レモン
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レモン汁の多くは濃縮されたのち凍結させて輸入される[15]。柑橘類であるためポストハーベスト農薬が問題視されている。

なお、バナナやオレンジ、レモンなどの輸入果実を卸売市場で取引するときの単位は「カートン」と言い、レモンは1カートン140個である。[16]
南欧

産地として古くから名高いのはイタリアのシチリア島やアマルフィなどである。

また、フランス南東部のコート・ダジュールにあるマントンでは、毎年2月中旬から3月上旬にかけてレモン祭りが開催され、各地から観光客を集める。この祭りは毎年異なるテーマを設定し、町の特産品であるレモンとオレンジを使ってそのテーマに沿った様々なオブジェを町中に制作することで知られている[17]
アメリカ州

アメリカ合衆国でのレモン栽培はフロリダ州カリフォルニア州が主な産地であったが、品質は低いものだった。しかし1890年代以降、多くの篤農の手によってカリフォルニアのレモンの質は急速に向上し、それに伴って生産量も拡大して、世界最大の生産地の一つに躍り出ることとなった。1893年には「南カリフォルニア青果協同組合」が設立され、「サンキスト」のブランド名とともにオレンジやレモンの質の向上、販売促進に努めた。南アメリカにおいてはブラジルではレモンが古くから盛んに生産・消費されていたが、20世紀後半に入るとアルゼンチン北部においてレモンの栽培が急拡大し、世界の主要産地の一角を占めるようになった。
日本

日本のレモン栽培は1874年明治6年)に静岡県で栽培が開始され、1899年(明治31年)には和歌山県から日本のレモンの主産地となる広島県の芸予諸島にレモンの苗木がもたらされた[6]。食生活の洋化に伴いレモンの消費は増え続け、換金作物として瀬戸内海沿岸を中心に栽培が広まった。1964年昭和39年)にレモンの輸入自由化がされ、海外から安いレモンが大量に輸入されるようになると、日本のレモン栽培は大打撃を受けて生産が激減した[18]。さらに1976年(昭和51年)と1981年(昭和56年)には主産地であった広島県島嶼部が寒波に襲われ、生産はさらに縮小した。1982年(昭和57年)にはレモンの生産は500トンを割り[19]、国内のレモン消費はほとんどが輸入品に頼るようになった。しかしその後、食の安全や高い品質を消費者が求めるようになり、輸入レモンのポストハーベスト農薬(防カビ剤[18])問題が注目されたこともあって、国産のレモンは人気を回復し[6]、生産も漸増した。大崎下島(広島県呉市)では、ミカンの値崩れを受けて農協がレモン栽培再拡大を後押しした[18]

2014年(平成26年)の日本国内での生産量は約9,400トンにまで増加している[2]

栽培本数が少ないため、日本国産のほとんどは地産地消されている。日本国産は輸入品で問題となるポストハーベスト農薬の心配がなく、特に無農薬物は外国産に比べて2倍から4倍の高値で取引される。収穫は日本においては主に9月から12月にかけて行われるが[20]、レモンは年間通じて収穫することが可能である。この場合、春に咲いた花は秋に結実して収穫され、夏に咲いた花は越冬して翌年の春に収穫、秋に咲いた場合はやはり越冬して翌年の夏に収穫される。日本においては秋の収穫が主流であるのは、冬の寒さが厳しく果実を越冬させることが難しいからである。

レモンは本来、気候や場所により短径が10センチメートルを超える大きさに成長する大型の果実である。ただし、日本の場合、大半がレモンティーなど生食に用いられることもあり、ティーカップの大きさを超えるような大きさの果実は調整・選別されており、大型のレモンが流通することはあまりない。日本国外では、ジュースなどの加工用途も多いことから、大きさが不揃いのまま出荷され、流通している。また、このためにレモンを樹上で成熟させることはあまりなく、多くは未熟果を収穫してエチレンガスで追熟させ、果皮の色を黄色くしてから出荷される[21]。ただし果皮の色は味や品質にはさほど影響はなく、果皮が緑色であるグリーンレモンも流通している。

国内での生産量1位は広島県で、国内生産シェアの約61%を有する(2013年)[2]。県では各企業とのコラボ商品開発等に力を入れており、「瀬戸内・広島レモン」として全国に出荷されている[6]。広島県でも特に、尾道市生口島(旧瀬戸田町)や呉市大崎下島(旧豊町)の大長地区などが名高い産地である[22]。ついで生産量が多いのは愛媛県であり、国内生産シェアの約21%を有する(2013年)[2]。愛媛県で特にレモン生産で知られているのは上島町岩城島(旧岩城村)であり、「青いレモンの島」をキャッチフレーズに生産振興と観光開発を行っている。また、温州みかんの生産量が多い和歌山県でも栽培され、国内生産の5%を占めて第3位となっている(2013年)[2]。以下、2013年の生産量は4位が熊本県 (2%)、5位が三重県 (3.5%) であった[2]。このほか佐賀県静岡県神奈川県宮崎県香川県長崎県大阪府高知県大分県千葉県鹿児島県愛知県東京都小笠原村)、福岡県兵庫県などで栽培がみられる[19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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