リンダキューブ_アゲイン
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特徴

一言で表すと「時間制限つき、動く宝捜しゲーム」[1]。具体的には8年という制限時間の中で、全120種類に及ぶ動物(現実の動物とは異なる、所謂モンスター)を収集する事がゲームの目的である。動物は基本的に戦闘で倒す事で捕獲するが、一撃で敵の最大HPを大きく上回るダメージを与えると体が飛び散ってしまい、その場合は捕獲とならない(経験値も入らない)。強過ぎても弱過ぎてもいけないという、強さのバランスを考慮する必要がある。更に動物は全種類オスとメスが存在し、つがいで捕獲しなければならない。各動物は一種類につき雌雄一匹ずつ登録する必要がある。動物は種類や性別によって出現条件や捕獲方法も多種多様であり、プレイヤーは試行錯誤を重ねる事となる。戦闘で捕まえた動物を箱舟で登録することで主人公とヒロインのパラメータが上がる。登録する動物によっては特殊能力が使えるようになる。また、一定の時間が経過すると季節が徐々に変わっていきフィールドの地形(水位)が変わる。それと共に、移動速度や動物の分布も微妙に変化する。[2]。パーティメンバーは全4人だが主人公とヒロインが固定で、残りは何かしらの経緯で入手する猟犬である[注釈 1]。ヒロインはストーリー上離脱することもあり、代わりに別のキャラクターが加入する場合もある。

桝田省治が公式ホームページにおいて述べている通り[3]、『リンダキューブ』は

主人公は勇者ではない

魔王やそれに類する世界の脅威となる「敵」が存在しない[注釈 2]

惑星の滅亡を阻止する事が出来ない。

といったストーリー上の特徴を持ち、一般的な(特に『ドラゴンクエスト』のような正統派ファンタジー系を名乗る)RPGとは主人公がなすべき目的が全く異なることを桝田自身も解説書や公式サイトで何度も強調している。

また、システム面でも

8年という年月はプレイヤーが遊んでいる時間の経過と共に自動的に進む(セミ・リアルタイム)。また、時が進むにつれて住民の脱出は進み、最後の年にはほとんどの住民がマップ上から姿を消してしまう。

装備品や道具などは、店で買う以外に捕獲した動物を加工して作成する。

ゲーム開始時点から世界の果てまで自由に行ける(シナリオによっては制限がある)。また、明らかにレベルが桁外れの敵とも遭遇可能。

アイテムの中には季節をまたぐと腐ったり枯れたりするものがある。

街以外では走ると体力が減少する。

宿屋、商店といった標準の施設の他、動物を解剖して体内のアイテムを取り出す「解体屋」まで存在する。

などの点は、当時として他に例を見ないほどに先進的かつ斬新な作りとなっている。

なお、上記のような特徴になった理由として、桝田省治は直前に係わっていた『天外魔境II 卍MARU』(1992年)でいわゆる「王道」のRPG制作に3年携わり、その「王道」を作り続けたストレスからアンチテーゼとしてリンダキューブを作ったと語っている[4]
シナリオ

A、B、Cの3シナリオ(PS版、SS版ではシナリオDを含めた4シナリオ)が存在し、それぞれ全く違うストーリー展開となる。このうち特にA、Bのシナリオは猟奇的な表現が含まれており、このためにPCエンジン版は18歳以上推奨指定で発売された。桝田は企画当初はシナリオCにあたる部分のみであったが、システム部分の取っ付きが悪かったために練習用としてシナリオA、Bを追加したと語っている[3][5]。どちらもストーリーを最後まで進めずとも、規定数の動物を捕獲且つ、箱舟が飛び立つ条件が揃っていればクリアが可能となっているが、大抵はストーリーを最後まで進めなければ条件が満たせない。

3つのシナリオは目的はすべて同じで登場人物もほぼ同じだが、彼らを取り巻く境遇はすべて違っている。例えば、あるシナリオでは凶悪な殺人鬼だった人物が、別のシナリオでは自分を犠牲にして他人に尽くしていたりする。ヒロインのリンダの設定もシナリオごとに異なっている[6]。シナリオAから順にクリアすることで、ゲームに隠された謎が明らかになっていく。[7]

