ルネ・ゲノン
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ゲノンは今日に至るまで形而上学・エゾテリスム研究の分野で大きな影響を及ぼし続けており、「伝統主義学派」と呼ばれる一群の思想家・知識人達の代表者と見なされている[7]。「伝統主義学派」の代表的人物として、『諸宗教の超越的一性』などの著作で知られるフリッチョフ・シュオン、『ヒンドゥー教と仏教』などの著作があるインド学者アーナンダ・クーマラスワミ、『イスラームの芸術』などの著者ティトゥス・ブルクハルト、ゲノンの秘書で『ムハンマド』著者マーチン・リングス、イスラーム科学史家サイード・フセイン・ナスルが挙げられる[8]宗教学の泰斗ミルチャ・エリアーデは著作において何度かルネ・ゲノンに言及しているが[9]、彼の学問的アイデアの多くはゲノンからの影響を受けていたことが近年の複数の研究によって指摘されている[10]

他にもアントナン・アルトーアンドレ・ブルトンジョルジュ・バタイユレーモン・クノー、アンリ・ボスコなど作家・詩人にもゲノンの熱心な読者であった者が多く[11]、思想家シモーヌ・ヴェイユも学友ルネ・ドーマルとともにゲノンの愛読者であった[12]。『スモール・イズ・ビューティフル』で知られる経済思想家エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーは著作[13]においてゲノンの文章を多数引用している。晩年のアンドレ・ジッドは「もしゲノンが正しければ私の全作品は崩壊する。…そしてゲノンの書いたことに反対するいかなる理由も見出せない」と語っている[14]

ドナルド・トランプアメリカ大統領の元側近スティーブン・バノンもゲノンに傾倒している[15]
日本での受容

日本においてルネ・ゲノンの名が印刷媒体に現れたのは1968年のM.M.ダヴィ『シモーヌ・ヴェイユ入門』(田辺保訳・勁草書房)が最初であると思われる。その後、『ヘルメス叢書』(白水社)の訳者でもある仏文学者有田忠郎によって、ゲノン研究者リュック・ブノワの『秘儀伝授』(白水社・1976年)翻訳や『地球ロマン』掲載論文[16]などで本格的な紹介がなされた。荒俣宏編『世界神秘学事典』[17]はゲノンの項目を設けている。哲学者井筒俊彦はゲノンの著作を所有していた[18]。イスラーム学者竹下政孝は訳書[19]の解説においてゲノンおよびシュオンを紹介した。その後仏文学者田中義廣によって『現代世界の危機』『世界の王』が翻訳され平河出版社から出版された。仏文学者巖谷國士は前者の書評を朝日新聞に寄稿している。宗教学者中沢新一は『蜜の流れる博士』『精霊の王』でゲノンに言及している[20]。イスラーム学者中村廣治郎[21]東長靖[22]にもゲノンへの言及がある。
脚注^ ノエル・モーリス・ドニ・ブレの証言によれば、ゲノンは「単にそれらを破壊する目的で」グノーシス教会に加わった、と彼女に語ったという。La pensee catholique : cahiers de synthese n°77, 1962
^ シャコルナックはゲノンの伝記を書いている。Paul Chacornac,La Vie simple de Rene Guenon, Editions traditionnelles, Paris,1957.
^ David Bisson,Rene Guenon : Une politique de l'esprit, Pierre-Guillaume de Roux Editions,2013
^ 『ヒンドゥー教義研究のための一般的序説』第五章
^ 『現代世界の危機』(邦訳:「世界の終末」)を参照。
^ 『イニシエーションに関する考察』第八章
^ Mircea Eliade (Editor),Encyclopedia of Religion, Macmillan Library Reference(1986),vol.6,p136-138.ただし、ゲノン自身は「伝統主義」という用語を否定的な意味で用いている。


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