オペレーティング・リースはリース期間終了後の残存価格を設定したり、中途解約が可能である等、賃貸借色が強い契約である。賃貸借色の強い契約であるため、ファイナンス・リースと異なり、リース資産のオフバランス処理が認められている。
当初契約のリース期間に達した場合には、元のリース設定額よりも廉価(一月分のリース料+α程度)で再リース契約を締結をすることにより、1年ごとの更新が可能である。 また、借手企業が、借りていたリース物件を買い取ることができる契約もある。
物件の所有者はリース会社であるため、物件所有によって生じる納税義務や減価償却費の計上、リース物件にかけられた保険料の支払はリース会社が行う。また、リース取引もリース会社にとっては銀行にとっての融資と同じであるため、担保を取らないことが多い分より厳しい審査がある。 リース料総額は以下のような構成となっている。オペレーティング・リースの中で、物件の残価設定を行うものはここから残価金額分をマイナスする。 リース契約は金融色が強い契約であるが、銀行から融資を受ける場合と異なり、リース料は単純に金利で比較できない。これはリース会社によって動産総合保険のコストが異なるためで、金利が安いとしても必ずしもリース料が安くなるとは限らない。そこで、リース料水準の比較にはリース料率というものが利用されている。リース料率の算定式は以下のとおり。 100万円の物件を月額リース料18,500円でリースした場合のリース料率は1.85%となる。 リース利用による長所は、各国が採用する会計基準や税制の内容によって異なるが、概ね共通する長所は以下のとおりとなる。詳細は各国リースのページにて述べる。 リースについての詳細は各国の採用する会計基準・税制等により異なるため、それぞれの地域について別個記述していく。 IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)は、2007年3月からリースプロジェクトを立ち上げて、リース会計の全面改訂に向けた審議を開始した。2009年3月にディスカッションペーパー「リース:予備的見解」を公表し、2010年8月には公開草案(Exposure draft)「リース」が公表[7]されたものの、その内容を懸念する多数のコメントが提出された。リースプロジェクトは、2011年6月に終了予定とされていたが、多数のコメントを受けて、再審議に相当の時間を費やしたため、プロジェクトの終了が延期され、公開草案からの重要な変更が行われたことから、2013年5月に改訂公開草案「リース」が公表されている。 現行リース会計基準では、リースをファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分して、それぞれの会計処理方法が異なるが、改訂公開草案「リース」では、使用権モデルを採用し、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分をなくし、借手は使用権資産とリース負債を計上することが提案されている。 2010年8月に公開草案(Exposure draft)が公表されており、日本では公開草案(日本語版)PDF 公開草案ではリースの定義を以下のように定めており、またその判定は契約の実質に基づいて判定するとしている。 以下の条件に当てはまるものはIFRS新リース会計基準適用範囲から除外される。
リース料構成
リース料総額 = (物件取得価額 + 諸税 + 資金調達コスト + 保険料 + 手数料(リース会社利益、管理コスト))
リース料率 = (月額リース料 ÷ 物件取得価額)
リースの長所
費用の平準化が可能
早期の費用化が可能
購入時のキャッシュアウトを抑えられる
一定条件下でオフバランス処理が可能
事務省力化
銀行の融資枠を温存できる
世界各国でのリース
欧州におけるリース
IFRS採用地域におけるリースを参照のこと・・・国際財務報告基準(IFRS)採用地域
米国におけるリース
米国におけるリースを参照のこと・・・米国会計基準
日本におけるリース
日本におけるリースを参照のこと・・・日本会計基準
IFRS新リース会計基準について
公開草案(2010年8月)
定義と適用範囲
特定の資産(原資産)を使用する権利が、一定期間にわたり、対価と交換に移転される契約[8]
「特定の資産」には、貸手がリース期間中に代替資産を用意できるような場合(日本における、在庫を持ってレンタルするような契約)は、資産が「特定」できないとしてこの定義に含まない[9]。また、「使用する権利」とは使用を支配する権利とされ、他社に命じて資産を稼動させる場合であっても、実質的に多大な恩恵を受ける場合にはこの権利を有しているものとされる[10]。
資産の売買と認識される契約
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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