リヤサスペンション_(オートバイ)
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平行リンク式のうち、駆動伝達にシャフトドライブを採用した車種では、「パラレログラモ」(マーニ)や「パラレバー」(BMW)、「CARC (Cardano Reattivo Compatto, compact reactive shaft drive)」(モト・グッツィ)などと呼ばれる。シャフトドライブでは加減速の際にベベルギアに伝達する駆動力の反トルクによりリヤサスペンションが上下する挙動を示すが、平行リンク式はブレーキ装置だけでなくベベルギアにかかる反トルクも打ち消す働きをする構造である。
パラレログラモパラレログラモを採用するMagni Arturo平行リンク式サスペンションをシャフトドライブに採用した最初の事例であるパラレログラモ・サスペンション(Parallelogramo Suspension)は、MVアグスタのカスタムビルダーでもあった イタリアマーニによって開発され、1985年に同社のマーニ・"ル・マン"に搭載された。この2本のリンクロッドが平行四辺形(イタリア語:Parallelograma)を描くように見えることから、同社はパラレログラモと命名した。同様のシステムはその後他社でも開発が行われている。[8]
パラレバーBMW・R1200RTのパラレバー・リアサスペンション パラレバー・リアサスペンションを採用したR1200GSパラレバー(Paralever)は平行リンク式シャフトドライブのBMWにおける名称である。パラレバーはシャフトドライブの構成全体とスイングアームを兼ねた構造である。ベベルギアのギアケースはドライブシャフトケースから分離してリンクアームでトランスミッションと連結し、ベベルギアケースが車体フレームと平行を保ちながらスイングする。ブレーキ装置はベベルギアケースに固定されている。パラレバーは1988年のBMW・R80GSとR100GSから採用された[要出典]。
Ca.R.C.モト・グッツィのCA.R.C.モト・グッツィはコンパクトリアクティブドライブシャフト(Compact Reactive Drive Shaft/Ca.R.C./カルク)という商標で2005年から採用している。主な相違点はスイングアームとベベルギアケースを分離して可動構造とするのではなく、ドライブシャフトが中空の片持ちスイングアームの内部に収められた浮動構造となっている点である。アッパーアームはパラレバーのように車軸の位置決めを分担する存在ではなく、ブレーキ装置からの反トルクを受けるだけである。
テトラレバー川崎重工業のカワサキ・1400GTRでは、超高速域での剛性向上を重視してパラレバーをベースに両持ちのスイングフォーク形状とした[要出典]、テトラレバー(Tetralever)が採用された。
リーフばね式

リーフばね式は後輪車軸の上下にリーフスプリングを配置して、スプリング自身がリヤアームとして軸の位置決めを兼ねる構造である。スプリングの一端が車体に固定され、多端が車軸の上下によってたわむカンチレバー構造である。リーフスプリングの板間摩擦によって減衰力が発生するためダンパーは省略される。[9]アメリカインディアンから1913年に発売された車種に採用された。
プランジャ式1953年BMW R51/3のプランジャサスペンション

プランジャ式は、後輪付近に立てて配置された円筒に沿って上下にスライドするスライダが車軸を支えている。スライダの上下は円筒内部に組み込まれたコイルスプリングで保持され、円筒は車体フレームの後端部に固定される。車軸は垂直にストロークするのでドライブスプロケットとの距離の変化が大きく、ドライブチェーンの耐久性に影響を及ぼす。そのため、ストロークを大きくできない欠点を持つ。[10][11]1913年にen:Pope_Manufacturing_Companyから発売された車種[12][13]や、アドラーアリエル、BMW、BSA、インディアン、MZモトラッドノートンツェンダップなどに採用された。
ハブクッション式

ハブクッション式はサスペンションユニットを後輪ハブ内に収めた構造である。車体フレームはリジッドフレームが車軸を支持するのと同様に、スライダと呼ばれる部品を固定支持する。スライダはドライブチェーンの軸間距離に相当する半径を持つ円弧形状で、ハブに内蔵された円弧状のスライダガイドを上下に揺動する。ハブはスライダの上下に配置されたコイルばねで支えられて路面の凹凸を吸収する。プランジャ式と異なりドライブチェーンへの負担は少なくなるが、ハブの内側という限られたスペースに納められるためストロークは大きくない。[14]
ユニットスイング式スクーターのユニットスイングの内部構造

ユニットスイング式(Unit Swing)は、エンジンとトランスミッション、後輪軸受けを一体としたユニットが前部を車体フレームに支持され、スイングアームのように動作する構造で、スクーターに広く採用されている。ユニットの中央付近で車体フレームに支持される方式も採用された例があり、座席の下方に配置されたピボット部に対してエンジンが前方に配置されていて、エンジンと車輪が互いにカウンターバランスのように上下に揺動することから、カウンターバランス式と呼ばれる。カウンターバランス式はエンジンを露出させるデザインとするために採用された。[15]

エンジンと駆動伝達系をコンパクトにまとめることができる。後輪の上下動によってチェーンやベルトの張りが変化しないため、駆動系統の耐久性を確保しやすい。一方、エンジンやトランスミッションなどの重量の一部もばね下重量となる欠点を持つ。また、フレームのスペースによってはホイールトラベルが制限されたり、大きくて重い多気筒エンジンを搭載することが難しい。
関連項目

サスペンション_(自転車)
- (英語版リンク:en:Bicycle suspension)

サスペンション (オートバイ) - (英語版リンク:en:Suspension (motorcycle))

フロントサスペンション (オートバイ) - (英語版リンク:en:Motorcycle fork)

脚注^ “自動二輪車のサスペンション装置概要” (pdf). 特許庁. 2011年3月23日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2011年5月27日閲覧。
^ Motorcycle Mechanics Institute,The Complete Guide to Motorcycle Mechanics, 1984, p. 277, Prentice-Hall, Inc., ISBN 0-13-160549-6
^ “ ⇒「審査事務規程の一部改正案」に関するパブリックコメント募集結果について ─並行輸入自動車審査要領等の一部改正─”. 自動車検査法人. 2011年6月1日閲覧。
^ a b c “ ⇒自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション1/トレーリングアーム式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。
^ Motorcycle Mechanics Institute,The Complete Guide to Motorcycle Mechanics, 1984, p. 286, Prentice-Hall, Inc., ISBN 0-13-160549-6
^ スイングアームとブレーキ装置を連結する場合は平行リンク式に該当しない。
^ “ ⇒自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション1/平行リンク式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。
^ “ ⇒storia - history”. Magni. 2011年7月20日閲覧。
^ “ ⇒自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション2/リーフばね式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。


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