ロシア語
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東部や南部とは対称にロシア語話者が少ない西部のリヴィウ州では、議会が2018年9月18日、ロシア語による歌曲を公共の場で流したり、書籍を出版したりすることを禁じる条例を可決した[13]
ベラルーシ

ソ連崩壊後、1994年ルカシェンコが大統領に選出された翌年の1995年にロシア語にベラルーシ語と同じ地位が与える国民投票が行われ、可決された。現在、これまでにない規模でロシア語化が推し進められている。また、2019年の国勢調査では、総人口9530.8万人中ベラルーシ語の母語話者は53.2%、対してロシア語の母語話者は41.5%となっている。総人口の4分の3に当たる都市住民の間ではベラルーシ語の母語話者は44.1%、家庭内での使用割合は11.3%に過ぎず、ロシア語化が大きく進行している事が示されている。
エストニア

ロシアとの歴史的な関係からエストニア国内にはエストニア語を解さないロシア語話者が一定数存在する。エストニア政府は度重なる「言語法」の改訂によって彼らの排除、あるいは社会統合を企図し、その甲斐あって若年層のロシア人(英語版)はエストニア語能力に向上を見せた。しかし、エストニア語能力を有さない住民は北東部イダ=ヴィル県を中心に未だ多く存在し、その社会統合は課題として残されている。詳細は「エストニアにおけるロシア語(ロシア語版)」を参照2000年国勢調査におけるロシア語話者の分布

ロシアとの国境に近い北東部イダ=ヴィル県ナルヴァではロシア語話者の割合が95パーセント以上を占め、その他イダ=ヴィル県にはロシア語話者が過半数を占める都市が散見される[14]
エストニアの言語法第11条には、「全定住者のうち過半数の使用する言語がエストニア語でない地方自治体においては、自治体内の実務言語として〔中略〕エストニア語に加えて全定住者のうち過半数を形成する少数民族の言語を使用することができる」との条文があり、ロシア人が95パーセント以上を占めるナルヴァ市議会は、これに基づいて議会でのロシア語使用許可を申請している[15]。政府は、同市におけるエストニア語の使用が未だ保障されていない、として申請を却下したが、ロシア人の側は、非合法状態にはありながら公的領域においてもロシア語の使用を続けている[15]
また、過去には首都のタリンでもロシア系住民とエストニア政府との間で大規模な暴動が起きた。
カザフスタン

カザフスタンではソ連から独立した後も他の中央アジア諸国に比べてロシア語が使用されることが多く、カザフ語は国家語、ロシア語は実質的な共通語としての地位を確立し、都市部ではカザフ語よりもロシア語を得意とするカザフ人は少なくない[16]。こうした状況下で、カザフスタン政府はカザフ語の振興を掲げていて[17]、カザフ語の急速な台頭とロシア語の重要性の低下に対して抵抗を感じる人間がいる一方で、マスメディアにおけるロシア語の支配的な地位を疑問視する意見も投げかけられている[16]
だが、近年ではロシア語離れの動きがあると報じられている。具体的には、カザフ語の表記がキリル文字からラテン文字へ移行する草案が提出された[18]。しかし、この移行は国民の間では一般に普及していない。
また、カザフ語自体もロシア語からの借用語が多い[19]
ウズベキスタン

ウズベキスタンでは独立以降しばらくはウズベク語とロシア語が公的な文書において使用されていた[20]が、1995年12月に憲法が改正され、ウズベキスタン憲法第四条[21]及び「国家言語法」により[22]ウズベク語が公用語の地位を獲得することになった。
ウズベク・ソビエト社会主義共和国時代はウズベク語とロシア語が公用語の地位を獲得していた。現在、ウズベキスタンではウズベク語とロシア語の他に、主にウズベク人以外の少数民族によってタジク語キルギス語トルクメン語カザフ語カラカルパク語タタール語ノガイ語などのテュルク諸語の他、アゼルバイジャン語ウイグル語などの言語が話されている。地方ではウズベク語を母語とする者の割合が高いが、首都タシュケントでは人口の約半数がロシア語話者であり、ロシア語が日常的に使用されている[23]。また、大学ではウズベク語とロシア語による講義が行われており、研究活動を行う者はほぼロシア語環境で研究を行なっている。一方で、英語が通じることは少なく[23]、2005年時点の調査では、英語を話すことができると答えた人々の割合は9%にすぎず、ロシア語を話すことができると答えた人々の割合は中央アジア全体で80%を超えている[24]
現在、ロシア語は全人口の14.2%に当たる人々が第一言語として使用しており、その他の人々もその多くがロシア語を第二言語として使用しているなど異民族間の共通語・準公用語的な地位にある。
タジキスタン