シナリオA 「MERRY XMAS」
ケンの双子の弟・ネクが物語の軸となるシナリオ。動物捕獲数のノルマは30種類。南エリアに行く事は出来ない。

シナリオB 「HAPPY CHILD」
エモリ博士と娘のサチコを中心に展開するシナリオ。動物捕獲数のノルマは50種類。西エリアに行く事は出来ない。

シナリオAとBは一般的なRPG同様、シナリオに沿ってストーリーが展開するため進行上の制約が多く、行ける地域も遭遇可能な動物の数も限られている。桝田省治が練習用と位置付けている通り、まずはA、Bのシナリオでストーリーを追いながら本作の要領を掴み、自由度が高いシナリオCで動物集めに専念する事を推奨している。

シナリオC 「ASTRO ARK」
動物集めをメインとしたシナリオ。動物捕獲数のノルマは100種類。120種類全ての動物が捕獲可能であり、全ての地域が解禁されている。ただし、シナリオ上の事情により制限期間は1年少ない7年間となっている。フリーシナリオであるためストーリー的な縛りが殆ど無く、自由度は極めて高い。A、Bのシナリオのような凄惨な事件は起こらず、各地から依頼されるお遣いや小さな事件程度のイベントが年月に応じて発生し、これらを自由に体験する事が出来る。同時に物語の核心が明かされる重要なシナリオであり、エンディング後にはエピローグも存在する。ラストボスにあたる敵は存在せず、規定数以上の動物を集めて箱舟を動かせばクリアとなる。A、Bをクリアせずに始める事も可能だが、別シナリオで悲惨な末路を辿った人物が幸せになっていたり、別シナリオの台詞や演出のセルフパロディが盛り込まれるといったサービス的な要素が有り、先のシナリオと比較してコメディ要素が強くなっている。シナリオ選択画面でこちらを先に選択しようとすると「ABを先にクリアしよう」と忠告が入るため、前述の通り練習の意味も含めて先にA、Bをクリアしておく事が推奨される。

シナリオD 「LAST YEAR」
PS版、SS版にて条件を満たすと出現する。シナリオCと同様に全ての動物に遭遇可能だが、イベントが存在せず、制限期間が僅か一年しかない所謂タイムトライアルモードとなっている。動物捕獲数のノルマは100種類。短い期間で厳しいノルマに挑戦出来るようにレベル、所持金などが高い状態からスタートする。
その他

PCエンジン版は初回出荷版において不具合が発覚し、ソフトの店頭回収と購入者への交換対応が実施された。具体的には、本来28トラック収録されるべきCD-ROMに27トラックまでしか収録されておらず、シナリオBにおいてBGMとして使用される28トラック目の
CD-DAにアクセスする際にフリーズしてしまうというもの。非公式ではあるが回避方法は存在する。

設定
世界観
地球
人類の母星であるが、宇宙開発によって人類はあちこちの惑星に散っていったため、すでにその座標さえ特定できなくなってしまった
[注釈 3]
惑星ネオケニア
本作の舞台となる星間連邦の植民惑星。豊富な自然を持ち、あらゆる動物が存在するため、観光地にもなっている。この世界の年号であるAMD(アフター・マザー・デス)1900年に植民が始まったが、発見直後からAMD1999年に超巨大隕石が直撃することがわかっていたため、初めから移住計画は100年と決められていた。陸地は東・西・南の3つのエリアに区切られている。
舞台
東エリア

