リヴェンジ級戦艦
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本級の副砲である「Mark XII 15.2cm(45口径)速射砲」は前級同様に舷側ケースメイト(砲郭)配置であるが、前級において艦首寄りに配置したために波浪が開口部に吹き込む不具合を改善するため、本級では船体中央部に放射状に単装で前方4基・後方2基の片舷6基ずつ配置したが、舷側配置と別個に甲板上に防盾付きで片舷1基ずつ2基を配置した。これにより片舷7基の計14基を装備したが甲板上の2基は波浪の被害があったために後に撤去されて12基となった。この武装配置により前方向に最大で38.1cm砲4門と15.2cm砲4門、後方向に38.1cm砲4門と15.2cm砲2門、左右方向に最大で38.1cm砲8門と15.2cm砲7門を向けることが出来た[17]。他に対艦用に53.3cm魚雷発射管を1番主砲塔よりも手前に片舷1門ずつ計2門を配置していた。
海軍休日から第2次世界大戦時近代化改装後の「レゾリューション」。

ユトランド沖海戦の戦訓により就役後の1916年に水防性強化、火薬庫の防炎処置、自爆防止対策の改善、弾薬庫の上面に25mm装甲が追加された[18]

1930年代に「リヴェンジ」はクイーン・エリザベスに準じた近代化改装を検討していたが、キング・ジョージ五世級との代替を見越して実施を見送った[19]

1930年代に近代化改装が行われた。防御面においては主甲板の防御強化のために弾薬庫の上部に102mm装甲、機関部に64mm装甲を追加で貼った。水雷防御の強化と復元性の強化のために舷側にバルジを追加した事により艦幅は31.0mに増加し、満載排水量は33,500トンとなり速力は21ノット台に低下した。

外観上の相違点では射撃指揮装置の更新により前部マスト頂部の射撃指揮所が大型化したほか、艦橋の側面に見張り所が複数設けられた。対空火器の増加が行われ、10.2cm高角砲を単装砲架で船体中央部に4基を配置したほか、近接火器として煙突の側面の探照灯台の下にフラットを設けて4cm八連装ポンポン砲を片舷1基ずつ計2基を設置し、司令塔の側面に12.7mm四連装機銃を片舷1基ずつ計2基を設置した。水上機の運用のために中央部の甲板が大型化し、3番主砲塔上にカタパルトが設置され、水上機の運用のために後部マストの左側にクレーン1基が追加された。 また「ロイヤル・オーク」と「レゾリューション」「ラミリーズ」は後部マストが三脚型となった[20]

第二次世界大戦中に10.2cm高角砲は「ロイヤル・オーク」が連装砲架で4基になったのを皮切りにして姉妹艦も連装砲4基8門となった。航空兵装は対空火器の増強により順次撤去されたが「レゾリューション」は最後まで搭載していた[21]
武装
主砲1910年代に撮られた「ロイヤル・サブリン」。

本級の主砲はクイーン・エリザベス級に引き続き「Mark I 38.1cm(42口径)砲」を採用している。これを連装砲塔に納めたが、「ロイヤル・オーク」のみ揚弾機が異なる「Mark I*」が採用されていた。

その性能は重量871kgの主砲弾を最大仰角20度で射距離21,702mまで届かせる事が出来るというもので、射距離13,582mで舷側装甲305mmを、射距離18,020mで279mmを貫通できる性能であった。砲身の仰角は20度・俯角5度で旋回角度は左右150度の旋回角が可能であった。装填機構は自由角度装填で仰角20度から俯角5度の間で装填でき、発射速度は竣工事は毎分2発であった。動力は蒸気ポンプによる水圧駆動であり補助に人力を必要とした。

1942年までに、1939年に戦没したロイヤル・オークを除く全艦に主砲管制用の284型射撃指揮レーダーが装備されている[22]
副砲、その他備砲、雷装等1943年にフィラデルフィアで撮られた「ロイヤル・サブリン」。対空火器の増強が行われ、2番・3番主砲塔上に4cm四連装ポンポン砲が1基ずつ追加されており、艦上の至るところにエリコン2cm単装機銃が設置されているのが判る。

副砲は「Mark XII 15.2cm(45口径)速射砲」を引き続き採用した。その性能は重量45.36kgの砲弾を最大仰角14度で射距離12,344mまで届かせる事ができる性能であった。装填機構は自由角度装填で仰角14度から俯角7度の間で装填でき、発射速度は竣工事は毎分5?7発であった。砲身の仰角は15度・俯角5度で動力は人力を必要とした。旋回角度は120度の旋回角が可能であった。その他に対戦艦用に53.3cm水中魚雷発射管を単装で4門を装備した。

