リベリオン
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作品のテーマは「無感覚」と「検閲」について[4]である。物語全体を通しておおむねステレオタイプで定番の古典的管理社会ディストピアが舞台という世界設定[注 1]であり、細かい演出ミスが指摘されている一方、様式化された宗教劇的な要素も多く含まれている。

本作品には代名詞とも言える「ガン=カタ」という、二挺拳銃を用いる架空の戦闘術が登場する。これは東洋武術と科学的な発想が融合している[注 2]という設定で、「なぜか主人公にだけ悪役の弾が当たらない」という事象に対する説明と、弾を装填するたびに物陰に隠れていた従来のガン・アクションに対する、アンチテーゼ的な意味合いを兼ね備えている。このカンフーのようにスピード感のある「ガン=カタ」がソフト化以降にクチコミで話題となった。

劇場公開当時は積極的な宣伝がされず、1カ月ほどで打ち切りになった。その後クチコミで評価されるようになり人気を得るようになった。
ストーリー

第三次世界大戦後に出現した全体主義体制の都市国家・リブリア。そこは、党首ファーザー率いるテトラグラマトン党が独裁政党として君臨し、二度と戦争が起らないように感情を持つことを禁じられた社会だった。

リブリアでは音楽や文学書籍、絵画や映像など、心を揺り動かす「感情的なコンテンツ」は全て「EC-10[注 3]」として禁止され、人々は「イクイリブリウム」という政府機関が生産・配給する感情抑制薬であるプロジアムの服用を義務付けられていた。党の方針に逆らい、薬の服用を拒んで「EC-10」を所有している人間は「感情違反者」として、「ガン=カタ」と呼ばれる戦闘術を極めた特殊捜査官「グラマトン・クラリック」が摘発・処刑していた。

中でも有数の実力者である、第1級クラリックのジョン・プレストン(クリスチャン・ベール)は、妻が感情違反で処刑された後、息子のロビー、娘のリサと3人で暮らしているが、ロビーはクラリック候補生であり、プレストンにとっては自宅さえも監視しあう空間だった。

プレストンは、同僚のパートリッジが、「違反者」だったことを知り、彼を射殺するが、その一件から彼の心は揺らぎ始める。そんな中、カプセルを誤って割ってしまった彼は、プロジアムを服用しないまま、新たな同僚ブラントとともに仕事に出ることになった。彼は、そこで逮捕された「違反者」の女性であるメアリー・オブライエンの尋問中、逆に動揺させられてしまう。彼女の姿にプレストンは、かつて感情に関する罪で処刑された妻を思い出し始めた。そして鎮圧に出動した廃墟で、反乱者によって収集されていた品々や音楽に触れ、さらに朝焼けの摩天楼を見たことから感情を呼び覚ましてしまった彼は、プロジアムの服用を積極的に止め、社会に対する疑念を深めていく。

やがて郊外の廃墟で摘発中に「EC-10」となりうる仔犬の処刑を阻み、理由を付けて保護した彼だったが、後に犬を密かに逃がそうとしたところ巡回していた警官に犬を発見され射殺されそうになったため、その警官たちを殺害してしまう。その上、メアリーが処刑されたことに対して激しく感情を動かされたプレストンは、政府から疑われる事態に陥った。予め仕込んでいた計略を使いブラントに罪を着せて何とか難を逃れたプレストンは、政府の教えよりも父を選んだロビーにも助けられ、メアリーの処刑前にコンタクトを取っていたユルゲン率いる地下組織と共謀し、ファーザーを倒すため、ユルゲンたちを囮とする作戦に乗る。ユルゲンたちはプレストンに捕まったという形で、当局に身柄を拘束され、プレストンはその功績によりファーザーに特別に謁見を許されることになった。

しかし、検査という名目で連れて行かれた部屋で彼は驚くべき事実を知らされることになる。ファーザーは実際には何年も前に死んでおり、既にモニター上の存在でしかなかった。プレストンはファーザーに代わる影の最高権力者[注 4]、テトラグラマトン党の第3評議会副総裁デュポン[注 5]とブラントによって、謀られていたのだった。一時は衝撃を受け動揺するも、逆に強い怒りで動揺を抑え込み反撃に出たプレストンは待ち構えていた警備兵を全て撃ち倒し、デュポンとブラントがいる謁見の間に辿り着くが、そこではさらにデュポンの親衛隊が待ち伏せていた。

プレストンはガン=カタ使いの本領を発揮し、親衛隊と同じくガン=カタ使いのブラントを倒す。そしてデュポンと一対一で対峙しガン=カタによる激しい攻防戦の末、デュポンを無力化する。デュポンは相手の感情に訴えようと自分を殺す意味を問うが、理不尽に死んだメアリーの顔が浮かんだプレストンは「対価は喜んで支払う(字幕では「死んで償え」)」とデュポンにとどめを刺す。そして打ち合わせどおりに反乱者と民衆が蜂起し、平穏(イクイリブリウム)は失われるものの、社会が変わろうとしている光景を見て、プレストンは薄く微笑むのだった。
登場人物・キャスト
ジョン・プレストン
演 -
クリスチャン・ベール、日本語吹替 - 小山力也第1級「クラリック」。
メアリー・オブライエン
演 - エミリー・ワトソン、日本語吹替 - 田中敦子政府の弾圧に反抗する「違反者」。
アンドリュー・ブラント
演 - テイ・ディグス、日本語吹替 - 楠大典「クラリック」。ジョンの新たな相棒。
デュポン
演 - アンガス・マクファーデン、日本語吹替 - 山路和弘「テトラグラマトン党」の副総裁。
エロール・パートリッジ
演 - ショーン・ビーン、日本語吹替 - 田中正彦「クラリック」。ジョンの相棒だったが「違反者」だったことが分かり、処刑される。
ユルゲン
演 - ウィリアム・フィクナー、日本語吹替 - 菅原正志「テトラグラマトン党」に反抗する地下組織のリーダー。


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