リン酸化
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セリン、トレオニン、チロシン残基に加えて、リン酸化は原核生物のタンパク質の塩基性アミノ酸残基、ヒスチジンアルギニンリシンにも起こる[4][5]。Rが極性をもつアミノ酸残基へのリン酸の付加は、タンパク質内の疎水性の部分を極端に親水性に反転させることができる。この経路では他のタンパク質の疎水性と親水性残基の相互作用を通してタンパク質の構造変化を導入することができる。

リン酸化の調節の例として、p53癌抑制タンパク質がある。p53タンパク質の調節はとても多く[8]、18以上のリン酸化サイトを含んでいる。活性化したp53は細胞周期の進行を抑えたり(いくつかの要因によっては逆にする)、アポトーシス細胞死[9]を導くことができる。この活動状態は、細胞の状態がダメージを受けているか生理機能が通常の健康な個体を妨げているときのみ生じる。

非活性化シグナルのとき、タンパク質は再び脱リン酸され作用を止める。これは多くのシグナル伝達の形式の機構で、例として光が網膜の感光性細胞によって処理される過程がある。

リン酸化を含む調節作用
反応エネルギーを必要とする生物学的熱力学
身体の水分の含有量の恒常性維持のための浸透圧調節によるナトリウムイオンとカリウムイオンの細胞膜通過輸送時のNa+/K+-ATPアーゼのアスパラギン酸残基のリン酸化
酵素阻害剤の調停
インスリンシグナリング経路の一部分であるAKT(タンパク質キナーゼB)によるGSK-3酵素のリン酸化[10]C末端Srcキナーゼ (Csk) によるsrcチロシンキナーゼ (sarc) のリン酸化は、キナーゼドメインのマスクが閉じている (off) 状態で構造を巻き付けながら、その酵素の中で構造変化を誘導する[11]
「認識ドメイン」経由で重要なタンパク質間相互作用
細胞質の構成要素である細胞膜に固定されたNADPHオキシダーゼのリン酸化。現在のマルチタンパク質酵素は、食細胞の作用のタンパク質間相互作用の調節で重要な酵素の役割を果たしている[12]
タンパク質分解の重要性
1990年代後半に、ATP依存するユビキチン/プロテアソーム経路でいくつかのタンパク質のリン酸化が認められた。これらの標的タンパク質は、リン酸化のときだけE3ユビキチン合成酵素のための基質になる。
その他のリン酸化

グルコース細胞に取り込まれると直ちにリン酸化を受けて、グルコース-6-リン酸が生成されるが、これはリン酸化によりグルコースが細胞外に拡散してしまうのを防ぐためである。リン酸化によって電荷を帯びたグルコース-6-リン酸は細胞膜の通過が困難になるからである。リン酸化を受けたグルコースは解糖系などの代謝経路に入る。詳細は「グルコース-6-リン酸」を参照
出典^ P.A. Levene and C.L. Alsberg, The cleavage products of vitellin, J. Biol. Chem. 2 (1906), pp. 127?133.
^ F.A. Lipmann and P.A. Levene, Serinephosphoric acid obtained on hydrolysis of vitellinic acid, J. Biol. Chem. 98 (1932), pp. 109?114.
^ G. Burnett and E.P. Kennedy, The enzymatic phosphorylation of proteins, J. Biol. Chem. 211 (1954), pp. 969?980.
^ a b A.J. Cozzon (1988) Protein phosphorylation in prokaryotes Ann. Rev. Microbiol. 42:97-125
^ a b J.B. Stock, A.J. Ninfa and A.M. Stock (1989) Protein phosphorylation and regulation of adaptive responses in bacteria. Microbiol. Rev., p. 450-490
^ C. Chang and R.C. Stewart (1998) The Two-Component System. Plant Physiol. 117: 723-731
^ D. Barford, A.K. Das and MP. Egloff. (1998) The Structure and mechanism of protein phosphatases: Insights into Catalysis and Regulation Annu Rev Biophys Biomol Struct. Vol. 27: 133-164
^ M. Ashcroft, M.H.G. Kubbutat, and K.H. Vousden (1999). Regulation of p53 Function and Stability by Phosphorylation. Mol Cell Biol Mar;19(3):1751-8.
^ S. Bates, and K. H. Vousden. (1996). p53 in signalling checkpoint arrest or apoptosis. Curr. Opin. Genet. Dev. 6:1-7.
^ P.C. van Weeren, K.M. de Bruyn, A.M. de Vries-Smits, J. Van Lint, B.M. Burgering. (1998). "Essential role for protein kinase B (PKB) in insulin-induced glycogen synthase kinase 3 inactivation. Characterization of dominant-negative mutant of PKB. J Biol Chem 22;273(21):13150-6.
^ Cole, P.A., Shen, K., Qiao, Y., and Wang, D. (2003) Protein tyrosine kinases Src and Csk: A tail's tale, Curr. Opin. Chem., Biol. 7:580-585.
^ Babior, B.M., (1999). NADPH oxidase: an update. Blood 93, pp. 1464?1476

関連項目

リン酸基

キナーゼ

タンパク質キナーゼ

タンパク質間相互作用

シグナル伝達

光リン酸化酸化的リン酸化ADPのリン酸化、つまりATP合成反応を意味する。

Phos-tag広島大学の医薬分子機能科学研究室が開発した機能性低分子および、これを利用しての新しいリン酸化生体分析解析技術。

外部リンク

タンパク質修飾(リン酸化など)に関するデータベース

チロシンリン酸化 - 脳科学辞典










タンパク質一次構造翻訳後修飾
全般

タンパク質生合成

ペプチド結合

タンパク質分解

ラセミ化

N末端

アセチル化

ホルミル化

ミリストイル化

ピログルタミン酸

メチル化

糖化反応

C末端

アミド化

GPIアンカー

ユビキチン化

SUMO化

リシン

メチル化

アセチル化

アシル化

ヒドロキシル化

ユビキチン化

SUMO化

デスモシン

ADPリボース化

脱アミノ

酸化的脱アミノ


システイン

ジスルフィド結合

プレニル化

パルミトイル化

セリン/トレオニン


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