レモン
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またこうしたリモナイアはガルダ湖だけではなく、コモルガーノといったイタリア北部の湖水地方にわたって広がっていた[11]

近代においてはその医療効果が着目された。1753年イギリス海軍省ジェームズ・リンド壊血病が食生活から来ると推測し、実験によってこれを証明した。この実験の中で、レモンやレモンジュースが壊血病に効果があることが発見された。もっとも、リンドの実験はあくまで食生活と壊血病との関係性を立証するものであって、レモンの他にも多くの食物が推薦されていた。1768年ジェームズ・クックの第1回航海において、クックはこの結果をもとにザワークラウトを大量に積み込み、またレモンなど柑橘類を食べることを奨励することによって、3年間の長期航海にもかかわらず壊血病で1人も命を失うことなく航海を終了し、この実験の正しさが認められた。その後、1795年にはこれらの結果をもとに、イギリス海軍は自国の艦船にレモンジュースを積み込み船員に配給することを義務づけた。これによってイギリス船員の壊血病患者は、1780年 - 1795年の24%から1798年 - 1806年の11%にまで激減した[12]。こうしたレモンはラム酒カクテルであるグロッグと組み合わされて船員に提供され、これによってグロッグのレシピにはこれ以降レモンジュースが加えられるようになった。また、こうしたレモンの壊血病への効果の立証と船舶への積み込みの義務づけはレモンの消費を拡大させるきっかけとなり、レモン農園は各地に拡大していった。

レモネードは古くからレモンによって作られてきたが、レモンが高価な時代にあってはレモネードもまた高価な飲み物だった。しかし1630年代に入ると砂糖とレモンの供給拡大によってフランスでレモネードが一般的な飲み物の一つとなった。この時代のレモネードはしばしば酒を混ぜられていたが、19世紀のアメリカにおいては、レモネードは禁酒運動と結びつき、ノンアルコールの飲料となった。このレモネードは、健康的な飲み物として1870年代以降消費が拡大した。
栽培

レモンは寒さに弱いため、栽培適地は冬暖かく、夏に乾燥する地域が適しており、このため世界の大産地にはイタリアやスペイン、南カリフォルニアなど冬季温暖・夏季乾燥の地中海性気候のところが多い。日本での栽培地はウンシュウミカンなどの柑橘類の栽培地と同じく西日本の暖地であるが、なかでも特に上記条件に当てはまる瀬戸内海地方で栽培されることが多い。

耐寒性は-2から-4℃までであり、それを下回ると枯死することもあるため、風の強い地域や霜の降りる地域では寒さ対策が必要となる。棘の多い品種では棘で実に傷がつきやすくなり、かいよう病の原因となりやすいため、風の少ないところで栽培するか長い棘を切ってしまう必要がある。レモンの葉は軟らかいため害虫がつきやすく、アゲハチョウなどの幼虫には、レモンの葉を食性とする種がある。こうした食害もレモンの重大な脅威の一つである。潮風に強いため、沿岸部での栽培も可能となっている。レモンの木1本で100個から150個ほどの果実が採れる。栽培される種類も比較的豊富である。
生産2012年のレモン生産地域

2016年のレモンの10大生産国*
(トン)順位国生産量
(トン)世界生産
に占める割合
1 インド2,978,00017.17%
2 メキシコ2,429,83914.00%
3 中華人民共和国2,289,57613.20%
4 アルゼンチン1,678,3379.67%
5 ブラジル1,262,3537.28%
6 スペイン857,7544.94%
7 トルコ850,6004.90%
8 アメリカ合衆国822,0004.74%
9 イラン457,2702.64%
10 イタリア379,2822.19%
?その他3,342,14319.26%
?世界合計17,347,154100%
ソース: 国際連合食糧農業機関(FAO)[13]
*注記: 全ての数字はレモンとライムの両方を含む

国別の世界生産量では、1位から順番に、インドメキシコ中華人民共和国アルゼンチンブラジルスペイントルコアメリカ合衆国イランイタリアとなっている(ライムも順位に含む)。レモンの世界生産は、1位のインド、2位のメキシコ、3位の中国の上位3か国で世界生産の44.4%を占め、世界生産量のほぼ半分近くを占める形となっている。

日本の主な輸入国はアメリカ合衆国であり、アメリカとチリの2国からの輸入が97%を占める[14]。果実として輸入されるほか、レモン汁という形での輸入もある。レモン汁の多くは濃縮されたのち凍結させて輸入される[15]。柑橘類であるためポストハーベスト農薬が問題視されている。

なお、バナナやオレンジ、レモンなどの輸入果実を卸売市場で取引するときの単位は「カートン」と言い、レモンは1カートン140個である。[16]
南欧

産地として古くから名高いのはイタリアのシチリア島やアマルフィなどである。

また、フランス南東部のコート・ダジュールにあるマントンでは、毎年2月中旬から3月上旬にかけてレモン祭りが開催され、各地から観光客を集める。この祭りは毎年異なるテーマを設定し、町の特産品であるレモンとオレンジを使ってそのテーマに沿った様々なオブジェを町中に制作することで知られている[17]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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