物語の始まりとなるエリア。全てのシナリオで登場する。
ハーディア
レンジャー隊の本部がある。レンジャー隊は仕事が厳しい上に安月給であるため、「ハーディア」という名が付いた。
ミナゴ
ビースチャンの保護自治区。彼らの教会がシンボル。町の名前は既に絶滅した鳥の名前から来たというが、不吉な事件が多いため「ミナゴロシ(皆殺し)」から来たという説もある。
オズポート
ネオケニアの出入口である軌道衛星オズサットへの転送装置がある町。大きなショッピングセンターに空港ビルもあるが、公園はホームレスの溜まり場になっている。
軌道衛星オズサット。
オズポートの上空にある軌道衛星。ネオケニアの出入口となっており、ロケットの発着場の他2つの研究施設がある。
ホスピコ
巨大な病院とその待ち合わせ用の施設からなる医療都市。敷地内には「人間の寿命を一人で2年ずつ延ばした」と呼ばれる3人の科学者の研究室がある。
パラサイド
ドーム都市建設計画が放棄されて、その跡地にならず者や密猟者が建設した町。一種のスラム街で、特に町の中心にあるジャンクパレスは迷路のようになっている。
ネブール
闇商人たちによって作られた町。連邦で取引が禁止されている保護動物の売買も行われており、年2回動物のオークションも行われる。
西エリア

シナリオB以外で進行可能なエリア。シナリオBではグリーン製薬から漏れ出した薬品が生物を死滅させてしまい、立ち入り禁止になっている。
バトルパーク
西エリアの要衝に作られた町。ハンターたちの交通の拠点である。また、巨大な闘技場テントも特徴。
エターナ
グリーン製薬の社長宅を中心とする町。社長の趣味で一年中クリスマスの飾り付けが行われている。「エターナル(永遠)」から来た名前だが、シナリオAではその名の「真意」を知ることになる。
リナバレー
エターナの隣町。鉱山の町で、排水には強酸が含まれている。
コシカタ
ビースチャンの保護自治区。彼らの教会がシンボル。十数年前に当時の町長が突然、住民を大量虐殺する事件が発生し、廃村となっている。しかし、シナリオCでは宝くじ成金のポリスカという老人によって復興されている。
Gファクトリー
グリーン製薬の工場都市。ただし、ロボットによって操業されているため、ほとんど無人。
南エリア

シナリオA以外で進行可能なエリア。シナリオAでは「人形使い」抹殺のために人工衛星が落とされ、壊滅している。
ドギファ
富豪のオーマン家によって築かれた町。地下闘犬場がこの町のシンボル。
ラグナロッジ
生体工学の権威であるエモリ博士の巨大な私邸。そのため公共施設が一切存在しない。
ローズガーデン
植物学の権威であるフローラ博士の植物園を中心とした都市。彼女によって品種改良されたバラが名物。
ガレックス
動物研究都市だったが、数十年前に大爆発事故を起こして以来、完全な廃墟となっている。
カカーナホテル
放棄された観光ホテルで、中は動物の住み家となっている。
用語
ビースチャン
ネオケニアの先住民。ネオケニアの発見まで人類とは何の接点もなかったが、人類と生物学的特長・言語体系が寸分の違いもない。しかし、彼らは緑の髪で、身体能力や繁殖力は人類よりも高く、人類との混血においては彼らの遺伝子が優性に働くという違いもある。また、動物たちを自分たちの祖として崇拝する。民族名はBeast(獣)とian(人を表す接尾語)の合成語である。実はビースチャンやその混血が優れた身体能力や繁殖力を発揮できるのはネオ・ケニア上だけであり、宇宙に出てしまえば人類と全く同じになってしまう。ネオ・ケニア移住計画は人口を一時的に増やしたに過ぎなかったため、それを認知していた連邦政府は人類存亡の一縷の望みを賭けて箱舟計画に乗ったのであった。
人類
現生人類と同じ。しかし、この世界では出生率の低下・死亡率の増加が顕著となっており、種の生命が尽きかけている。ネオケニアへの移住計画は、ビースチャンとの混血を通じて人類という種を維持するという意味合いもある。
動物
ネオ・ケニアに生息するモンスター。「
イヌ」や「ブタ」など名前が付けられているが、これは外見的特徴から便宜上そう名付けられているだけで現実の動物とは全く異なる異形の生物である。


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