ルクセンブルク
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神奈川県佐賀県沖縄県程度の広さの国土に、人口は60万人強[注釈 3]

国土の大部分には丘と低い山地が広がる。首都ルクセンブルクの標高は379 m。最高地点は同国北端に近いクナイフの丘 (560 m)。ローマ帝国時代から、街道が交わる重要拠点であった。北部はベルギーから続くアルデンヌ高原、南部はフランスから続くロレーヌ台地。東側のドイツとの国境は、モーゼル川が流れる。

ルクセンブルクは地理的に欧州の中心に位置している。その意味ではブリュッセルストラスブールと並ぶ世界都市である。

道路や空路(航空貨物大手のカーゴルックス航空が本拠地を置く)といった交通網がよく整備されており、中規模の船舶の航行が可能なモーゼル川があるだけではなく、オランダ(国際的な海運業の中核)を近隣国とする「欧州における物流の要所」である。更には英語フランス語ドイツ語といった「欧州の主要言語がすべて通じる」理想的な環境にあるため、欧州圏にビジネス展開しようとする世界企業にとっては魅力的な立地条件を有している。ルクセンブルクの月別最高気温(赤)、最低気温(青)、降水量(棒グラフ)
出典:BBC Weather

ルクセンブルクの気候はケッペンの気候区分によると西岸海洋性気候に分類される。

首都ルクセンブルクの年平均気温は、1961年から2000年の30年平均値で8.6 °C。月別平均気温が最も低くなるのは1月 (0.2 °C)、最も高くなるのは7月 (17.2 °C)である。

年間降水量は847.7 mm。図からも分かるように月別降水量の年間における変化に乏しい。最も降水量が少ないのは2月 (59.6 mm)、最も多いのは11月 (79.3 mm)である。どの月においても降水が観測された日が過半数を占める。

相対湿度が最も低くなるのは4月から6月にかけてであり、73%である。最も高い月は12月 (90%)。年平均値は81%である。
地方行政区分詳細は「ルクセンブルクの地方行政区画」を参照

12つのカントン(フランス語: Canton、ドイツ語: Kantone、ルクセンブルク語: Kantonen)と102の基礎自治体(フランス語: Commune コミューンドイツ語: Gemeinde ゲマインデ、ルクセンブルク語: Gemeinde)の2層構造から成り立つ。ただしカントンには行政機能がない[6]

2015年まではカントンの上位区分として広域行政区が設置されていた。
経済詳細は「ルクセンブルクの経済(英語版)」を参照

欧州連合統計局(ユーロスタット)の調査によると、平均所得は平均的なヨーロッパ人の2.5倍である[7]。ルクセンブルクの世帯の平均資産は57万ユーロであり、外国人居住者はかなり裕福になる傾向がある。しかし、これは少数の外国人の場合である。これは、最大の外国人コミュニティであるポルトガルが、平均的な外国人の富にほとんど貢献していないためである[8]。2022年1月のルクセンブルクの購買力水準は、日本の約113%(ドイツ:日本の約94%)である[9]

ルクセンブルクはリヒテンシュタインモナコの公国を除いて、一人当たりの国内総生産は世界で最も高い。2009年以内にルクセンブルク経済で生産され、最終消費に役立つすべての商品とサービスの総額は、一人当たり104,512米ドルである。これにより、ルクセンブルクはこのランキングでノルウェー(79,085米ドル)、スイス(67,560米ドル)を大きく上回っている。ルクセンブルク市の国内総生産はEU平均の213パーセントである。唯一のグレーターロンドン(315パーセント)とブリュッセル首都地域(234パーセント)はより高い値を持っている。グローバル競争力指数、国の競争力を測定し、ルクセンブルグは、137カ国(2017年から2018年)のうち、19位にランクされた[10]。経済的自由のための指標は2017年に180カ国の14位にランク付けされた[11]

1965年のビジネス・ウィーク誌によると[12]ミューチュアル・ファンドの巨人ジョン・テンプルトンとその共同経営者ウィリアム・ダロムスは、Investors Overseas Services ルクセンブルク保険のファイナンスを手がけた腕を買われてIOS のパートナーとなり、バーニー・コーンフェルドもテンプルトンのレキシントン・リサーチ・アンド・マネジメントの株式をIOSと個人名義で保有した。

最近では1MDB をめぐる汚職事件と関係して、実業家のカデム・アル・クバイシ(英語版)が、パナマ文書に載っているオフショア会社を経由し、ジュネーヴに本店があるエドムンド・ド・ロスチャイルド銀行のルクセンブルク支店で口座を開設した。
GDP

ルクセンブルクはタックス・ヘイヴンの1つとしてよく知られており、GNIGDPの差は途方もなく大きい[13][14]。ルクセンブルクのような主要な一人当たり名目GDP上位国の多くはタックス・ヘイヴンであることに注意する必要がある。それらの国のGDPデータは、外国の多国籍企業のタックス・プランニング活動によって大きく歪められている。

これに対処するために、2017年にタックス・ヘイヴンでもあるアイルランドの中央銀行はより適切な統計として「修正GNI」(またはGNI*)を作成し、OECDIMFはアイルランドのためにこれを採用した。したがって、購買平価説に基づく2020年のルクセンブルクの一人当たり実質GNIは、カタール、シンガポールに次いで世界第3位を維持しているが、ドイツやイギリス、日本などの先進国の首都と同程度に過ぎないと言える[15]

IMFの統計によると、2015年のルクセンブルクのGDPは578億ドルであり[16]、2013年度における日本岐阜県の経済規模とほぼ同じである[17]。1992年以降、一人当たりのGDPは世界首位の座を保っている[18]。ただし、購買力平価ベース[19] では、2000年代中盤を境にカタールに追い抜かれ、第2位に甘んじている[注釈 4]

ルクセンブルクの経済成長率は毎年4 - 5%の範囲で推移(2007年度以降は鈍化[22])しており、先進国としては例外的に高い経済成長を維持し続けていたが、2008年に起こった世界経済危機の影響を受け、2009年にはマイナス成長に転じた。翌年には持ち直したものの、2012年にはユーロ危機によって再びマイナス成長となった。ただし2016年現在は以前の状態に回復している[23]

GDP比で特徴的なのは対外債務であり、GDPの67倍となり極めて高い水準にある。(2017年6月末現在)(国別外債残高の一覧)。
大規模な外国資本

ルクセンブルクは先進国の中でも特に税率が低い国であり、数多くの国外企業を誘致することに成功している。近年ではインターネット関連企業の誘致に力を注いでおり、スカイプeBayAppleなどを筆頭として数多くのインターネット関連企業が本社機能を移転している[24][25]。ただし、本社機能を完全移転したスカイプ社のような事例は稀であり、その大半は欧州本社である[26]

日本企業としては、ファナック[27]楽天などが欧州本社を置いている[28]


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