レーザーは媒質(誘導放出を起こす物質)によっていくつかの種類に分けられる。
固体レーザー
詳細は「固体レーザー」を参照媒質が固体であるものを固体レーザーという。通常、結晶を構成する原子の一部が他の元素に置き換わった構造を持つ人工結晶が用いられ、代表的なものにクロムを添加したルビー結晶によるルビーレーザーや、YAG結晶中のイットリウムを他の希土類元素で置換した種々のYAGレーザーがある。ネオジム添加YAGを用いたNd:YAGレーザーは波長が1064nmの赤外線を発する。ただし非線形光学結晶を用いて高調波を発生させることによって、波長532nmの緑色の光(SHG)や355nmの紫外線(THG)なども出すことができる。また、サファイアにチタンを添加した結晶を媒質に使用したチタンサファイアレーザーがあり、超短パルス発振が可能である。固体レーザーの励起光源としてレーザーダイオードを用いたものをDPSSL(Diode Pumped Solid State Laser、ダイオード励起固体レーザー)という。
液体レーザー
媒質が液体であるレーザーを液体レーザーといい、色素分子を有機溶媒(アルコールなど)に溶かした有機色素を媒質とした色素レーザーがよく利用されている。色素レーザーの利点は使用する色素や共振器の調節によって発振波長を自由に、かつ連続的に選択できることである。色素レーザーは1970年代以降超短パルスレーザーとしてよく用いられたが、より性能の良い固体レーザーに置き換えられていった。
ガスレーザー
媒質が気体のものはガスレーザー(気体レーザー)と呼ばれる。中性原子レーザー(ヘリウムネオンレーザー(He-Ne。赤色)など)、イオンレーザー(アルゴンイオンレーザー(Ar-ion。主に青色または緑色)など)、分子レーザー(炭酸ガスレーザー(赤外)、窒素レーザー
レーザーは光の強さの時間的な変化でも分けることができる。
断続的にレーザー光を出すパルスレーザーと、連続的にレーザー光を出すCWレーザー
(Continuous wave laser)とに区別することができる。前者は、複数の波長で位相をそろえて同時に発振させるモード同期という手法を用いるか、またはQスイッチという原理を用いて、瞬間的に非常に強いパワーを出すことが可能である。後者はパルス動作と比べると瞬間的なパワーは低いが、高い時間的コヒーレンスを得ることが可能で、そのため干渉などの現象を観測しやすい。レーザーは発振される光の波長によって分類することも出来る。
多くの場合、使用されるレーザー媒質によって、レーザーの発振波長はほぼ決まる。多くのレーザー媒質は、ごく限定された波長範囲でしか利得を持たないからである。ただし、色素レーザーやチタンサファイアレーザーなど、広い波長範囲で利得を持つ媒質も存在する。これらの場合は共振器長や、利得スペクトルの形状などにより発振波長が決まる。また自由電子レーザーでは、媒質となる電子ビームの利得波長を自由に選ぶことが出来るため、任意の波長で発振することができる。 大気中に伝播するレーザー光は、気体分子による吸収や散乱により減衰される。気体分子による吸収の少ない波長は可視?赤外領域の一部に存在し、大気の窓と呼ばれる。一方、気体分子による散乱は波長が長い光ほど少なくてすむ。このため、大気中で長距離を伝送する用途には、大気の窓の中に発振波長をもつ赤外線レーザーが用いられる。たとえば炭酸ガスレーザーは、大気中の伝送させる用途によく用いられるレーザーのひとつである。 X線の高出力レーザーを空気中に照射すると、気体分子をプラズマ化させ、プラズマから放射される光を見ることができる。
赤外線レーザー
波長によっては、大気中での減衰が最も小さい
可視光線レーザー
当たった場所を視認することが出来るのでレーザーポインターなどに使用されている。
紫外線レーザー
X線レーザー
軌道電子の遷移を起源とするものをX線と呼ぶため、レーザーの原理上はガンマ線の領域であっても硬X線レーザーと呼ぶ。
大気中での伝送に適した波長