レーザーディスク
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1984年にパイオニアとシャープの共同開発で半導体レーザーの実装化に成功し、VHDとの規格争いで参入メーカーが増加して量産化したことでコストの問題を解決させたことが、VHDとの規格争いでLDを勝利に導いたと言われる[5]。1985年(昭和60年)に10万円を切る価格で発売された日本楽器製造(現:ヤマハ)のLV-X1を皮切りに、パイオニア、ソニー、松下電器産業、ケンウッド(現:JVCケンウッド)といった各社から「ロッキュッパモデル」と言われた69,000円台の普及価格帯のLDプレーヤーやCD/LDコンパチプルプレーヤーが次々と登場し、バブル景気の1990年代前半はローエンド機からマイクミキサー内蔵のLDカラオケやスピーカー・コンポ一体型のハイエンド機まで多種多彩な機種が発売されていた。

LDソフトは、パイオニアがセルビデオ製作会社として山梨パイオニア(後のパイオニアLDC、現NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)を設立し、ハリウッドや日本の映画会社などからフィルムの供給を受けて製品化する体制をいち早く確立した。メインとなった映画ソフトは製造コストや版権料から7,000円 - 1万円前後の価格設定で発売されていたが、1980年代終盤からパイオニアLDCが中心となって「エバーグリーンシリーズ」「ブロックバスター」などと称して5,000円を切る価格帯で次々と人気ソフトを発売するようになる。一方でテレビアニメなどのシリーズ作品を複数枚のLDに全話収録して一括販売する「LD-BOX」というボックス・セット形態の高額商品や、OVA、歌手のライブビデオも数多く発売され、コアなファンマニアを取り込んでユーザー層を拡大させていった。

1992年平成4年)頃からは、それまでの映画ソフトで主流だった画面のトリミングをやめ、できるだけ劇場公開時の画面サイズに忠実なワイドスクリーンサイズの画面で映画ソフトを次々に発売して映画マニアを中心にユーザー層を厚くした。1本の映画をワイドスクリーンとテレビサイズの2パターンの商品で発売するなどマニアックなラインナップがなされたものも多い。これらの中には、DVD-Videoで発売されているソフトでは見ることができない画面サイズのものもあった。同じ映画ソフトが何種類も発売されていることから当時の一般的ユーザーを混乱させる副作用も生ずるなど、1980年代から1990年代前半までを最盛期としてユーザーを拡大した。多くの映画、音楽ドキュメンタリーアニメスポーツ、そのほか各種のコンテンツがLDで発売された。

ハイターゲット向けアニメ作品のLD市場も大きく、VHSとの同時販売が原則であった。1991年に発売された『炎の転校生』(ポニーキャニオン)のOVA版のみ唯一LDの独占販売という例外的な措置から初めたため、オリジナル・レーザー・アニメーションの略語である「OLA」が用いられている。一定数の売上を得られ、LDプレーヤーもある程度は普及したものの、レンタルビデオ版の流通ができないなどVHS視聴で充分なライトユーザーを囲い込みできず、結局は1992年にVHS版(セル・レンタル同時)も発売されることになった。パイオニアLDCが製作・発売し、VHS版と同時発売されたOVA『天地無用!』や『神秘の世界エルハザード』もLDユーザーを意識した高品質な画風とクオリティであった。なお、また、レーザーディスクと同時期に発展したアダルトアニメはハイターゲット層からの指示が厚い『くりいむレモン』シリーズを中心にVHSとLDとの併売が多く見られたが、アダルトビデオヤンキー漫画原作としたOVAはレンタルビデオでの流通が主のため、VHS版単独と比べてLD版も含めて発売されたタイトルは少数であった。童話原作作品やエデュテインメント映像や宗教団体広報的に製作したものを主とし、低予算製作・低価格販売が基本的な子供向けOVAもLDも含めての発売は殆ど行われていなかった。

パイオニアはレーザーディスクのマルチメディア化も志向し、LDのデジタル音声領域にCD-ROMと同様のデジタルデータを記録した「LD-ROM」によるレーザーアクティブを投入した。業務用としてはレーザーバーコードシステムと連携したLD-V540などが投入され、産業用・教育用などで利用されていた。1980年代にパイオニアが自社パソコンとして発売していたMSXパソコン「palcom」PX-7などとの連携でLDゲームをプレイできたが、これはLDのデジタル音声規格が策定される以前から存在していたものであり、LD-ROM規格とは異なる。後にパイオニアはMacintosh互換機MPCシリーズを販売し、対応したLDプレーヤーCLD-PC10を発表したが、LD-ROMとの連携はほとんど重視されなかった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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