就役後に対空火器は「ヴィッカース 12.7mm(62口径)機銃」を四連装砲架2基を搭載していたが、第二次世界大戦中に「4cm(56口径)機関砲」や「エリコンFF 20 mm 機関砲」に換装されていった。対空火器の増加の代償として舷側の15.2cm速射砲は12門から8門へと減少していた。
防御近代化改装後の本級の武装と装甲の配置を示した図。

本級の防御方式はクイーン・エリザベス級から引き続き、艦体の水線部を広範囲に防御する全体防御方式を採用していた。

水線部は最厚部で300mm装甲が1番主砲塔から4番主砲塔の側面にかけて広範囲に貼られ、主砲塔の側面部から艦首・艦尾部には152mmから51mmへテーパーした。上甲板の舷側部には1番主砲塔側面から4番主砲塔側面にかけて152mm装甲が張られてた。水線下の弾薬庫と機関区の水密隔壁には水雷防御として25mm装甲が貼られていた。近代化改装後の「ロイヤル・サブリン」の船体中央部の断面図。

甲板防御は二層構造で上甲板は50mm、その下の主甲板は水平部は30mmで舷側装甲に接続する傾斜部が50mmであった。天蓋と舷側装甲と接続する前後の隔壁の装甲は艦首側は最大で152mm、艦尾側は最大で102mmであった。

主砲塔の前盾には270mm、側盾は81mm、天蓋は109mmの装甲が貼られた。その主砲塔のバーベット部も甲板上は最も厚い部分で254mmであったが背面部は178mmとなり、甲板から下は152mmにまで薄くなっていた。副砲の15.2cm速射砲を防御するケースメイト(砲郭)部の装甲は最大で152mmで天蓋部は25mmであった。
機関

機関構成は前述通りに重油専焼水管缶18基にパーソンズ式直結タービン2組4軸推進だが、ボイラーの形式は姉妹艦により異なり、「ロイヤル・サブリン」「リヴェンジ」「ラミリーズ」はバブコックス&ウィルコックス式だが、「レゾリューション」「ロイヤル・オーク」はヤーロー式であった。要求性能の23ノットに対して[5]。公試において40,000馬力を発揮して速力は22ノットにとどまった[19]

機関配置は艦首側にボイラー室、艦尾側にタービンを収める機械室を配置するイギリス巡洋戦艦伝統の全缶全機配置である。ボイラー室は横隔壁で区切られた3室構成で1室当たりボイラー6基を搭載したがボイラー数が減少したために煙突の数は1本となった[5]。機械室は縦隔壁で区切られた3室構成で、外側の第1・第3機械室には巡航タービンと高圧タービン及び高圧後進タービンの2組を外軸に片舷1軸ずつ配置、中央部の第2機械室は低圧タービンを並列に2基2軸を配置した[19]

燃料タンクは重油を収める4,000トンで、航続距離は速力10ノットで4,000海里と計算された。就役後の1931年の改装時に燃料タンクの拡充を行って搭載量は4,615トンとなり14ノットで8,900海里を航行できるとされた。これにより満載排水量は48,000トンとなった[19]
艦歴

第一次世界大戦時に竣工したR級戦艦は、順次グランド・フリートに所属した[13]。ユトランド沖海戦に参加したR級戦艦は2隻(リヴェンジ、ロイヤル・オーク)のみである[注釈 2]海軍休日時代に幾度か改装を受けたが、クイーン・エリザベス級戦艦3隻や[24]、巡洋戦艦「レナウン[25]のような大規模な近代化改装を受けることはなかった[26]

その為、主として船団護衛や陸上への艦砲射撃などの第二線任務に就いた[27]。しかしながら、船団護衛としての戦力では有力な存在であり、旧式とはいえ攻撃力も防御力も高い15インチ砲戦艦は、ドイツ通商破壊戦の主力であった仮装巡洋艦アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦では相手にならず、ドイッチュラント級装甲艦(通称:ポケット戦艦)やシャルンホルスト級戦艦の11インチ(28センチ)砲にも優位に立ち[28]ドイツ海軍 (Kriegsmarine) の通商破壊作戦において障害となりえた[29]。シーレーンの保護がイギリス海軍の基本戦略だった事を考えると、イギリス海軍の戦艦としては戦術的価値が失われつつあったが、その能力はドイツ海軍の通商破壊部隊を圧倒し、シーレーンを守るという形で戦略面で貢献した艦級と言える[22]

WW2に撮られた「レゾリューション」。後方は「フォーミダブル


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