プロデューサーには、小規模作品のプロデュース経験を持ち「スケジュールと予算を遵守する」とスピルバーグから信頼されていたフランク・マーシャルが雇われた。スピルバーグは、撮影監督のダグラス・スローカムとプロダクション・デザイナーのノーマン・レイノルズを雇った[26][24]。ルーカスは、第二班のディレクターと映画の製作総指揮に就任。ルーカスは、知人のハワード・G・カザンジャン(英語版)をもう一人の製作総指揮者として起用し、長年の協力者であるロバート・ワッツ(英語版)をアソシエイト・プロデューサー兼プロダクション・マネージャーとして連れてきた。
パラマウントは、撮影スケジュールを85日間と義務付けたが、スピルバーグの「もう予算やスケジュールの超過で批判されることは避けたい」との決意から、ルーカス、スピルバーグ、マーシャルは自主的に「撮影は73日間で抑える」と決めた[26][24]。スピルバーグは予算を低く抑えるためにより速いペースで作業し、ルーカスとはそれぞれ別の作業に取り組んだ[26]。また、あらかじめ脚本の80%以上を絵コンテで描き起こしてもらい、これによりスピルバーグはシーンを事前に視覚化し、撮影にかかる時間を想定しながら製作することが可能となった[26]。 インディ役に関して、ルーカスは本作が成功すればシリーズ三部作にすることを構想していたこともあり、役と作品に対して全力を捧げることをいとわない、比較的無名の俳優を希望した[26]。ジェフ・ブリッジスなど多くの候補者が挙がる中、当初はルーカスの妻であるマーシア・ルーカスが好んだことを理由にトム・セレックがオファーされたが、セレックは当時出演していたテレビシリーズ『私立探偵マグナム』に関する契約上の問題からこの役を断ってしまう[26]。その後、スピルバーグはルーカスが監督した『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』でハン・ソロ役として出演していたハリソン・フォードを見て「役にぴったりだ」と彼をインディ役に推薦[26]。ルーカスは「私が彼に依存しているように見える」と反対したが、撮影開始まであと3週間に迫ったことで折れ、フォードに出演を依頼。フォードは、スピルバーグの熱意から「組めば楽しい仕事になる」と感じたことでそのオファーを快諾した[26]。 ヒロインのマリオン役に、当初スピルバーグはデブラ・ウィンガーを望んだが、彼女は興味を示さなかったためこれを断った。また、スピルバーグは当時交際していたエイミー・アーヴィングにもマリオン役を打診している。スピルバーグは最終的に、オーディション中のプロ意識に感銘を受けたことでカレン・アレンを抜擢した[26]。 ベロック役は、インディと対照的な洗練された俳優が探され、スピルバーグを魅了した鋭い目を持つポール・フリーマンとなった[26]。サラー役はダニー・デヴィートにオファーされたが、スケジュールの問題と、彼のマネージャーが法外なギャラを望んだため参加できず、『将軍 SH?GUN』での好演によりジョン・リス=デイヴィスが演じることになった[26]。なお、サラー役のオーディションにはケヴォルク・マリキャン
キャスティング
ゲシュタポのトート役は、最初にクラウス・キンスキーへオファーされた。だが「スピルバーグと仕事がしたい気持ちと同じくらい、脚本の稚拙さを感じた」との理由で同時期製作の映画『恐るべき訪問者 (別題: ヴェノム/イートン街の殺人)』への出演を選ぶ。そして、スピルバーグが「故ピーター・ローレを彷彿とさせる」と感じたロナルド・レイシーが起用された[28]。
撮影聖櫃のレプリカ(2016年)
1980年6月、約2,000万ドルの製作費で撮影が開始。契約によるタイトなスケジュールを維持するため様々な工夫が行われた[26]。
撮影前の絵コンテから第2班に任せる場面(トラックの追跡)を選定。撮影スタジオは、『スター・ウォーズ』のスタッフが揃っていたことや低コストで済むという理由からイギリスのエルストリー・スタジオのセットで行った。ロケ撮影は、主にフランスのラ・ロシェル、チュニジア、ハワイなどで行われた[26]。
セットやロケ地のミニチュアを作成し撮影方法や機材を検討するなど入念に準備し、4回以上テイクを重ねず1日平均40シーンも撮影するというハイペースを維持した。
作中に登場するドイツ潜水艦Uボートは、ドイツ映画『U・ボート』の撮影に使われたものを借用した[26]。また、基地も『U・ボート』と同じくフランスのラ・ロシェルに現存する実物でロケを行っている。
1981年9月に撮影は終了。予定通り73日間で終え、パラマウントと決めた撮影予定を12日節約した[26]。 インディの名前は、当初スティーヴ・マックイーン主演の映画『ネバダ・スミス』に因んだ「インディアナ・スミス」になる予定だったが、スピルバーグの「平凡過ぎる[注釈 10]」という意見から「ジョーンズ」に変更。また「インディアナ」はルーカスの愛犬の名前でもあり、シリーズ第3作でこのエピソードが活用された。 費用削減のため、映画『失われた地平線』(1973年)と『ヒンデンブルグ』(1975年)から一部の場面を流用している。
エピソード