狭義のレゲエは直接的には同じくジャマイカのポピュラー音楽であるスカやロックステディから発展したが、ジャマイカのフォーク音楽であるメント[注釈 2]や、アメリカ合衆国のリズム・アンド・ブルース、トリニダード・トバゴ発祥のカリプソ、ラスタファリアンの音楽であるナイヤビンギ、コンゴ発祥のクミナ(英語版)や西アフリカ発祥のジョンカヌー(英語版)、さらにはマーチなど多様な音楽の影響を受け成立した[2][3][4]。ジャマイカキングストン
語源メイタルズのリーダー、トゥーツ・ヒバート(2006年、フランス)
「レゲエ(reggae)」と言う呼称の語源には諸説あるが、「ぼろ・ぼろ布、または口げんか・口論」という意味を表すジャマイカ英語のスラング、パトワ語で「レゲレゲ(rege-rege)」が転じたものという説[5]が有力である。
語源にはいくつかの異説がある。歌手のデリック・モーガンは以下のように述べている。
「僕達は「ロックステディ」という名前が気に入ってなかったから「ファット・マン」の新しいヴァージョンを作ることにした。オルガンを使って地を這うようなビートに作り直す事にしたんだ。プロデューサーのバニー・リーはその変化を気に入ってくれた。そして彼はオルガンとリズムギターで「レゲッ、レゲッ」と聞こえるサウンドを創り出した。バニーはそれを「レゲエ、レゲエ、レゲエ」と呼び、他のミュージシャン達もそう呼ぶようになったのさ[6]。」
また、「都合のいい女」を意味するジャマイカ・クレオール語(パトワ)のスラング「ストレゲエ ("streggae")」をクランシー・エクルズが略語化したという説もある[6][7]。
1968年に史上初めて「レゲエ」という語をタイトルに取り入れた楽曲「ドゥ・ザ・レゲエ(英語版)」を発表したメイタルズ[6][8]のリーダー、トゥーツ・ヒバートは以下のように語っている。
「確かに当時ジャマイカで「ストレゲエ」という言葉はあった。例えば女の子が歩いてる時、誰かがその子を見ながら「なあ、あの子はストレゲエだな」なんて言ったりした。彼女はあまりお洒落じゃなくぼろっちいっていう意味さ。まあ、女の子の方も男達に対して同じ事を言ってたんだろうけど。ある日の朝俺と友人達で遊んでる時、俺はこう言ったんだ。「オーケー、レゲエをやろうぜ (Let's do the reggay)」って。それはただ単に口をついただけの意味のない言葉だったんだが、俺達はすぐに「ドゥ・ザ・レゲエ、ドゥ・ザ・レゲエ」と歌いだして、ビートを作っていった。人々は後になってそのサウンドと名前は神から与えられたものじゃないかって言ったね。それ以前にはそういうスタイルの音楽のことを「ブルー・ビート」とか色々な呼び方で呼んでたんだけどね。この話は今ではギネス・ワールド・レコーズにも載ってるって訳だ[9]。」
「レゲエは普通の人々が作ったっていう事だ。判るか?日常を語った音楽であり、ゲットーから生まれたものであり、大衆のものっていう事だよ。毎日の飯のように、ダンスするための音楽としてレゲエが必要だったのさ。レゲエは日々苦闘し、欲しいものも手に入らないレギュラーな人々 (regular people)っていう意味なんだよ[9]。」
また、ボブ・マーリーはレゲエの語源は「王の音楽」を意味するスペイン語であると主張していた[10]。さらに、「王のために (to the king)」を意味するラテン語「regis」に由来するとする説もある[11]。 狭義におけるレゲエのアンサンブル、およびレゲエバンドにおいて使用される楽器は、ドラムセット、ベース、ギター、キーボード、パーカッション、そしてトロンボーン・サキソフォーン・トランペットによって構成されるホーンセクションである[12]。
音楽的特徴