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リンゴ(林檎)
果実
分類
リンゴ(林檎[5]、学名: Malus domestica, Malus pumila)とは、バラ科リンゴ属の落葉高木、またはその果実のこと。植物学上ではセイヨウリンゴと呼ぶ。春、白または薄紅の花が咲く。人との関わりは古く、紀元前から栽培されていたと見られ、16世紀以降に欧米での生産が盛んになり、日本においても平安時代には書物に記述がみられる。現在世界中で生産される品種は数千以上といわれ、栄養価の高い果実は生食されるほか、加工してリンゴ酒、ジャム、ジュース、菓子の材料などに利用されている。西洋美術、特に絵画ではモチーフとして昔からよく扱われる。 セイヨウリンゴの標準植物学名は Malus domestica [2]といい、そのシノニムとして Malus pumila var. domestica [3]、Malus pumila [4]ともよばれている。栽培種には Malus domestica Borkh.
名称
和名に「リンゴ」と名がつく別種として、ワリンゴが Malus asiatica [6]、広義のエゾノコリンゴが Malus baccata [7]、シベリアリンゴは Malus baccata var. baccata [8]、エゾノコリンゴは、Malus baccata var. mandshurica [9]、タイワンリンゴは Malus doumeri [10]という。
日本語においては漢字で主に「林檎」と書くが、この語は本来、同属別種の野生種ワリンゴの漢名である。また、「檎」(音読みはキンまたはゴ[11])を「ゴ」と読むのは慣用音で、本来の読みは「ごん」(呉音)[12][13]「きん」(漢音)であった。古く中国から日本に伝わったワリンゴ(和林檎)が、日本でリンゴと呼ばれるようになった[14]。しかし現在、日本で広く栽培されているリンゴのほとんどはセイヨウリンゴである[14]。古名は、リウゴウとよばれた[15]。 原産地はアジア西部といわれ[15]、北部コーカサス地方が有力視されている[16][17]。リンゴは7500以上の品種が栽培されており、亜寒帯、亜熱帯および温帯で栽培可能である。暑さに弱いため、熱帯での栽培は難しい。 リンゴの木は落葉高木で、日本の栽培種を放任栽培すると高さは8メートル (m)にもなる[15]。栽培されているものは低く作られる[18]。樹皮は灰色でほぼ滑らかであるが、老木は不規則に剥がれる[18]。一年枝は暗紅紫色で毛が密生し、二年枝は短枝もよくできる[18]。小枝は白い皮目が目立つ[18]。 花期は晩春頃(4 - 5月)で[18]、白い5弁花が開花する[15]。品種によりまちまちであるが、8 - 11月にかけて果実が実り、収穫される[15]。 リンゴの果実は直径約3 - 15 センチメートル (cm) 、重さ約35 - 1000グラム (g) 。外皮の色は赤や黄緑または黄色をしている。熟するとヘプタコサンを含んだ蝋状の分泌物に覆われる。果肉は淡黄色から白色の品種が多い。外皮近くなど果肉が赤からピンク色になる赤肉系の品種もある。以前、こうした赤肉系の品種は渋みが強く生食に向かなかったが、2010年代になると日本では生食でも美味な赤肉系が品種改良により相次ぎ生み出された。弘前大学(青森県)の「紅の夢」「HFF60」「HFF33」、農研機構の「ローズパール」、信州大学の「レッドセンセーション」[19]、青森県五所川原市の「栄紅」(えいこう)や「レッド キュー」[20]などである。 リンゴの蜜は比重が大きいため、水の中に入れると沈む。果実の他の部分は比重が小さいため水に浮かぶ。 冬芽は卵形や円錐形で白い綿毛に覆われていて、枝先に頂芽がつき、枝に側芽が互生する[18]。葉痕はV字形で、維管束痕が3個つく[18]。 スイス地方の先住民族といわれている湖棲民族の遺跡からはリンゴの化石が発見されており、推定4,000年前にはリンゴが栽培されていたと考えられている[17]。ヨーロッパに広まったリンゴは、16世紀から17世紀頃にかけてヨーロッパ中部以北各地で栽培が盛んとなり、19世紀中頃にはイギリスが大産地となった[17]。 アメリカ合衆国には17世紀前半、ヨーロッパからの移住民によってもたらされ、新種の開発や枝変わりの発見など大きな発展を遂げた。
植物学上の特徴
種子から発芽した芽
リンゴの花
幼果
果実の断面
歴史
欧米