レイダース/失われたアーク《聖櫃》
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作中に登場するドイツ潜水艦Uボートは、ドイツ映画『U・ボート』の撮影に使われたものを借用した[26]。また、基地も『U・ボート』と同じくフランスラ・ロシェルに現存する実物でロケを行っている。

1981年9月に撮影は終了。予定通り73日間で終え、パラマウントと決めた撮影予定を12日節約した[26]
エピソード

インディの名前は、当初スティーヴ・マックイーン主演の映画『ネバダ・スミス』に因んだ「インディアナ・スミス」になる予定だったが、スピルバーグの「平凡過ぎる[注釈 10]」という意見から「ジョーンズ」に変更。また「インディアナ」はルーカスの愛犬の名前でもあり、シリーズ第3作でこのエピソードが活用された。

費用削減のため、映画『失われた地平線』(1973年)と『ヒンデンブルグ』(1975年)から一部の場面を流用している。スピルバーグは、このことに関して後に「費用対効果が高かった。目の鋭い視聴者だけがこれに気付くだろう」と語っている[26]

物語冒頭の遺跡の冒険は、漫画家のカール・バークスが描いたコミック『スクルージおじさん(英語版)』を基にしている。バークスはディズニー専属の漫画家として知られ、ドナルドダックのコミックを多く執筆。スクルージ・マクダックの生みの親でもあることから「グッド・ダック・アーティスト」として有名で、スピルバーグとルーカスは彼を尊敬していた[29]

チュニジアでの野外ロケ中、撮影スタッフの大半が現地の食事のため食中毒(細菌性赤痢)を患う事態が発生した。アラブ人剣士役として参加したテリー・リチャーズ(英語版)は、インディとの決闘シーンのため数週間に渡り三日月刀を用いた訓練を行っていたが、撮影開始直後にフォードも赤痢による体調不良をおこしたため撮影がストップ。スケジュールも遅れる可能性が高くなった為、休憩中の相談で内容が変更され「登場直後に拳銃で射殺される」というユーモラスな役回りになってしまった。しかし、結果としてこの場面は「ハリウッド映画史の中でも印象的な場面」と評されるなど本作屈指の名シーンとなり[30]、後にリチャーズ演じる剣士はレゴブロックで商品化されるほどの知名度を得る事になった[31]。また、この場面は『魔宮の伝説』でもインディと二人組のインド人剣士との対決場面としてセルフパロディが行われ、本作で行う予定だった「三日月刀と鞭の対決」が実現する事となった[32]

転がる岩の効果音は、サウンドデザイナーのベン・バートが実際に岩を転がしても納得のいく音が録音されず、最終的に砂利の丘を下るホンダ・シビックのタイヤの音が採用されている。また、聖櫃の蓋が開く音は、トイレのタンクを開く音が使われた[28][33]

ベロック、ディートリッヒ、トートが死亡する場面は、特殊メイクアーティストのクリス・ウェイラスが担当し、それぞれの俳優から顔の型をとったものを用いて撮影した。ディートリッヒが顔が瞬時にミイラ化し死亡した場面は、型を風船にしたものの空気を一気に抜くことで撮影し[26]、トートの溶ける顔はゼラチンで作成した顔をガスファンヒーターでゆっくり溶かしながら撮影し、その再生速度を上げたものが使われた[34]。ベロックの顔が爆発する場面は、型から作成した石膏の彫刻内部に血や肉片に見える色々なものを詰め込み、それを2つのショットガンで破壊する様子を撮影したものを使用。なお、公開前にこの場面により年齢制限が設けられそうになったため、急遽ベロックの顔の前に炎をダビングし、見えにくくする演出が施された[26][28]。なお、ウェイラスは本作公開の前に参加した『スキャナーズ』でも同様の頭部破壊シーンを制作し、大きな話題を呼んだ。
評価

ナショナル・ボード・オブ・レビューでは、本作を「インスタント・クラシック」と名付け、これまでに作られた最もユーモラスでスタイリッシュなアメリカ映画の1つと評した。また、古い連続活劇を現代の観客にとって、最も完璧な形に洗練して見せたと説明し「息をのむような信じられないほどの」冒険と呼んでおり、この映画が娯楽作品というジャンルで唯一の成功をおさめ、スターウォーズ、ジェームズボンド映画、スーパーマンの流れを汲む冒険叙事詩を作成したと結論付けている[35]

バラエティ誌のスティーブン・クレインは「爽快な現実逃避の娯楽」と呼び、映画がアクション、コメディ、サスペンスと神秘的な神話とのバランスをうまくとっていると評した[36]

水野晴郎は本作を「息をつかせぬ面白さ」と評している。また、カーチェイスの場面に『駅馬車』(1939年)の類似点があることや、公開直前行ったインタビューでルーカスが「映画を作る前に『隠し砦の三悪人』(1958年)を見なおした」と語っていたことを挙げ、「映画史上に有名な、面白い映画のエッセンスが全部込められているわけです」と述べている。

一方、アラブ系の人種を粗野で野蛮に描いていると、公開当時に鑑賞していた映像作家のウサマ・アルシャビ(英語版)が指摘している[37]

スピルバーグは自身は、後に「シリーズの中で最も完璧な映画が当作だと考えている」と語った[38]
影響

本作は公開後に大衆文化にも永続的な影響を与え、”現代映画の試金石”となったと考えられている[38]

公開後、考古学を学ぶ若者が増加しており、現代の考古学者には「この映画がその道へすすむきっかけだった」と語る人物が多い。ジョン・リス=デイヴィスは、これまでに出会った150人以上の講師、教授、考古学者が「この分野への関心はこの映画から始まった」と語ったことを明かしている[39]

ルーカスの協力者で著名なゲイリー・カーツは本作について、ルーカスが「観客は物語より『ジェットコースターに乗ること』に関心がある、と確信するようになった作品」とし、以降のルーカス作品は、脚本よりアクションを重要視するようになったという[40]
受賞・ノミネート

賞部門対象結果出典
アカデミー賞美術賞ノーマン・レイノルズ
レスリー・ディリー
マイケル・フォード受賞[41]
視覚効果賞リチャード・エドランド
キット・ウェスト
ブルース・ニコルソン
ジョー・ジョンストン受賞
音響編集賞ビル・ヴァーニー


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