日本の公園や庭木などで「レンギョウ」として一般的に植栽されているのは、レンギョウ、シナレンギョウ、チョウセンレンギョウである。耐寒性耐暑性に優れているため、日本全国に分布している。大気汚染や病虫害にも強く、どんな土壌でもよく育つことから、庭木、公園、垣根に用いられることが多い。
これら3種はよく似ているが、幹を縦に切ると、レンギョウは芽の出る部分以外が中空、シナレンギョウは芽の出る部分を含み細かい梯子状の髄があり、チョウセンレンギョウは芽の出る部分以外に細かい梯子状の髄がある。また、レンギョウ、チョウセンレンギョウの枝は弓なりに長く伸び下垂するが、シナレンギョウは枝が直立し上向きに張って伸びる傾向があるため、園芸業界では、それぞれ「シダレレンギョウ(ツルレンギョウ)」「キダチレンギョウ」と区別して呼ぶことがある。 先述したように、日本で一般に植栽されているレンギョウ類の多くが、シナレンギョウ、チョウセンレンギョウと外来種である。しかし、日本にも一部の地域に自生している野生種
日本原産種
ヤマトレンギョウ(学名:Forsythia japonica) - 中国地方の石灰岩地に分布している。
ショウドシマレンギョウ(学名:Forsythia togashii) - 瀬戸内海の小豆島の石灰岩地に分布している。
これら日本原産種は、他のレンギョウ類に比べて開花時期が4 - 5月頃と遅い。ヤマトレンギョウは葉に先立って花を咲かせ、ショウドシマレンギョウは葉の展開と同時期に独特の緑色を帯びた黄色い花を咲かせる。
この2種は、全国的にも限られた地域にしか分布しない固有種で、森林開発、人工造林、園芸採取などによって現在の生育地で絶滅すると野生状態では地球上から完全に消滅してしまうことになるため、(国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに準拠した)環境省のレッドリストによって、絶滅危惧種に指定されている。
ヨーロッパ原産種
セイヨウレンギョウ(学名:Forsythia europaea) - バルカン半島原産種。アルバニア、セルビア、モンテネグロの一部に自生している。
園芸種
インテルメディア(学名:Forsythia × intermedia) - 1880年にドイツで作出された。レンギョウとシナレンギョウとを交配させた。スペクタビリス(Forsythia x intermedia ’spectabilis’)などの栽培品種がある。花は大輪で多花性。ヨーロッパで広く栽植されている。日本で流通している切花の多くはこの品種である。
最近ではインテルメディアにさらに別の品種を交配させたり、また他にも多くの品種改良が行われ、様々な鑑賞用の品種が作出されている。
利用
薬用剤、利尿剤、排膿剤、腫瘍・皮膚病などの鎮痛薬に用いる。成分にトリテルペン、モノテルペングリコシド、リグナンを含み、強い抗菌作用がある。成熟果実を一度蒸気を通したのち、天日で乾燥し用いる。日本薬局方においては、レンギョウまたはシナレンギョウの果実を用いている。
連翹が配合された方剤の例 鎌倉市の明月院などがある。 俳句では春の季語である。 4月2日は彫刻家・詩人の高村光太郎(1883年 - 1956年)の命日で、これを連翹忌とも呼ぶ。これは、高村が生前好んだ花[6]がレンギョウであり、彼の告別式で棺の上にその一枝が置かれていた[7]ことに由来する。
響声破笛丸(きょうせいはてきがん)
銀翹解毒散(ぎんぎょうげどくさん)
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
名所
文化
俳句
連翹忌
脚注^ a b c d e f g h i j k l m 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 44
^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Forsythia suspensa (Thunb.) Vahl レンギョウ(標準)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2024年3月7日閲覧。
^ 謝宗万『古今薬用連翹品種的延続与変遷』。中医薬研究、1992年第3期、pp.37-39。
^ a b ⇒中国植物誌
^ ⇒藥用植物圖像數據庫 (香港浸會大學中醫藥學院)
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