レゲエ
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オルガンを使って地を這うようなビートに作り直す事にしたんだ。プロデューサーのバニー・リーはその変化を気に入ってくれた。そして彼はオルガンリズムギターで「レゲッ、レゲッ」と聞こえるサウンドを創り出した。バニーはそれを「レゲエ、レゲエ、レゲエ」と呼び、他のミュージシャン達もそう呼ぶようになったのさ[6]。」

また、「都合のいい女」を意味するジャマイカ・クレオール語(パトワ)のスラング「ストレゲエ ("streggae")」をクランシー・エクルズが略語化したという説もある[6][7]

1968年に史上初めて「レゲエ」という語をタイトルに取り入れた楽曲「ドゥ・ザ・レゲエ(英語版)」を発表したメイタルズ[6][8]のリーダー、トゥーツ・ヒバートは以下のように語っている。

「確かに当時ジャマイカで「ストレゲエ」という言葉はあった。例えば女の子が歩いてる時、誰かがその子を見ながら「なあ、あの子はストレゲエだな」なんて言ったりした。彼女はあまりお洒落じゃなくぼろっちいっていう意味さ。まあ、女の子の方も男達に対して同じ事を言ってたんだろうけど。ある日の朝俺と友人達で遊んでる時、俺はこう言ったんだ。「オーケー、レゲエをやろうぜ (Let's do the reggay)」って。それはただ単に口をついただけの意味のない言葉だったんだが、俺達はすぐに「ドゥ・ザ・レゲエ、ドゥ・ザ・レゲエ」と歌いだして、ビートを作っていった。人々は後になってそのサウンドと名前は神から与えられたものじゃないかって言ったね。それ以前にはそういうスタイルの音楽のことを「ブルー・ビート」とか色々な呼び方で呼んでたんだけどね。この話は今ではギネス・ワールド・レコーズにも載ってるって訳だ[9]。」

「レゲエは普通の人々が作ったっていう事だ。判るか?日常を語った音楽であり、ゲットーから生まれたものであり、大衆のものっていう事だよ。毎日の飯のように、ダンスするための音楽としてレゲエが必要だったのさ。レゲエは日々苦闘し、欲しいものも手に入らないレギュラーな人々 (regular people)っていう意味なんだよ[9]。」

また、ボブ・マーリーはレゲエの語源は「王の音楽」を意味するスペイン語であると主張していた[10]。さらに、「王のために (to the king)」を意味するラテン語「regis」に由来するとする説もある[11]
音楽的特徴

狭義におけるレゲエのアンサンブル、およびレゲエバンドにおいて使用される楽器は、ドラムセットベースギターキーボードパーカッション、そしてトロンボーンサキソフォーントランペットによって構成されるホーンセクションである[12]

最も特徴的な演奏様式はドラムとベースによるリズム隊によって形作られる特有のグルーヴを中心に、リズムギターやキーボードが第2、第4拍目にアクセントを置きオフビートを刻むものである[12]。これはクラーベをリズムの基本にするドミニカ共和国メレンゲマルティニークズークセントルシアのビギン(英語版)などの近隣のカリブ海地域の音楽とは全く異なる演奏様式である[13]

レゲエのリズムはしばしばレギュラービートシャッフルビートを同居させ、ポリリズムを形成する[14][15]BPMは72から92の間であることが多く[15]、音数は少ないものの隙間でグルーヴを感じさせるように演奏される[16]。またレゲエのリズムのことをジャマイカ英語で「リディム」と言い、しばしば曲名だけではなくリディム自体にも名前がついている。

1970年代におけるボブ・マーリーの世界的ヒットなどを経て、レゲエの演奏様式はアフリカラテン・アメリカアジアなど世界の様々なポピュラー音楽にも取り入れられて演奏されるようになった。また、ジャズロックヒップホップなど異なるジャンルとの融合や、レゲエ風アレンジも多く見られる。
楽器と奏法
ドラムススライ・ダンバー(1979年)

標準的なドラムセットが使用されることが多い。スネアドラムはしばしばティンバレスのような非常に高い音にチューニングされ、演奏ではリム・ショットが多用される。また、ロックやポップスなどと異なりシンバルを使ったフィルインはあまり用いられず、ハイハットを叩く際はアクセントをつけず平板なビートを刻むことが多い[15][17][18]

レゲエにおけるドラムビートは、「ワンドロップ (One Drop)」、「ロッカーズ (Rockers)」、「ステッパーズ (Steppers)」などに分類することができる。
ワンドロップ
1拍目にアクセントがなく、3拍目のみがスネアドラムのリムショットとバスドラムによって強調される[19]カールトン・バレットが開発したとされるこのリズムは[注釈 3][19]、レゲエを特徴づける要素の一つである[19]。代表的楽曲はボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「ワン・ドロップ (One Drop)」など。
フライング・シンバル
ワンドロップのドラムに、通常はギターやキーボードが強調する2拍目、4拍目をハイハットのオープンショットによって強調する奏法[20]。1974年にカールトン・サンタ・デイヴィス(英語版)が開発し、1975年まで流行した[20]。代表曲はジョニー・クラーク(英語版)「ムーブ・アウト・オブ・バビロン (Move Out of Babylon)」など[20]
ロッカーズ
ルーディメンツを下敷きにしたマーチングバンド風のフレーズをスネアドラムで叩く。その戦闘的にも聞こえるビートから「ミリタント・ビート」とも呼ばれている[21]スライ・ダンバーによって開発された[21]。代表的楽曲はマイティ・ダイアモンズ「アイ・ニード・ア・ルーフ (I Need A Roof)」(1976年)など。
ステッパーズ
スライ・ダンバーが開発した4拍子の4拍すべてに固い4つ打ちのバスドラムを打つリズムである[22][23]。代表的楽曲はボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「エクソダス」など。この曲でカールトン・バレットは、4分の4拍子を刻む4つ打ちのバスドラムに8分の6拍子を刻むハイハットの3連打を絡めている。
ベースロビー・シェイクスピア(1978年)

標準的なエレキベースが使用されるが、極端に重低音を強調した音にチューニングされる[24]


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