ボルツマンは、クラウジウスが、1850年の論文において、純粋にマクロ的な概念として、カルノーサイクル上の関数として発見したエントロピーを、そのおよそ50年後に、統計力学の立場から見直し、エントロピーを原子の分布の仕方の尺度として再定義した事になる。今日、エントロピーの解説として、啓蒙書などで広く語られる「デタラメさの尺度」と言うエントロピーの通俗的概念は、エントロピーの本来の定義ではなく、ボルツマンが上記の式によって証明した「定理」である事を認識する必要が有る。イギリスの科学史家ジェイコブ・ブロノフスキーは、BBCが1970年代に制作した科学史番組『人間の時代』において、こうしたボルツマンの科学史上の役割を取り上げ、ボルツマンこそは、原子を実在の対象と考えた最初の科学者であったと述べ、ボルツマンが科学史において果たした役割を称賛している。
脚注^ 『ボルツマン
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