ルパン三世_カリオストロの城
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そこへ水上から追手が追い付き、二人は時計塔の内部に逃げ込むが、クラリスは最上部にある巨大な時計の短針の先まで伯爵に追い詰められてしまう。ルパンはクラリスから聞いた指輪に関する言い伝えと、時計塔を見て気付いた指輪の秘密を伯爵に教え、指輪を使うことで手に入るであろう宝と引き換えにクラリスを引き渡すよう要求する。交渉に応じる振りをした伯爵はルパンの隙を突いて指輪を奪い取り、ルパンを助けるために伯爵を道連れに投身しようとしたクラリスを湖へと蹴落とす。ルパンは後を追って宙に身を投げ、クラリスを抱き止めながら共に湖へと落ちて行く。ルパンの言葉に従い、伯爵は大時計の文字盤にあるヤギの彫刻の両眼に二つの指輪を填める。ところがそれと同時に時計塔の内部の複雑な歯車が一度に動き出し、時計の針が急速に12時へ回り始める。逃げ場を失った伯爵は長針と短針に挟まれて無残な最期を遂げる。やがて時計塔そのものが崩壊を始め、湖の周囲の壁に巨大な穴があいて湖の水が城に流れ込んでくる。夜が明け、無事に湖岸へと辿り着いていたルパンとクラリスは湖の底から現れた遺跡の姿を目の当たりにする。湖は実は時計塔を水門としたダム湖で、財宝とは先祖が隠した古代ローマポリスであり、時計塔の仕掛けは湛えられている水を排出して沈んだ遺跡を表出させるための装置、そして指輪はその起動装置だったのである。
エピローグ
銭形が不二子とともに衛星テレビ中継で偽札工場の全容を全世界に晒したことで、ようやく国際警察も動き出し、歴史の暗部と言われたカリオストロ公国についに捜査のメスが入ることになった。国連の空挺部隊が城に向けて降下するのを見ながら、クラリスはルパンについて行くことを望むが、ルパンは葛藤しながらも「お前さんの人生はこれから始まるんだ。俺のように薄汚れちゃいけないんだよ」と国に留まるよう諭し、「困った事があったらいつでも連絡しろ、地球の裏側からだってすぐ来てやるから」と言い残し、次元と五ェ門とともに去って行く。ルパンを追ってきた銭形が、「ルパンめ、まんまと盗みおって…!!」と悔しがる。「彼らは何も盗んでいない、自分の為に戦ってくれた」と擁護するクラリスに対し「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」と言い当てると、クラリスは目を輝かせて「はい!」と答える。それを聞いた銭形は敬礼と別れの挨拶をして去って行く。別の車両で彼に付いて行く埼玉県警の警官達も、清々しい表情で手を振るのだった。いつかきっとまた会えると希望を抱きながら、クラリスはルパンと銭形たち警官隊の車が追いつ追われつしながら地平線へと消えていく光景を見つめていた。
登場人物
メインキャラクター「ルパン三世#登場人物」も参照
ルパン三世(ルパンさんせい)
- 山田康雄本作の主人公。怪盗ルパンことアルセーヌ・ルパンの孫で、狙った獲物は決して逃がさない世界的な大怪盗にして変装の達人。ゴート札の出処と疑われているカリオストロ公国へ入国した際に追われていたクラリスを見かけ、助けるために追っ手を撃退するが、彼女は別の追っ手に連れ去られてしまう。クラリスが残した指輪を見て、彼女が昔自分を助けてくれた幼女であったことに気づき、恩に報いるためにも行動する。
峰 不二子(みね ふじこ)
声 - 増山江威子ルパン一味の付かず離れずの紅一点で、時にはルパン達を利用したり裏切ったりすることも多い。カリオストロ城の秘密を探るため、ルパンたちより先に単独で「クラリスの召し使い」として城内に潜入していた。今作ではルパン一味との関わりは少ないものの[注釈 3]、ルパンや銭形に情報を流して陰ながらにサポートをしている。
次元 大介(じげん だいすけ)
声 - 小林清志“コンバットマグナム”S&W M19を使う射撃の名手で、ルパンの相棒。ルパンと共にカリオストロ公国の城に水中から潜入するもはぐれてしまい、その後は五ェ門と共に重傷を負ったルパンを匿ったり、対戦車ライフルによる射撃で援護したりした。クラリスの事を「お姫さん」と呼び、健気な彼女を良い娘と評している。
石川 五ェ門(いしかわ ごえもん)
声 - 井上真樹夫ルパン一味の一人。大泥棒石川五ェ門の十三代目で、最強の刀「斬鉄剣」を武器に戦う剣客。ルパン達と合流した際、ルパンがわざと銭形をカリオストロに呼んだ意図を見抜く等持ち前の勘の鋭さを見せた。クラリスの真摯な立ち振る舞いに触れて、思わず「可憐だ」と漏らし、その後の戦闘では普段以上の冴えを見せた。
銭形 幸一(ぜにがた こういち)
