レールム・ノヴァールム
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いっぽう、それまで大勢を占めてきた「教会は貧しい者には忍耐を、金持ちには慈善を説けばよい」といった考えに対し、この回勅が画期的であるのは労働者の貧困や境遇の改善は(憐れみの対象ではなく)社会正義の問題であるとし、「人格の尊厳と基本的人権を認め、擁護し、愛する」ことを基本とした社会の変革や社会問題への主体的な取り組みを指示したことであった。

具体的には資本労働の関係や政府市民の関係について述べて共産主義と無制約な資本主義のあいだの道を模索し、私有財産制を擁護しつつも、労働者に労働権を認めて労働組合を結成することを支持し、階級協調を説いた。

労働者への言及はカール・マルクスらの『共産党宣言』に遅れること43年であったが、この回勅以降こうした考え方がカトリック教会の正式な立場となった。
その後の発展

この回勅はカトリック教会と近現代の社会との関係性において記念碑的、象徴的な存在となり、政治面では中道もしくは中道右派的・共同体主義的なキリスト教社会運動・キリスト教民主主義などに発展していった。また明確に社会主義を批判しているにもかかわらず、中道左派的なキリスト教社会主義に与えた影響も無視できないものがあった。

こうした社会問題に対するカトリック教会の立場は『レールム・ノヴァールム』40周年に寄せてピウス11世が労働者の尊厳を訴えた1931年の回勅『クアドラジェジモ・アンノ(英語版)』(40周年の記念に、の意)でより明確なものとされた。またヨハネ23世1961年に『レールム・ノヴァールム』70周年に寄せた回勅『マーテル・エト・マジステラ(英語版)』(母にして教師、の意)を出し、ヨハネ・パウロ2世1991年に『レールム・ノヴァールム』100周年を記念して回勅『センテシムス・アヌス(英語版)』(百年紀、の意)を出し、共産主義の弊害が明らかになった冷戦終結後において今度は新自由主義的な資本主義の行き過ぎや南北問題環境問題などに対して再度、警告を発した。

資本主義と社会主義(共産主義)のあいだで中道を行く思想という点では@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}「第三の道」論の先駆けという評価があり[要出典]、コーポラティズムの原点のひとつだとする意見もある。いっぽう階級闘争を重視する立場(主に左翼)からは「中世的」として非難されることがある。また新自由主義的な右派からも邪魔者扱いされることがある。
関連項目

階級協調

コーポラティズム

中道政治

キリスト教民主主義

外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキソースにRerum Novarumの原文があります。

「レールム・ノヴァールム」全文 バチカン公式サイトでの英語訳
.mw-parser-output .asbox{position:relative;overflow:hidden}.mw-parser-output .asbox table{background:transparent}.mw-parser-output .asbox p{margin:0}.mw-parser-output .asbox p+p{margin-top:0.25em}.mw-parser-output .asbox{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox-note{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox .navbar{position:absolute;top:-0.90em;right:1em;display:none}

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