タジキスタンではロシア語は帝政ロシア?ソビエト連邦時代の共通語であったため、現在でも第二言語として教育・ビジネス等で多く使用されている。ただし、2009年10月から国語法が成立し、公文書や看板、新聞はタジク語を用いることを義務づけられた[25]
また、ソビエト連邦の崩壊後に起きたタジキスタン内戦によるロシア人の大量国外流出によりロシア語の通用度が急激に低くなったが、現在では出稼ぎ先の大半はロシアであることと、高等教育にはロシア語習得が不可欠であることから、ロシア語教育も重要視されつつあり[25]、国民の間ではロシア語学習熱が強い。
キルギス

キルギスではロシア語が公用語キルギス語国家語とされている (憲法第10条第1項、第2項[26])。
2017年の国勢調査によると、母語話者の割合はキルギス語が55.2%、ウズベク語が4.7%、ロシア語が34.0%となっている。
独立以降公用語から除外されたウズベキスタンなどとは違い、引き続き公用語に制定されている。これは、国の中枢を占めていたロシア人などのロシア語系住民の国外流出(頭脳流出)を防ぐためであり、現在でも山岳部を除く全土で通用し、教育、ビジネスや政府機関で幅広く使用される。また医療用語などはロシア語にしか翻訳されていない単語があるため、ロシア語が理解できないと生活に苦労する場合もある。
首都ビシュケクとその周辺では多くの住民はロシア語を使って生活しており、キルギス語が上手に話せないキルギス人も少なくない。このため、現地生まれのロシア人はキルギス語を話せない人がほとんどを占めている。
その他の旧ソ連圏

エストニアの他に同じくヨーロッパ連合加盟国となったラトビアリトアニアなどの旧ソ連諸国でも、公用語にこそなっていないもののロシア系住民を中心に広く使われているがEUの公用語には加わっていない。2018年には、ロシアに対する反感や地位低下を背景に、先述したウクライナ、カザフスタンのほかにラトビアモルドバでロシア語離れの動きがあるとも報じられている[27]。その中ではカザフ語やアゼルバイジャン語の表記がキリル文字からラテン文字へ変更されたことが挙げられている。ただし、ソ連時代からロシア人の居住比率が10%程度だったリトアニアを除くと上記の各国でロシア系住民の比率は相対的に高く、特に中央アジアにおいては相対的に賃金水準の高いロシアの都市部へ出稼ぎ労働者が流出を続ける状況もあって、ロシア語が対ロシア、および地域諸国内の商業・行政面における共通言語(リングワ・フランカ)として現在でも使用され続けている。
イスラエル詳細は「イスラエルにおけるロシア語」を参照

1999年のデータではイスラエルへの旧ソ連からの移民は75万人にのぼり、ロシア語のテレビ・ラジオ放送局もある。イスラエルの公用語はヘブライ語だけだが公用語ではない英語にならび移民の影響でロシア語も広く使われている。
アメリカ合衆国

アメリカ合衆国におけるロシア語話者には2つの類型がある。1つは政治的な理由でロシア帝国やソビエト連邦から移住した人々やその子孫である「ロシア系アメリカ人」、そしてロシア統治時代のアラスカ住民の子孫である。

ロシア帝国ではロマノフ朝と非常に強い関係を持ったロシア正教会の主流派が絶大な権力を持ち、正教の反主流派である古儀式派モロカン派、そして少数民族となったユダヤ人が信仰を守るユダヤ教などを抑える体制ができていた。


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