ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
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レノンによれば、楽曲内で描かれる幻想的な情景はルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』に触発されたものとしている[5]

1967年3月にレコーディングされた本作は、ロウリー・オルガンやタンブーラ(英語版)によるドローン効果が特徴となっている。本作は、サイケデリック・ミュージックの典型とされている。1974年にエルトン・ジョンによってカバーされ、Billboard Hot 100では第1位を獲得した。
背景

1966年のある日、ジョン・レノンの息子・ジュリアンは保育園から帰ると、ルーシーという名のクラスメートについてジョンに話した。ジュリアンはジョンに絵を見せながら「ルーシーがダイヤモンドを持って空にいるんだ」と説明した[6]。ジュリアンはその後「僕はなぜたくさん描いた絵の中からそれを選んだのか分からない。でも、その当時はルーシーに対する好意をはっきり持っていたんだ。僕はそのころよく父に保育園で描いたり作ったりした物を見せていたんだよ。この絵は父に『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』のアイディアをひらめかせたんだ」と語った[7][8]

タイトルの名詞の頭文字をつなげると「LSD」になることから、幻覚剤の効果を再現したものという憶測が広まった[6]。これについてポール・マッカートニーは否定し、上述のジュリアンが描いた絵がモチーフとなっていると主張し、レノンもこれを認めた[6][注釈 1]。また、歌詞についてレノンは、1968年に「歌詞はすべて『ジャバウォックの詩[注釈 2]』を元に書いた」とし、「絶対にルイス・キャロルになってやろうと思っていた。これまでは『きみが好きだし、きみもぼくが好き』と書くのが曲作りで、文章はそれとは異なるものと考えていた。でも、ディランたちを通じて、そのふたつはおなじものだというに気が付いた。だから同じようにすることに決めた。ああいった詩に注ぎこまれたのと同じエネルギーが曲にも注ぎこまれている」と語っている[6]

マッカートニーは、本作の「Cellophane flowers of yellow and green(黄色や緑色のセロファンの花)」と「Newspaper taxis appear on the shore(岸辺に新聞紙のタクシーがあらわれて)」というフレーズを考案しており[11][12]、「僕とジョンは言葉遊びをしていた。“岸辺に新聞紙のタクシーがあらわれて”といったフレーズは全て、あのシリーズがまだ続いていて、アリスが別の国に行ったとしたら、彼女の身に起こっていそうなことばかりだ」と語っている[6]
レコーディング

この曲のレコーディングに先立って、1967年2月28日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2でリハーサルが行なわれ[13][6]、3月1日にレコーディングが開始された。この曲は4トラック・レコーダーで録音され、最初のテイクではトラック1にアコースティック・ギターピアノ、トラック2にポール・マッカートニーローリー・オルガン、トラック3にリンゴ・スタードラム、トラック4にレノンのガイド・ボーカルとシェイカーが録音された[6]。この日に録音されたテイク7が採用され、レノンのガイド・ボーカルが、ジョージ・ハリスンによるタンブーラ(英語版)に置き換えられた[13]

3月2日に前日に録音した4つのトラックをピンポン録音して、テイク8を作成。なお、この時に録音のスピードを通常の49サイクルより僅かに遅く設定された[6]。これにより、ジョージ・ハリスンアコースティック・ギターにはフェージング効果が大量にかけられ、音色が大幅に変化することとなった[6]。その後トラック4にマッカートニーのベースとハリスンのリードギターが録音された[6]

その後、トラック2とトラック3にダブルトラッキングされたレノンのボーカルと、マッカートニーのハーモニーが録音された。なお、レノンのボーカルは、テープレコーダーの回転速度を45サイクルに落とし、マッカートニーのハーモニーは、48.5サイクルで回して録音された[6]。これにより、後のモノラル・ミックスやステレオ・ミックス作成時に通常のスピードで再生すると、録音時よりもテンポが少し速くなり、キーも少し高く聴こえるようになった[6]

本作のモノラル・ミックスは3月2日に11パターンも制作されたが、最終的に3月3日に制作されたモノラル・ミックスが採用された。なお、ステレオ・ミックスは4月7日に制作された[14]

レコーディング・セッション時のアウトテイクが正式にリリースされており、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』にはテイク6、7、8を組み合わせた音源が収録され[6]、2017年に発売された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド -50周年記念エディション-〈6枚組スーパー・デラックス〉』にはテイク5と1967年3月2日に制作された初期段階のモノラル・ミックスが収録された[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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