リモコン
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赤外線リモコンは(データフォーマットごとに信号の構成こそ異なるが)、いずれも38?40kHzの搬送波出力のONとOFFを変調し、これを1または0のビットとして伝送する仕組みを用いている[6]。物理的にはピーク値が950nm程度の赤外線を使用し、38 - 40kHz(約25μs)の明滅パルスを搬送波(キャリア)として、それをさらにミリ秒(1/1000秒)という周期で点滅し、この点滅する間隔や長さを変化させることで二進符号化を行っている点で共通している。いわゆる学習リモコンが、多種類のリモコンのシグナルに対応できるのは、このような基本部分でのフォーマットが共通しているからである。

指令を送る小型装置の先端の赤外線LEDの点滅。赤外線も写るカメラで撮影(肉眼では見えない)

小型装置の内部の基板。先端に赤外線LED。

データフォーマット

赤外線リモコンのデータフォーマット(信号の様式)は、コードと呼ばれる一連の符号になっており、その多くでは制御される側の機器を区別するカスタムコードないしデバイスコード(固有の識別子)と、各々の動作を指定するためのデータコード(例えばテレビなら「電源を入り切りする」や「チャンネルを切り替える」など)の組み合わせから成る。そしてリモコン側のボタンを操作すると、カスタムコードとデータコードが一連の信号となって発信されるよう設計されている。

赤外線リモコンのデータフォーマットに統一的な規格は存在しない[6]。したがってメーカーごとにデータフォーマットの様式は異なる。ただし、実際には信号を制御する集積回路メーカーやリモコンそのものをOEM生産するメーカーが限られており、一定のデータフォーマットの集約がみられる。なお、データコード部には制御される側の機器メーカー(ベンダ)独自の拡張仕様をもつものもある。

代表的なデータフォーマットには次のようなものがある。
NECフォーマット[7]
ソニー以外のほとんどの映像音響機器に使用されているデータフォーマット[6]。送信データは16ビットのカスタムコードと、それら機器の動作を決める16ビットのデータコード(実際には8ビットのデータコードと、その反転コードの組み合わせ)から構成される。カスタムコードのベンダーへの割り当ては、ルネサスエレクトロニクスが管理している。
家製協フォーマット
生活家電機器に多く使用されているデータフォーマット[6]。エアコン・照明器具・温水便座・一部メーカーの映像音響機器などである。送信データは制御側機器を区別する20ビットのカスタムコードと、任意長のデータコードから構成される。カスタムコードのベンダーへの割り当ては、財団法人家電製品協会が管理している。
SONYフォーマット
もっぱらソニー製品に使用されるデータフォーマット[6]。7ビットのデータコードと、5から13ビットのデバイスコードにより構成されている。

日本国内では上記のフォーマットやベンダーコードが重複しないよう配慮され、信号内容の違いにより混信や誤動作を防いでいるが、日本製品以外の家電製品では、このフォーマットに配慮しないで製造されたものもある。このため、輸入された家電品が日本製の別の機器に付属するリモコンの信号で誤動作するものがあることが知られている[8]
具体例

たとえばソニーのテレビに使われている「Sony Control-S」プロトコルは7ビット方式になっていて、次のようなバイナリコード(2進数)が割り当てられている[9]

ボタン 1 = 000 0000

ボタン 2 = 000 0001

ボタン 3 = 000 0010

ボタン 4 = 000 0011

チャンネル Up = 001 0001

チャンネル Down = 001 0001

電源 On = 001 0101

電源 Off = 010 1111

音量 Up = 001 0010

音量 Down = 001 0011[9]

たとえば「音量 Up」のボタンを押した場合、「0010010」だけでなく、次のような4つの情報が送受信される[9]

開始命令

「音量 Up」に相当する「0010010」

操作対象の装置のアドレス(これを使って、テレビ受像機側は自分に向けた指令かそうでないかを識別する)

終了命令

リモコン搭載機器のジャンルデータ放送のコンテンツ選択時や双方向番組の視聴者投票などで用いる、4色のボタン
AV機器

最近のテレビレコーダーなどのAV機器はリモコンの使用が前提になっているが、これは遠隔操作の利便性のみならず、多機能化により本体での操作が困難になっている事が大きい。一般的に片手に持って操作しやすい大きさで板状の形をした筐体に、多くのボタンがついている。乾電池を必要とするのが普通である。

iPodや一部の携帯電話などの携帯音楽プレーヤーでもリモコンが使えるが、これは有線式が多い(無線式の場合はBluetoothを用いることが多いが、採用例は少ない)。リモコンによっては液晶画面が備えられており、再生中の曲名などが確認できるものもある。
カメラカメラ

カメラにおいては、撮影時の手ぶれや画角のズレを防ぐために、シャッターを遠隔操作することが古くから行われてきた。このための機械的な装置はオート・レリーズと呼ばれる。モータードライブオートフォーカスが搭載されているカメラでは、電気的なスイッチやケーブルを採用したレリーズスイッチが多い。これらの装置では、バルブ撮影に便利なようにレリーズロック機能を搭載するものが多い。近年、ワイヤレスでシャッターの操作が可能な装置が一部のコンパクトカメラやAF一眼レフカメラに付属もしくはオプションで設定され、特にデジタルカメラにおいては、ワイヤレスでシャッター以外の操作も可能な装置が付属するものも多いが、このような装置はリモコンと呼ばれることが多い。これらのリモコンでは即時レリーズの他セルフタイマー(概ね2秒が多い)で撮影可能なものもある。
エアコン

エアコンは部屋の天井付近に設置されることが多く、本体を直接操作することが困難なため、リモコンを備えるものが多い。冷暖房等の運転種別や温度設定も見やすいようにリモコン側に表示される。リモコンに温度センサーを備えて、利用者近辺の温度を感知するものもある。


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