レジーナ・スペクター
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曲を作りたいと強く願ったことはなくて、あたかも音楽が彼女に自然に流れ込んでくるのだと語る。他の多くのシンガーソングライターと異なり、スペクターの歌詞は自伝的なものではなく、彼女の想像上のシナリオおよびキャラクターに基づいたものが多い[2]フォークやユダヤ音楽、ロシア音楽ヒップ・ホップクラシック音楽からの影響をかいま見ることができる。特に初期作品においてはジャズブルースヒップ・ホップからの影響が色濃く、最近の作品はポップスエレクトロニック・ミュージックに近づいているといえるだろう。スペクターの音楽は同じようにピアノを弾き歌うフィオナ・アップルトーリ・エイモスと比較されることが多いが、その作品全般が彼女たちのそれとは異なる独特なスタイルを確立している。

スペクターには自分の声を使って様々な音色を表現するという特徴もあり、天使のような高音のハスキーボイス、ビリー・ホリデイばりの低音ボイス、トランペットのような楽器音までも操る。中声域を使ってジャズ風のヴィブラートや滑り降りるような歌唱を披露することも多い。バラードの中間部でビートボックスを挟んだり、ドラムスティックでピアノのボディや椅子を打ち、タップのリズムを刻んだりするそのスタイルは異端でさえある。歌の端々に強いニューヨーク・アクセントがみられ、ニューヨークとその文化への愛着が感じられる。

歌詞も同様に様々な要素を含んでおり、架空のストーリーや登場人物を歌の中へ短編小説風に置き換えたものが多い。スペクターは通常英語で歌っているが、ときどきラテン語ロシア語フランス語、その他の言語を歌詞の中に挟むことがある。スペクターの音楽は“Poor Little Rich Boy”におけるスコット・フィッツジェラルドアーネスト・ヘミングウェイ、“Baobabs”における『星の王子さま』、“Paris”におけるヴァージニア・ウルフマーガレット・アトウッド、“Pound of Flesh”ではエズラ・パウンドウィリアム・シェイクスピア、“Apres Moi”でのボリス・パステルナーク、“Oedipus”での『オイディプス王』など、文学作品になぞらえたものが多く、ほかのフォーク音楽とは一線を画している。スペクターの歌詞が繰り返しテーマにしているのは恋愛、死、宗教(特に聖書やキリスト教を引き合いに出したもの)、都市生活(特にニューヨーク)であり、“gravedigger(墓掘り)”、「知恵の樹」や“Mary Ann”といった名前を複数の曲でキー・フレーズに用いることで知られている。

スペクターの初期のアルバムでは、多くの曲で非常に小さなリヴァーブ、もしくは人工的なディレイを付加し、かなり乾いたボーカル処理を施していた。この手法はコンテンポラリー・ミュージックでは極度に珍しく、歌い手の声が重々しく感じられると言われている。製作過程ではその印象は非常に薄いとも言われ、スペクターの初期作品では生のフィーリングが優先されたのだろう。しかしながらスペクターの最近のアルバム、特に“Begin to Hope”では歌ものとしての処理が強調され、伝統的なポップス風味、さらに一般的なロックバンド編成の楽器が導入されている[1]
パフォーマンス

2005年ごろからスペクターは明るい赤が映えるボールドウィンベビーグランドピアノをパフォーマンスに用いている。2003年にはストロークスの前座として初めての北米ツアーに出ている。その後は『レイト・ナイト・ウィズ・コナン・オブライエン』に2回、『ザ・トゥナイト・ショー・ウィズ・ジェイ・レノ』に2回、Jimmy Kimmel Liveに1回、Last Call with Carson Dalyに2回ずつ出演している。さらにアメリカとヨーロッパをツアーで廻った。2005年にニューヨークで行われたthe 2nd Annual Jewish Music & Heritage Festivalでは、普段はオリジナルの曲しか歌わない彼女が珍しくレナード・コーエンマドンナのカバーを披露している。

2003年から2004年にかけて行われたストロークスのRoom on Fireツアーでは、スペクターがバンドと一緒に“Modern Girls & Old Fashion Men”をパフォーマンスする場面も見られた。

2006年、スペクターはアメリカとヨーロッパでワンマン・ツアーを敢行し、多数のクラブ/シアターでチケットを売り切る成功を収めている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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