「レモン」と名はついていても、他の柑橘類と交雑した品種(マイヤーレモンやサイパンレモンなど)では栽培環境で果実の形が変わりやすく、球形に近いものや熟すと赤みを帯びた黄色になるものもある。 レモンは柑橘類の中では四季咲き性の強い品種である。鉢植え、露地植えのいずれでも栽培が可能であるが、早期の収穫を目指す場合は鉢植えの方が早く開花結実する。栽培品種の増殖は主に接木・挿し木で行われる。日本ではリスボン種とユーレカ種の栽培が多い[3]。 このほか、インドで広く栽培される「ガルガル」、イタリアで主に栽培される「フェミネロ」、スペインで多く栽培される「ベルナ」など様々な品種が存在する[7]。
品種
主な品種
リスボン主力品種の一つ。樹勢が強く、豊産性の品種。枝は直立方向に伸びるため、大木になりやすい[4]。棘がやや多い。1917年に南カリフォルニアのリバーサイドで開発され、1950年頃に市場に出回るようになった[5]。日本ではブランド名の「サンキスト」でも知られている[2]。カリフォルニア内陸部や日本の広島県で栽培されている[2]。耐寒性・耐暑性に優れる[3]。多汁で香りの強い品種である[2]。
ユーレカ主力品種の一つ。イタリアのシチリア島原産[2]。樹勢はレモンの中ではやや弱い方。開張性で棘は比較的少ない。リスボンより耐寒性がやや弱いとされているが品質は高く評価されており、カリフォルニア州などで多く栽培される[3]。
ビアフランカ(ビラフランカ)シチリア島原産[2]。棘なしレモンとして苗が売られている。果実の品種特性はユーレカに近い。他の柑橘類でよく見られる晩秋の異常落葉が少ない品種である。ユーレカが開張性で枝が横に広がる性質があるのと比べ、ビアフランカでは枝は垂直方向に延びやすくなる性質がある。日本へは第二次世界大戦前に広島県に導入され[2]、生産量も増えて主力品種となっている[6]。
ジェノバ日本では知名度の低い品種であるが、チリなど南アメリカで主に栽培されている品種[7]。日本に輸入されるレモンのうち6割程度がアメリカ産だが、チリ産レモンは約3割を占める。種が少なく果汁は多い品種[2]。
ポンテローザ普通サイズの3倍の大きさのジャンボレモン。「オオミレモン」とも呼ばれる。ごくわずかであるが日本国内でも流通するようになった。酸味はややマイルド。
雑種
マイヤー(メイヤー)レモン中国で発見された、オレンジとレモンの自然交雑により誕生したといわれる品種[2]。ニュージーランドで多く栽培される[2]。栽培環境によっては果実の形状が丸みを帯び、完熟すると果皮の色がオレンジがかってくる。つまり、赤みを帯びた黄色になる。酸味がマイルドで香りがよいとされている[2]。
サイパンレモンマイヤーレモンの系統で「菊地レモン」「島レモン」とも呼ばれる。北マリアナ諸島のテニアン島から日本の八丈島に導入された品種。その後、小笠原諸島へも伝わっており、両地域では一般的なレモンである。果実は一般的なレモンよりやや大きく丸みを帯びている。
スイートレモネードオレンジとレモンの交配種として売られている。果実は丸みを帯び、一般的なレモンにある乳頭の突起がほとんどなく、酸味が弱く糖度が高いとされる。マイヤーレモンと同じ系統かどうかは情報量が少なく不明。
璃の香(りのか)リスボンレモンと日向夏の交雑種。農研機構により育成された新品種。2015年品種登録。果実は大果で果皮が薄く果肉歩合が高いため、搾汁率も高い。酸味や香りはリズボンレモンよりやや弱い。通常のレモン品種より成熟が1ヶ月早く、露地栽培では11月下旬頃に成熟する。樹勢が強く豊産性であり、耐寒性も強く、レモン栽培で問題となるかいよう病やそうか病にも強いため各県で有望品種とされている。
別種
チャイナリトルレモン「レモン」と名前はついているが東南アジアで栽培されている四季橘(しききつ、カラマンシー)である。日本の沖縄県に自生するシークヮーサーと似ているが、果汁にはノビレチンが含まれていない。