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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