ルーマニア語
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接続法が非常に頻繁に現れるのはルーマニア語の特徴で、ほかのロマンス語なら不定法を使うところを接続法で表現する[6]

不定法はイタリア語と同様の -re で終わる形と -re のつかない形があるが、-re のつかない形が通常の不定法であり、-re のついた形は行為名詞的な意味になる(女性)。例:face(する、不定形)に対して facere(行為)[7]

不規則動詞にはfi(繋辞)、avea「持つ」、da「与える」、manca「食べる」、bea「飲む」など十数種類あるが、フランス語スペイン語に比べるとずっと少ない。

前置詞は目的語として対格を取るのが普通だが、一部の前置詞は属格をとる。
人称代名詞

主語の人称は動詞の形から明らかであり、代名詞の主語は特に強調するとき以外はつけない。敬称が発達しているのも特徴である。

人称代名詞には強形と弱形がある。通常、弱形は動詞の直前に置かれる。弱形にはほかに接語として用いる短い形がある(省略)。

対格をとる前置詞の目的語としては強形が用いられる。動詞の目的語として対格強形を使うときは pe が必要である。

属格は三人称代名詞にのみ存在し、与格強形と同形である。三人称以外では所有形容詞を使用する。

単数複数
第一人称第二人称第三人称男性第三人称女性第一人称第二人称第三人称男性第三人称女性
主格eutueleanoivoieiele
対格強形minetineeleanoivoieiele
弱形m?teilonev?iile
属格luieilor
与格強形mie?ieluieinou?vou?lor
弱形imii?iiinev?le

敬称には以下のものがある。

dumneata - 二人称単数

dumneavoastr? - 文法上は二人称複数として扱われるが、意味の上では単数・複数の両方に用いられる。dumneata より丁寧。

dansul / dansa / dan?ii / dansele - 三人称の敬称の代用として使われる(あのお方)。

所有形容詞男性単数女性単数男性複数女性複数
一人称単数meumeameimele
二人称単数t?utat?itale
三人称単数s?usas?isale
一人称複数nostrunoastr?no?trinoastre
二人称複数vostruvoastr?vo?trivoastre

所有形容詞は所有される物の性・数にしたがって変化するが、三人称代名詞属格は所有者の性・数にしたがって変化する。
語順

ルーマニア語はSVO型の言語であるが、主語はしばしば省略される。主題として目的語を先に出し、OV(S)型の構文になることもあるが、このときは目的語を代名詞によって二重に標示する。

Vinul po?i s?-l alegi tu. ワインは君が選んでかまいません[8]。vinul(ワイン)po?i(できる)s? alegi(選ぶ、接続法)、-l(三人称男性単数対格の接語形)、tu(君が)

Pe Maria a v?zut-o Ion. マリアにヨンは会った[9]。-o は三人称女性単数対格の接語形

疑問文は平叙文と同じ語順であり、抑揚によって区別される。

名詞属格・形容詞は原則として修飾する名詞に後置される。
語彙

ルーマニア語には借用語が多いが、100-200語の基礎語彙に限ると、その9割はラテン語に由来する[10]

いくつかの基礎語彙はラテン語にもそれ以外の言語にも同系語を持たない(copil「子供」(スラブ語からの借用とも)、grumaz「首」など)。これらの語はローマ以前のダキア人の言語に由来するとも言われる[11]。そのうちにはアルバニア語に同系語を持つものがある[10]

スラブ語派に由来する語彙は、近隣の南スラブ語からの借用によるものと、13世紀以降に教会スラブ語から借用した文化語の2つの層がある。たとえば、「終える」という意味の語として、前者に由来する日常的な sfar?i と、後者(съвършити)に由来する文章語的な s?var?i の2種類の語が存在する[12]

ハンガリー語からの借用語には birui「打ち勝つ、征服する」< bir、chip「顔、映像」< kep、hotar「国境」< hatar、ora?「都市」< varos などがある。

ドイツ語に由来する語には cartof「ジャガイモ」 < Kartoffel などがある。

ギリシア語の語彙は、スラブ語を経由して間接的に入ったもの(drum「道」< ギリシア語: δρ?μο?)と、18世紀以降オスマン帝国のギリシア人ファナリオティスによって統治されていた時に入ったものがある。後者は1200語ほどがあるが、生き残っている語はそのうち250語ほどに過ぎない。トルコ語からの借用語(du?man「敵」など)も現在ではその多くが使われなくなった[13]

18世紀末以来、ロマンス語から大量の語彙が借用された。また、ロシア語経由でフランス語の語彙が借用されることもあった[14]
ルーマニア語が公用語の国・地域・組織.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  ルーマニア語が唯一の公用語・国語   公用語だが話者が少ない   欧州連合(2023年現在はクロアチアが加盟し、イギリスが脱退している)   ルーマニア人のディアスポラ
ルーマニア語が公用語の国・地域

国・地域名ステータス人口母語話者割合関連項目
 
ルーマニア主権国家19,043,800 (2011年)90.70%ルーマニアの言語(英語版)
 モルドバ 主権国家3,559,500 (2012年)70.20%モルドバの言語(英語版)
 ガガウズ自治区自治区161,200 (2012年)03.90%ガガウズ自治区の言語
 沿ドニエストル共和国事実上の独立国509,400 (2013年)32.10%沿ドニエストル共和国の言語(英語版)
 セルビア ヴォイヴォディナ自治区1,931,800 (2011年)01.45%セルビアの言語(英語版)
 ウクライナ チェルニウツィー州
ヘルツァイウシキィラヨン32,300 (2001年)93.80%ウクライナの言語
ザカルパッチャ州
Tiachiv Raionラヨン171,900 (2001年)12.40%
 ギリシャアトス自治修道士共和国自治共和国1,800 (2011年)-

ルーマニア語を公用語とする組織

組織名加盟国関連項目
 
欧州連合ルーマニアを含む28か国欧州連合の言語
ラテン連合モルドバルーマニアを含む36か国ロマンス諸語

脚注[脚注の使い方]^ Mallinson (1987) p.318
^ Mallinson (1987) p.308
^ a b Mallinson (1987) p.312
^ Mallinson (1987) pp.315-316
^ Mallinson (1987) p.314 によると、オルテニア方言でのみ使われる
^ Mallinson (1987) p.317
^ 泉井(1968) pp.123-125
^ 鈴木信吾、鈴木エレナ『ニューエクスプレス ルーマニア語 (CD付)』白水社、2008年、65頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784560067956


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