声 - 納谷悟朗インターポール所属のルパン三世専任捜査官で、階級は警部。通称「(銭形の)とっつぁん」。専任捜査官である故、ルパンに関係する事件なら世界中どこでも捜査権が認められている。ルパンの情報を聞きつけて埼玉県警機動隊[注釈 4]を率いてカリオストロ公国に駆け付け、伯爵城の外周警備を行うが、カリオストロ伯爵の裏工作でインターポールから帰還命令が出る。納得できずに伯爵に掛け合おうとするが、床に仕掛けられた罠により城の地下牢獄に落とされ、途方に暮れているところを同じく落とされたルパンと合流。ゴート札の秘密を知りルパンと一時休戦して共に地下から脱出。インターポールにニセ札製造の実態を訴えるも歴史の暗部に深く噛む事案であるがゆえに歯牙にもかけられなかったため、一時は落胆して任務から退く。その後、不二子からルパンが伯爵の結婚式に乱入する気であることを知らされる。これ幸いと、ルパン逮捕を口実にニセ札の製造現場とその実態を世界に暴露するべく自らも再び機動隊を指揮して現場に赴く。ルパンの大暴れによる騒ぎの中、城に機動隊を率いて突入し、レポーターに変装して潜入した不二子と共に地下の偽札工場を偶然発見した振りをして世界中に中継することで、インターポールの鼻を明かした。相変わらずルパンを逮捕できなかったが今回の事件に関しては色々と理解を示していた。ルパン曰く「昭和一桁生まれ」とのこと。他の作品と違い、手錠や拳銃を取り出す場面が無く、十手を振るうか徒手格闘のみである。
ゲストキャラクター
クラリス・ド・カリオストロ
声 -
島本須美本作のヒロインにしてキーパーソン。カリオストロ公国の公女で、大公家最後の姫君。大公家に伝わる「銀の山羊の指輪」の所有者。7年前に起きた大公の館の大火事[注釈 5]で両親を亡くして以来、永らく修道院に入っていたが、両家を統一し国を手中に収めようとするカリオストロ伯爵との政略結婚を強いられる。非道な行為を続ける伯爵に反発し、婚礼衣装の仮縫いの隙を突いて脱走する。伯爵の差し向けた追手から逃げている途中でルパンと再会し、一時は助けられるが、再び捕らわれる。終盤では薬物により意識を奪われた状態で結婚式を挙げさせられていたが、三たび城に潜入したルパン一味に助けられ、逃亡中に次元と五ェ門にも感謝の言葉を述べた。幼少期、若き日のルパンがゴート札を狙って忍び込んだ伯爵の城から脱出中に負傷し行き倒れていたところを介抱していた。クラリス本人はその時のことを覚えていないが、エピローグでは「ずっと昔にあの方(ルパン)に会ったような気がするの。……ルパン……。きっとまた会えるわ」と呟く。
ラザール・ド・カリオストロ伯爵
声 -
石田太郎[注釈 6]カリオストロ公国の摂政を務める事実上の統治者。本作の悪役伯爵家当主(代数は不明)で、大公夫妻の死後、摂政として公国の実権を握っている。表向きは傲岸不遜ながらも紳士的だが、本性は強欲かつ残虐非道な人物。伯爵家の一族を「大公家の影としてカリオストロ家の暗部を一手に担ってきた」と自認しているように、裏では本物以上と評された偽札「ゴート札」の密造をも受け継いでおり、世界各国の闇の部分と深く繋がっている。伯爵家に伝わる「金の山羊の指輪」の所有者であり、対となる「銀の山羊の指輪」を持つクラリスとの政略結婚によってカリオストロの正当な後継者としての地位と、2つの指輪に秘められたゴートの秘宝を手に入れようと目論む。劇中ではほぼ一貫して「伯爵」と呼ばれ、ファーストネームは劇中では呼ばれない[注釈 7]。結婚式をぶち壊しにしたルパンと湖の時計塔で対峙する。ルパンとはぐれたクラリスを追い詰めて殺そうとするが、駆けつけてきたルパンから持ち掛けられた指輪と人質の交換条件を呑む振りをしてルパンを殺そうとし、それを止めようとして飛びかかってきたクラリスをも蹴落とす。ルパンに教わった通りに両指輪を時計の盤面の1時方向にあるレリーフにはめ込むが、指輪が時計塔のスイッチだとは知らなかったため、仕掛けが起動した瞬間に長針と短針に挟まれて苦しみもがく。最後は暗闇で両針が12時を指し、断末魔の叫びをあげると共に死亡した(その際、圧死又は斬首を思わせる軽い音をたてた)[要検証ノート]。
ジョドー
声 -
永井一郎カリオストロ伯爵に仕える有能な執事。裏の顔として、各国の情報機関からも恐れられる公国の特殊部隊「カゲ」の長官も兼任している。財宝を手に入れようとする伯爵を献身的にサポートし、一度はMG34を用いてルパンに瀕死の重傷を負わせる。伯爵への忠義心は厚く、伯爵が最期を迎えた際は「これでカリオストロも終わりだ」と嘆き、五ェ門に自らを介錯するよう求めた[注釈 8]
園丁(庭師の老人)
声 -
宮内幸平大公家公邸の庭師。自分の職務に誇りを持っており、大公家の没落後も焼失した公邸跡の庭園を管理し続けている。クラリスのことは誕生当時から見守っており、彼女から愛犬のカールを託されている。無愛想だが根は親切で、伯爵との戦いに敗走したルパンたちを匿った。
グスタフ
声 -
常泉忠通[注釈 9]主に城内の警備とカリオストロ伯爵の身辺警護を務める、衛士隊長。融通の利かない堅物気質。
機動隊
声 -
松田重治[注釈 10]銭形が支援部隊として日本から引率してきた埼玉県警察機動隊。パトカーと2台の幌付きトラックに分乗し、ジュラルミン製の大盾と木製警棒を装備している。拳銃を収納するホルスターも装備しているが、拳銃を構えたり発砲したりする描写はない。負傷者を出しながらも、サーベルで武装した衛士隊と激しく渡り合った。ラストではルパンを追う銭形とともにカリオストロ公国を離れ、クラリスたちに手を振る。
カール
庭師の老人が面倒を見ている老犬。大の大人を押し倒すほどの力がある大型犬。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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