ロシア・ルーブル
[Wikipedia|▼Menu]
従来は紙幣が発行されていた1,000ルーブルは、インフレによる価値低下で新1ルーブル硬貨として発行されることになった。1、5、10、50カペイカ硬貨も発行され、カペイカ単位の貨幣の復活した。硬貨は後に2、5ルーブルも発行されている。そしてこのタイミングで国際通貨コード(ISO 4217)もRURからRUBへと変更された[1]

しかし、長らくかつてのような通貨価値を回復したとは言えず、ロシア国内においてもドル決済やユーロ決済の方に信用が行くという皮肉な事態が発生していたが、その後のロシア経済の好調により通貨としての信用を回復した。2005年2月より、USドルとユーロを組み合わせた通貨バスケットを導入しており、2007年2月13日に0.60USドル+0.40ユーロから0.55USドル+0.45ユーロに変更した。2005年からはルーブルのロシア国外持ち出し規制が撤廃された。

2001年には1,000ルーブル紙幣が発行された。また、2004年には偽造対策を強化した1997年シリーズ2004年版が発行された。この時から5ルーブルは硬貨に変更された。2006年には、当時の為替レートでは日本円で20,000円を超える5,000ルーブル紙幣が発行された。これらの紙幣は実際の発行年とは無関係に「1997」と記されている。

2009年10月より10ルーブル硬貨が新たに発行された。また、2010年から高額紙幣の500、1,000、5,000ルーブル札が、より偽造対策が強化された1997年シリーズ2010年版に改刷された。
ウクライナ侵攻による大暴落

2022年2月、ロシアはウクライナへ侵攻。アメリカと欧州各国はロシアに対し経済制裁を課した[4]ことから、同年2月28日、ロシア・ルーブルは対ドル相場で一時30%近く値を下げ、過去最安値を記録した[5]2022年3月5日にはロシアの通貨ルーブルでの対外債務返済を一時的に認める大統領令を発布した[6]ほか、輸出企業に対し対外貿易による売上高の80%に相当する外貨をルーブルに交換することを義務付けるなど、徹底したルーブルの下落対策が図られた。この結果、同年4月頃の対ドル相場は侵攻前の水準まで回復し[7]、6月末には7年ぶりの高値を付けた。[8]
現在流通している硬貨・紙幣

硬貨は1、2、5、10ルーブル(2009年10月より)が流通している。過去に発行されていた1、5、10、50カペイカは、すでに市中では流通していない。紙幣は、50、100、500、1,000、2,000、5,000ルーブルが流通している。5、10ルーブルは廃止されていないが、すでに市中ではほとんど流通していない。なお、2014年にソチオリンピックを記念した100ルーブルポリマー紙幣が発行されたが、記念紙幣の性格上、市中ではほとんど流通していない。
ルーブルの語尾変化

ロシア語名詞は、結合する個数詞によってその形が3種類に変化する。通貨単位であるルーブルも例外ではない。冠する個数詞が「1」、つまり1ルーブルの場合はそのまま単数主格で「ルーブル(ルーブリ)」"рубль"と表記する。一方ほとんどの紙幣や硬貨では「ルブレイ」"рублей"と表記されているが、これは結合する個数詞が「5」以上の場合、名詞は複数生格になるというロシア語規則による。また、かつてロシア帝国やソ連時代に存在した3ルーブル紙幣や近年記念コインとして発行された3ルーブル硬貨では、"три рубля"のように「ルブリャー」"рубля"と表記されている。これは「2?4」の個数詞と結合する名詞は、単数生格になる為である。補助単位の「カペイカ」も同様である。

ロシア語表記発音
1ルーブルрубльルーブリ
2-4ルーブルрубляルブリャー
5ルーブル以上рублейルブレイ
1カペイカкопейкаカペイカ
2-4カペイカкопейкиカペイキ
5カペイカ以上копеекカペーク

各紙幣に描かれた都市

1995年版券種1997年版券種2004年版券種2010年版券種描かれた都市名
1,000ルーブル硬貨に移行硬貨に移行硬貨に移行
ウラジオストク
5,000ルーブル5ルーブル硬貨に移行硬貨に移行ノヴゴロド
10,000ルーブル10ルーブル10ルーブル硬貨に移行クラスノヤルスク
50,000ルーブル50ルーブル50ルーブル2004年版を継続発行サンクトペテルブルク
100,000ルーブル100ルーブル100ルーブル2004年版を継続発行モスクワ
500,000ルーブル500ルーブル500ルーブル500ルーブルアルハンゲリスク
発行なし1,000ルーブル1,000ルーブル1,000ルーブルヤロスラヴリ
発行なし発行なし5,000ルーブル5,000ルーブルハバロフスク

貨幣ギャラリー

1ルーブル硬貨

5ルーブル表面(ノヴゴロドの聖ソフィア大聖堂が描かれている)

10ルーブル表面

50ルーブル表面

100ルーブル表面

200ルーブル表面

500ルーブル表面

1000ルーブル表面

2000ルーブル表面

5000ルーブル表面


1997年版紙幣は、1998年に行われた1,000分の1のデノミ対応紙幣のため、1995年版の1,000分の1の金額が、1997年版以降の同一価値の紙幣である。

100ルーブル紙幣の図柄が首都モスクワとなっているのは、デノミ前の1995年版の発行当初は、100,000ルーブル紙幣が最高額の紙幣だったからである。

符号位置

Unicode 7.0 にて導入された[注釈 1]

記号UnicodeJIS X 0213文字参照名称
₽U+20BD‐₽
₽ロシア・ルーブル記号[9]

為替レート

ロシアは通貨バスケット制を採用している[10]

2014年1月23日、プーチン大統領は、ルーブルの通貨切り下げについての発言を行った。[11]

2014年11月10日、ロシア中銀は来年にはルーブルを変動相場制にすると発表した[12]

現在のRUBの為替レート
Google Finance:AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD
Yahoo! Finance:AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD
Yahoo! ファイナンス:AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD
XE:AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD
OANDA:AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD

脚注[脚注の使い方]
注釈^ Google Noto Fontsで入手できる「Noto Sans Symbols」、 ⇒Paratypeで入手できる「PT Sans」などや、 ⇒Quiviraで入手できる「Quivira」(4.1以降)、BabelStoneで入手できる「BabelStone Roman」、和田研細丸ゴシック2004フォントの公開で入手できる「和田研細丸/中丸ゴシック2004絵文字」、 ⇒にしき的フォントで入手できる手書きのポップ体「Nishiki-teki」、 ⇒sil.orgで入手できる「Doulos SIL」、 ⇒softerviews.orgで入手できる「Balava」、 ⇒Unicode Fonts for Ancient Scriptsで入手できる「Symbola」などが対応している。

出典^ a b 戸田裕大 (2023年4月25日). “「敗戦すれば、札束は紙クズと化す」ロシアのウクライナ侵攻、終戦後におとずれるハイパーインフレの危機【金融アナリストが解説】”. 幻冬舎. 2023年4月25日閲覧。
^ “:ルーブルに通貨記号=ロシア中銀”. 時事ドットコム. (2013年12月11日). ⇒オリジナルの2013年12月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131211214713/http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013121100957 2021年7月11日閲覧。 
^ a b c d e f g 田中1990年


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:65 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef