レッドリスト
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2019年12月10日に "The IUCN Red List of Threatened SpeciesTM 更新版 (IUCNレッドリスト2019-3) が発表され[27]、掲載する絶滅危惧種3万178種、掲載種の総計は11万2,432種である[28][29]
2022年版

IUCN以外のレッドリスト

IUCNのレッドリスト発表後、各国の所管政府機関などによって、同様のリストが独自に作成されてきた。これらの多くは、IUCNのカテゴリーに準拠したものもある。
日本におけるレッドリスト

日本では環境省により作成されているほか、水産庁や地方公共団体、学術団体などにより作成されている。

日本においてはレッドリストやレッドデータブックに掲載された生物に対する法令等の規制はないが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)における希少野生動植物種の指定や環境アセスメントなどの野生生物の保護・保全における基礎資料として用いられる。
環境省
レッドリストとレッドデータブックの違い

環境省では、レッドリストとレッドデータブックという2つの資料を作成・公表する。レッドリストは絶滅のおそれのある野生生物の名称(学名和名等現地名)、カテゴリー等の最低限の情報のみをリストするものであり、レッドデータブックよりも短期間で作成することができる。一方レッドデータブックには、レッドリストの内容に加え、形態、繁殖・採餌等の生態、分布、生育・生息環境、生育・生息状況、絶滅の要因、保全対策などのより詳細な情報が盛り込まれており、掲載種の基本的な情報を得ることができるようになっている。しかしながら、最新の知見を収集し、それらを取りまとめるため、作成に時間がかかるという欠点もある。例えば、環境省ではレッドリストの公表からレッドデータブックの作成までの期間を見ると、最も短い両生類爬虫類で2年半、最も時間が掛かった昆虫類で6年以上経過している。絶滅の危機に瀕している野生生物の状況は短期間で悪化することもある。そのため、いち早くレッドリストを確定・公表し、その後詳細な情報をとりまとめたレッドデータブックを作成するという2段階の作業をとっている。

この作成期間の差から、レッドリストとレッドデータブックで記載されている内容が変更されることもある。環境省の哺乳類では、1998年公表のレッドリストでは1亜種としていたニホンカワウソを、1998年発行のレッドデータブックでは本州以南個体群と北海道個体群の2つの亜種に分けている。また、維管束植物では、1997年公表のレッドリストで情報不足に評価された亜種変種)について可能な限り再評価し、2000年発行のレッドデータブックでは絶滅危惧 (Threatened) に評価された種が266分類群も増加している。

レッドリストとレッドデータブックの作成期間が開いた場合、レッドデータブックの発刊後すぐに、見直されたレッドリストが公表されるという場合もある。環境省の甲殻類等とクモ形類多足類等のレッドデータブックは2006年2月に発行されたが、その年の12月に新しいレッドリストが公表されている。

なお、レッドリストとレッドデータブックの2段階に分けず、レッドデータブックとして1回のみ公表する場合もある。特に日本の地方自治体(都道府県など)ではその傾向にあるが、環境省(当時環境庁)が1991年(平成3年)に発行した『日本の絶滅のおそれのある野生生物』(動物版レッドデータブック)においても、先行してレッドリストを公表してはいない。
環境省レッドリストのカテゴリーと定義
1991年版カテゴリー
IUCNの1966年版カテゴリーを元に設定された。

絶滅種 (Ex)

絶滅危惧種 (E)

危急種 (V)

希少種 (R)

地域個体群 (LP)

1997年版カテゴリー
IUCNの
#1994年版カテゴリーを元に設定されたが、LR/cd(低リスク/保全対策依存)・LR/lc(低リスク/軽度懸念)・NE(未評価)に相当するカテゴリーは設定していない[30]。また、詳細なカテゴリーの定義については下記を参照[31]。また、カテゴリーの判定基準は「定性的要件」と「定量的要件」を組み合わせたものになっており、分類群あるいは評価対象種の状況に応じていずれかが採用されている(無脊椎動物や植物IIでは全面的に定性的要件が使用されており、絶滅危惧IA類とIB類の区分もされていない)。

絶滅 (Extinct, EX) - 日本ではすでに絶滅したと考えられる種

野生絶滅 (Extinct in the Wild, EW) - 飼育・栽培下でのみ存続している種

絶滅危惧 (Threatened)

絶滅危惧I類 (CR+EN) - 絶滅の危機に瀕している種

絶滅危惧IA類 (Critically Endangered, CR) - ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

絶滅危惧IB類 (Endangered, EN) - IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの


絶滅危惧II類 (Vulnerable, VU) - 絶滅の危険が増大している種


準絶滅危惧 (Near Threatened, NT) - 存続基盤が脆弱な種

情報不足 (Data Deficient, DD) - 評価するだけの情報が不足している種

[付属資料]絶滅のおそれのある地域個体群 (Threatened Local Population, LP) - 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの

2007年(2006年)版カテゴリー
カテゴリー区分は環境省1997年版カテゴリーと同じであるが、カテゴリー定義が若干変更されている[32]
1991年版と1997年版・2007年版カテゴリーの比較
1991年版と1997年版・2007年版カテゴリーの比較を参考として記載する。

1991年版と1997年版・2007年版のカテゴリーの比較1997年版・2007年版カテゴリー1991年版カテゴリー
絶滅 (EX)絶滅種 (Ex)
野生絶滅 (EW)?
絶滅危惧I類 (CR+EN)絶滅危惧種 (E)
絶滅危惧II類 (VU)危急種 (V)
準絶滅危惧 (NT)希少種 (R)
情報不足 (DD)?
絶滅のおそれのある地域個体群 (LP)地域個体群 (LP)

2012年・2013年版カテゴリー
クニマスの再発見により、野生絶滅の判定基準を「飼育・栽培下でのみ存続している種」から「飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種」に変更した[33][34]
2017年版カテゴリー
2012(平成24)年度に第4次レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)を取りまとめており、2015(平成27)年度から、生息状況の悪化等によりカテゴリー(ランク)の再検討が必要な種について、時期を定めず必要に応じて個別に改訂することとしている。


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