ロザリオ
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これらの神秘は、伝統的には「喜び」「苦しみ」「栄え」の3種類で、「ロザリオの十五玄義」とも呼ばれていたが、2002年教皇ヨハネ・パウロ2世によって新たに「光の神秘」が提唱されて付け加えられ、曜日も一部変更された[10][8][11]。なお、かつて日本のカトリック教会では、この神秘と黙想のことを「玄義」と呼び、「喜びの玄義」「第一玄義」…などのように呼んで唱えていたが、現在は「喜びの神秘」「第一の黙想」などというのが公式な呼び方となっている。

これらの祈り方・黙想はカトリック教会によって提唱されているもので、教会でミサの前後などに一同で唱える場合はおおむね上記の内容に沿って祈ることが多いが、必ずしもその曜日のとおりに決められているわけではなく、私的な祈りなどにおいては祈り方はある程度自由であり、一環(五連)でなくとも短い時間で一連か二連だけ唱えたり、個別の意向で祈ることも可能である。また、一連の終わりに「ファティマの祈り」、一環の終わりに「サルヴェ・レジーナ」や「聖マリアの連願」などの祈りを付け加えることもある[12]。『カトリック教会のカテキズム 要約(コンペンディウム)』には、付録部分に「ロザリオの結びの祈り」と「祈願」が掲載されている[13]

また、祈りの中の「主の祈り」「アヴェ・マリアの祈り」などの個々の祈りは、日本のカトリック教会で古くから慣れ親しまれてきた文語体の祈祷文(「主祷文」「天使祝詞」など)から、1990年代中頃-2011年にかけて現在の口語体の祈祷文に変更されてきた経緯があるが、私的な祈りでは従来の文語体の祈祷文で唱えてもよいとされている。

カルメル会アビラの聖テレジアは、著書『完徳の道』(ISBN 4003381718) で「祈りの際は熱心に雑念を払って強く断固とした態度で祈るように」と強く勧めている。テレジアは、祈る際の雑念を悪魔達と呼び、祈りに集中することに専心すべきで雑念には決して注意を払うべきではないことを強調している。
メダイ

ロザリオの中心部分を連結しているメダイ(フランス語: medaille)は、「不思議のメダイ」をはじめ聖ベネディクトのメダイ、ルルドの聖母と聖ベルナデッタのメダイなど、様々なものがある。

不思議のメダイは、聖母のメダイとも呼ばれ、1830年フランス修道女カトリーヌ・ラブレのもとに聖母マリアが現れて製作を依頼したと伝えられている。

ラブレが見たマリアは、様々な色の指輪をはめて地球の上に立ち、その指輪の多くが地球に光を注ぎ、「原罪無くして宿り給いし聖マリア、御身に寄り頼み奉る我らのために祈りたまえ(O Marie, concue sans peche, priez pour nous qui avons recours a Vous.)」というフレーズの入った楕円形の枠の中に浮かび上がっていた。そして枠が回転したかのように今度は12の星の輪と、十字架が乗った大きなMという字、その下にイエス・キリストの心臓(聖心)とマリアの心臓が見えたという。ラブレは『その姿をモチーフにしたメダイを作って身に着けると多大な恵みがある』とマリアに告げられ、その後2年間調査を行ったラブレの聴罪司祭大司教を通してメダイ製作の許可が下りた。このメダイを着けた人間が多くの祝福を受けたというので「不思議のメダイ」と呼ばれ、世界中に広まった[14]
聖公会2種類のアングリカン・ロザリー

イングランド国教会およびその系列にある聖公会では、プロテスタント諸派と同様にロザリオの祈りの習慣はなかったが、1980年代半ばに米国聖公会司祭が考案した「アングリカン・ロザリー」または「アングリカン・プレイヤー・ビーズ」(w:Anglican prayer beads)と呼ばれる比較的新しい聖品が存在する。珠の数はカトリックとは異なり、正教会コンボスキニオンと同様に、イエス・キリストの33年間の生涯を表す33個の珠からなっている[15]。祈り方には明確な指針はなく、いくつかの祈り方が紹介されているが、東京聖アンデレ教会発行の小冊子には、カトリックと同じ「アヴェ・マリアの祈り」も一例として挙げられている。一部の聖公会では、カトリックのロザリオと同型のもの(ローマン・ロザリー)を用いる場合もある。
プロテスタント

プロテスタント諸派の信徒の間では、ロザリオは使用されていない。理由は概して次の通りである。
聖母信心の有無
プロテスタントには、マリア崇敬など聖人崇敬を拒否する教派が多いため、聖母マリアの取次ぎを祈るロザリオに対して違和感がある。
自由祈祷・定型祈祷の差
カトリックでは、個人で祈りを捧げる場合でも教会が定めた定型文を用いることが推奨される。それに比して、プロテスタントでは定型文を用いず、信徒それぞれの自由な祈りが重視されている傾向にある。そのため、定型祈祷文言を何度唱えたかを数えるための器具としてのロザリオが必要とされなかった。
正教会

正教会においてはロザリオは用いられない。生神女マリヤ(聖母マリア)への崇敬は正教会においても行われており、定型の祈祷文を用いる点でもカトリック教会と共通しているが、単にロザリオの祈りが正教会・東方教会には伝承・継承されて来なかったことによる。

チョトキコンボスキニオンといった数珠状の用具が祈りにあたって用いられるが、ロザリオとは形状が異なるものの、手で手繰って祈るものであり、首にかけるものではない点では、ロザリオと共通している。詳細は「コンボスキニオン」を参照


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